利益を生み出す仕組み

なぜ売上や利益が必要なのか(利益は目的ではなく血液のようなもの)

このブログでは売上や利益を上げる仕組みづくりについて書いています。しかし、売上や利益は事業の「目的」ではありません。大前提となることですので、最初にお伝えしておきます。

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キャッシュが尽きれば、事業は続けられない

2012年1〜2月。
忘れもしない、私が初めて中小企業の診断(コンサルティング)をさせて頂いたときのこと。お金の大切さを身をもって痛感させられたのでした。

中小企業診断士試験を合格したばかりの「診断士のタマゴ」5名がチームを組んで、ある食品メーカーを診断させていただきました。試験後に実務経験を積むための実習でした。(実務補習と言います)

社長は美味しさを追求する「研究者」のような方。売ることもお金のことも興味がないようで、「経営者」の雰囲気は微塵も感じませんでした。

売ることは社長の奥様・専務の仕事でした。提携しているスーパーに足を運び、実演販売。自社工場に併設している店舗でも販売。

工場で働く人達は、温かい雰囲気で、外部の私たちを温かく迎えて下さいました。

その会社の財務状況を見せていただくと、よく言って最悪の状態でした。「こんな状態でも、会社は存在できるのだ」と驚いたくらいです。

私たちに与えられた期間は5日間。財務の改善は、銀行に務めるプロが提案しました。とにかく出血(借り入れ)を止めないと、何も新しい取り組みができません。

そして私は、売上・利益を伸ばすためのマーケティングを提案しました。仮に目の前の資金繰りを乗り越えても、稼ぐ力を身に着けなければ、問題解決にならないからです。悩みに悩んで提案したことを覚えています。

提案を終えてからも、たまに思い出しては、その会社のホームページをチェックしていました。しかし、約5年後、その会社は破産手続きに入ったようでした。

経営者はいい人たちでした。
働く人達も、真面目でした。

でも、稼ぐ力がなければ、お金が底をつけば、事業は続けられない

「今はどんな生活をしているのだろうか?」

破産を知ったとき、しばらく呆然するとともに、「稼ぐ仕組みづくり」の大切さを痛感したのです。どんなに良い人でも、意義がある事業でも、お金がなければダメなのです。

お金は血液である

会社にとって、事業にとって、そして個人にとって、お金とは何なのでしょうか?ここまで書いてきたように、お金が尽きると、何もできなくなってしまいます。

マネジメントの父と呼ばれるドラッカーは言いました。

「利益は企業の目的ではなく、存続の条件であり、
明日もっとよい事業をするための条件である。」

どんなに崇高な理念も、
素晴らしい商品も、
温かいサービスも、

お金がなければ、あっという間に消え去ってしまいます。

では、お金が稼げれば良いのか?
決してそうではありません。

お金とは血液のようなものです。
足りなくなれば、命の危機が訪れます。
しかし、満ち足りれば成功なのか?幸せなのか?と言うと、そうでもありません。

ドラッカーの言うように、利益は、あくまでも「存続の条件」なのです。

利益・お金の向こうにある目的

ですから、売上や利益は目的にはなりえません。今よりも利益を追求するには、何らかの目的が必要なのです。

  • もっと多くの仲間(社員)が欲しい
  • 仲間により多くのお給料を払いたい
  • 競争力を高めるための投資をしたい
  • 新たな商品・サービスをつくるための原資が必要
  • 家族にもっとゆとりのある生活をさせたい

などなど、色んな理由があるでしょう。
まずはその目的を明確にすることが、「利益を上げ続ける仕組みづくり」よりも、大切なことだと考えています。

目的が明確であれば、利益やお金に振り回されることはありません。良く見かけるのは、ゲームの高得点を狙うように、お金が目的となってしまうこと。するとゲームに心を奪われるように、お金に心を奪われてしまいます

お金は存続の条件であり、目的を達成するためのツールです。逆に言えば、ツールに過ぎません。それを忘れないようにしつつ、「利益を上げ続ける仕組みづくり」に取り組みたいものです。

まとめ
  • お金は事業や生活を存続させるための条件
  • お金は目的ではなく、目的を達成するための手段・ツール
  • まずは目的を明確にして、利益を上げ続ける仕組みをつくる

次回から継続的に利益を上げる組織について考えていきます。

継続的に利益を上げる組織には、仕掛けがある売上を伸ばし、利益を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?コスト削減には限界があり、企業の体力を奪ってしまいます。この記事では売上を伸ばすための方向性を3つご紹介します。売上・利益を伸ばしたい、数字に強くなりたい中小企業経営者は、要チェックです。...

本連載の記事を以下にまとめておきます。

  1. なぜ売上や利益が必要なのか(利益は目的ではなく血液のようなもの)(←今回はここ)
  2. 継続的に利益を上げる組織には、仕掛けがある
  3. 利益率は経営者がデザインするもの
  4. 「売上30%アップだ」は経営者の思考停止でしかない
  5. 集客の悩みの真の原因は・・・・新規顧客の獲得ではない
  6. 顧客流出を防ぐためのデータ活用方法
  7. 思いつきで顧客に会ってはいけない
  8. 新商品で客単価・購買頻度を上げる
  9. 新商品・サービスを企画・開発する流れ

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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