利益を生み出す仕組み

集客の悩みの真の原因は・・新規顧客の獲得ではない

前回、「売上を上げろ!」という指示は、何も言ってないのに等しいことをお伝えしました。ちゃんと現状把握をして、それに伴って売上を上げるための計画を立てることが大切でしたね。

「売上30%アップだ」は経営者の思考停止でしかない前回、利益率は経営者がデザインするものであり、偶然の結果ではないことをご紹介しました。 https://100athlon.com...

現状把握ができたら、売上を向上させるための計画を立てます。

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集客の悩みの真の原因は・・新規顧客の獲得ではない

前回、売上を上げる施策は5つあることをお伝えしました。

売上=客数(A) × 客単価(B) × 購入頻度(C)

(A)客数=既存客+新規客ー流出客
(B)客単価=単価×商品数
(C)購入頻度

ですから、売上を伸ばすための方法は、

  1. 新規顧客を獲得する
  2. 流出する顧客を食い止める
  3. 単価を上げる
  4. 購買商品数を増やす
  5. 購入頻度を上げる

の5つあります。

一般的には、①新規顧客を獲得するのにかかるコストは、②流出する顧客を食い止めるのに比べて、5倍とも10倍とも言われています

新規顧客を獲得するには、展示会に出展したり、リストを購入してテレアポしたり、ホームページを掲載したり、一般的に成果が出るまでに時間が掛かります。一方で、既存顧客は既に連絡先も分かっていますので、具体的な手が打ちやすいのです。

※創業・起業直後は既存顧客がありませんので、このステップは飛ばします。

集客の悩みの真の原因は、顧客流出

私がお客様に最初にお勧めするのも、既存顧客へのアプローチです。
現状把握をしてみると、しばらく接点がなくなっている顧客がよく見つかるものです。

顧客流出の防止は、新規顧客の獲得に比べて地味でつまらない活動です。営業出身の狩猟民族系・経営者こそ、そのように感じてしまうでしょう。しかし、追加コストが少ない上に、成果は確実に上がります。

さらに流出防止索は、中長期で見ても波及効果の高い施策です。実は集客の悩みとは、客数(A)の流出が多いから発生する悩みであり、それを解消するには、「①新規獲得」ではなく、「②流出防止」が必要なのです。新規顧客をどれだけ獲得できても、常に既存顧客が流出していたら、なかなか利益は安定しません。

客数(A)が増えないどころか減っていくのですから、当然ですね。さらに、既存顧客の流出が多いと、常に新しい顧客を獲得しなければならず、従業員も疲弊しかねません。

顧客を水に例えるのも何ですが・・バケツに大きな穴が空いているのに、水を入れ続けるような無意味な行動は、社員のモチベーションを確実に下げていきます。

バケツの穴をふさげ

私の知るある企業では、従業員が「顧客サポートの充実をすべきです!」と社長に言い続けていました。顧客から常に品質に対するクレームが一定数あったため、顧客満足度を上げるための提言をしていたのです。

しかし、その社長には話半分しか聞いてもらえませんでした。社長は、新規顧客開拓や新商品開発ばかりに目が向いている状態だったのです。

当然のことながら、顧客の流出数は多いままで、提言をした従業員はモチベーションを保てず辞めてしまいました。顧客は定着しない、従業員も離職率が高いまま、という残念な事例でした。

私たちは同じ轍を踏まないために、まずはバケツの穴(既存顧客の流出)を小さくしてから、新規顧客の獲得に向かいましょう

それが、売上・利益を伸ばすための基本です。なお、顧客の流出をゼロにすることはできません。倒産・死亡・移転など、避けられない理由があるからです。

ちなみに、既存顧客の流出防止策は、⑤購入頻度を上げる施策とも強いつながりがあります。

例えば、季節に応じた年間の販売促進を行うことは、離れつつある顧客に自社を思い出してもらうことになるのと同時に、優良顧客の購買頻度を上げることにもなります。

まとめ
  • 顧客数を増やすのは新規獲得か、既存流出防止
  • 既存顧客の流出防止を優先する
  • 既存顧客の流出防止は、購入頻度を上げることにもつながる

次回は流出を防止するための具体策に触れます。

顧客流出を防ぐためのデータ活用方法前回、集客の真の問題は「新規顧客獲得」ではなく、むしろ「既存顧客の流出」であることをお伝えしました。 https://100ath...

本連載の記事を以下にまとめておきます。

  1. なぜ売上や利益が必要なのか(利益は目的ではなく血液のようなもの)
  2. 継続的に利益を上げる組織には、仕掛けがある
  3. 利益率は経営者がデザインするもの
  4. 「売上30%アップだ」は経営者の思考停止でしかない
  5. 集客の悩みの真の原因は・・・・新規顧客の獲得ではない(←今回はここ)
  6. 顧客流出を防ぐためのデータ活用方法
  7. 思いつきで顧客に会ってはいけない
  8. 新商品で客単価・購買頻度を上げる
  9. 新商品・サービスを企画・開発する流れ

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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