利益を生み出す仕組み

新商品で客単価・購買頻度を上げる

前回まで、「売れる仕組み」をつくるために、まずは顧客の流出を防ぐことから始めることをお勧めしてきました。

思いつきで顧客に会ってはいけない前回まで、「売れる仕組み」をつくるために、まずは顧客の流出を防ぐことから始めることをお勧めしてきました。 https://100a...

特に顧客データを分析して、顧客の流出を把握すること。
そして、顧客との接点をデザインして実行すること。
通販のやずやの例をご紹介しました。

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経験上、これだけでもかなりの成果が現れます
(ちゃんとデータ分析して、顧客にアプローチする企業が実に少ないからです)

そして、お客様を水に例えるのも何ですが・・バケツから水が漏れにくい状態をつくるだけで、それまでより、明らかに多くの利益が残るようになります。

まだ利益が十分ではなければ・・

ただ、それで利益が十分ではない場合、どうすれば良いでしょうか?
復習ですが、売上を上げるための要素は以下の式で示されます。

売上=客数(A) × 客単価(B) × 購入頻度(C)

(A)客数=既存客+新規客ー流出客
(B)客単価=単価×商品数
(C)購入頻度

と分解できるので、売上を向上させるには

  1. 新規顧客を獲得する
  2. 流出する顧客を食い止める
  3. 単価を上げる
  4. 購買点数を増やす
  5. 購入頻度を上げる

の5つの対策がありました。

このうち、「2.流出する顧客を食い止める」を実現できたのだから、残り4つの選択肢が残っている状態です。

※もちろん、顧客との接点を増やしているので、その結果、既に購買点数や購買頻度が上がっている可能性はあります。それはデータ分析を毎月行うことで、チェックしておきましょう。

再度、現状分析をしてできていること・できていないことを明らかにしましょう。顧客流出を食い止めることができたなら、次に新商品・新サービスをリリースすることをご紹介します。

顧客は新商品・新サービスを求めている

実はスモールビジネスにおいては、優良顧客ほど、もっと商品・サービスを求めていることがほとんどです。既に貴社のファンになっているので、ほぼ全ての商品・サービスは購入して、体験済みなのです。

当然のことながら、商品・サービスの開発速度よりも、消費する速度の方が早いもの。つまり優良顧客ほど、次の商品・サービスの登場を待っているのです。

実際、私も色んな商品・サービスを購入していますが、ファンになっている会社の商品・サービスほど、ほぼ全て購入済みで、「もっとこういうの出してくれないかな」と思っています。

優良顧客は貴社の活動を応援してくれています。新しい取り組みをしたときに、一番先に応援してくれる顧客でもあります。したがって、顧客の流出を防ぐのと同様に、優良顧客のニーズを満たすことは最優先で行いたいことです。

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新商品を生み出す効果

また、新商品・サービスを開発することは、売上を増やす5つの対策、全てに通じる活動です。ただ、もちろん1つの商品・サービスが5つを同時に満たすことはありません。目的を定めた上で商品・サービスを開発しましょう。

  1. 新規顧客を獲得する
    →今まで反応を示さなかった顧客に新しい価値を提案する
  2. 流出する顧客を食い止める
    →競合他社を利用しようとしていた顧客の興味を引き戻す
  3. 単価を上げる
    →従来より高価格帯の商品をリリースして単価を上げる
  4. 購買点数を増やす
    →従来商品と一緒に購入いただけると効果を発揮する商品を増やす
  5. 購入頻度を上げる
    →定期的に購入いただける(例:月額課金)の商品を開発する

特に新商品を生み出すとき、まずは既存顧客に刺さる商品開発をお勧めしています。
つまり客単価(3、4)、購買頻度(5)を上げる方向性です。

ちなみに新商品を生み出すことよりも、流出する顧客を食い止めることを優先したは理由があります。

  • バケツの穴を小さくしない限り、他の手段をやっても効果が出にくいこと
  • 流出防止策の方が、新商品・サービス開発よりも着手しやすいこと

などが理由です。

商品企画時の留意点

ただ、中小企業が新商品・サービスを生み出すのは大変です。「新事業開発室」や「商品企画部」のような専門部門もないでしょう。日頃のビジネスに対応しながら、新商品をつくらなければならないのです。

ですから、やみくもに新商品を増やすのではなく、

  • 既存の主力商品を改善すること
  • 既存の主力商品と組み合わせて効果を発揮しやすい商品を生み出すこと

から始めると良いでしょう。

いきなり新規顧客、新市場を狙う商品よりも、既存の顧客が持っている不満・不満足を埋める方が成果が出やすいからです。

まとめ
  • 既存顧客の流出を防止をしてからも、定期的にデータ分析を行う
  • 優良顧客のニーズを満たすために、新商品・サービスを開発する
  • 既存の主力商品と関係のあるものを開発する

連載最終回は、商品企画・開発の大まなか流れをご紹介します。

新商品・サービスを企画・開発する流れ前回、客単価・購買頻度を上げるために新商品・サービスをリリースすることをお勧めしました。 https://100athlon.co...

本連載の記事を以下にまとめておきます。

  1. なぜ売上や利益が必要なのか(利益は目的ではなく血液のようなもの)
  2. 継続的に利益を上げる組織には、仕掛けがある
  3. 利益率は経営者がデザインするもの
  4. 「売上30%アップだ」は経営者の思考停止でしかない
  5. 集客の悩みの真の原因は・・・・新規顧客の獲得ではない
  6. 顧客流出を防ぐためのデータ活用方法
  7. 思いつきで顧客に会ってはいけない
  8. 新商品で客単価・購買頻度を上げる(←今回はここ)
  9. 新商品・サービスを企画・開発する流れ

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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