IT・システム全般

中小企業がITを導入・活用できない3つの理由とその対策

中小企業がITを導入・活用できない理由と、その解決方法をご紹介します。
中小企業の経営者、システム担当者は自社に当てはまるところを確認してみましょう。

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中小企業がITを導入・利用できない理由トップ3

平成30年版の中小企業白書によると、中小企業がITを導入・利用する上で困っている点は、上位から以下のようになっています。()は私が追記したものです。

  • コストが負担できない(お金)
  • 導入の効果が分からない、評価できない(目的・効果)
  • 従業員がITを使いこなせない(人材)

これらについて、確かにそうだよなと思いつつ、解決方法もあります。

コストが負担できない

まず最初に「ITは高いもの」という認識を改める必要があります。
ITに関わるコストは、間違いなく安くなっています。

かつてはIT(システム)を導入しようとすると、サーバー(大きいパソコン)を購入する必要がありました。サーバーにWindowsなどのOSと、利用するソフトウェアをインストールしていたからです。

しかし、今はサーバーを購入する必要はなくなりました。このブログでは何度も繰り返して書いていますが、中小企業はクラウドを(購入ではなく)利用するので十分です。

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サーバーを購入すると、それだけで数10万円とか100万円がすっ飛びますが、クラウドを利用するだけなら、月額数100〜数万円で済みます。IT導入のコストは10年前と比べると10分の1以下になっています。

とは言え、お金が掛かるのは確かです。システムそのもののコストは安くなっても、それを導入してくれる専門家のコストは、あまり変わっていません。今はシステム費用よりも、専門家の費用を意識しておく必要があります。

どうしてもお金が足りない場合は、融資を受けたり、補助金・助成金を活用しましょう。IT投資に関しては活用できる補助金・助成金が増えてきています。国も中小企業の生産性向上を大きな課題と捉えているからです。

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導入の効果が分からない、評価できない

この悩みは、すごく真っ当な悩みだと感じています。システムを導入する、つまり投資をする以上、その効果を把握したいというのは、経営者としては当然のことです。

システムを導入することが目的なのではなく、利用して結果を出すことが目的です。
ですから、システムを検討する以前に、何のためにシステムを活用したいのか?を明確にしておく必要があります。(この点、大事なので何度でも強調したいです)

ホームページやCRM(顧客管理)ツールなど、マーケティング・営業に関わるシステムは、比較的効果が測定しやすいです。

一方、チャットやWebミーティングなどのコミュニケーションツールは、効果測定がしにくいものです。コミュニケーションツールだけでなく、パソコンやスマートフォンなど、ITインフラについては、金額的な評価は難しいです。

働き方がどう変わったか?どの程度活用されているか?など、別の評価基準を設けておいたほうが良いでしょう。従業員アンケートを取るのも良いですね。

システムを導入する前に、導入したら何をKPI(評価指標)にするのか?を明確にしておくことが望ましいです。

従業員がITを使いこなせない

「従業員が使いこなせない」、この言葉に、私は強く違和感を感じます。
この答えが出てきた背景を想像しながら、コメントしていきます。

従業員以前に経営者が使いこなせない

「中小企業あるある」なのですが、「従業員が・・」というコメントには、経営者自身が棚上げされていることが多いです(笑)

「従業員が使いこなせない」ではなく「経営者が使いこなせない」なのです。自分が使えないのにも関わらず、「いや〜、うちの従業員はITが弱くて」という経営者には、何度もお会いしたことがあります。

従業員の立場からすると「あんた(経営者)が使わないから、うちらも使わないんでしょう。どうせ入力しても見てくれないんだから。」と。中小企業においてIT導入・活用の旗振り役は間違いなく経営者です。従業員任せにしないようにしましょう。自分が苦手でも。

単に操作方法が分からない

単に操作方法が分からないという問題です。これは慣れの問題だけです。確かに画面構成が分かりやすい・分かりにくいなど、色んなシステムがあります。分かりやすいシステムが増えているとは言え、まだまだ分かりにくいものも多いです。(e-Taxとか最悪です・・)

操作方法が分からないのは、慣れの問題です。「今までのやり方」にとらわれすぎているかもしれませんので、一度アタマを白紙にして、慣れていきましょう。どんなシステムでも、慣れるまでは大変です。

使いこなす必要はない

システムは、そもそも使いこなす必要はありません。エクセルの全機能を使いこなしている人は、この世の中には居ないのではないでしょうか。あんな安価なソフトでも、使いこなせないのです。

システムは何らかの目的を達成するために使うものです。そのために必要な最低限の操作を身につければ、それで十分です。

IT的な思考法ができない

システムの問題というより、前提となる知識・思考法の問題があることが多いです。例えば「マスタ」という考え方ができていないと、システムを使うのを苦労します。

IT・データを理解するためのスタートラインは「マスターデータ」マスターデータとは何でしょうか?従業員・顧客・商品などをしっかり区別するための基準となるデータのことです。コンピューター登場以前から台帳として存在していました。データやITを活用する経営をするための土台となる考え方ですから、経営者は身につけておきましょう。 ...

一般的な会社ですと

  • 顧客マスタ
  • 商品マスタ
  • 社員マスタ

などが存在しています。ある顧客に対して商談が発生した場合、提案中の商品が関連付けられます。そして担当している社員が商談に関連付けられます。

社内にどんな情報があって、どういう関係にあるのか?構造化するアタマの使い方ができないと、「何をやっているのか?良く分からない」ということになります。「マスタ」とか「ルックアップ」という考え方を身につけると、大抵のシステムは使うのがラクになります。

中小企業の経営者向け、テクノロジー以前のシステム的発想法中小企業の経営者は、ITの細かな単語や操作を覚えるよりも、システム的な「発想法」を身に着ける方がメリットがあります。経営とITを関連付けて考えられるようになり、表面的な技術用語に振り回されなくなるからです。この記事では、その根幹であるデータ中心の考え方をご紹介します。...

日頃からツールやアプリを使いまくれ

実はスキルに関しては、悩みを解決する簡単な方法があります。
無償のクラウド・スマホアプリを使いまくることです。

  • 個々人のスケジュールはGoogleカレンダーを組織で共有(紙の手帳は禁止)
  • 社内のコミュニケーションはSlack(メール禁止)
  • ミーティングはリモートからZoomやGoogle Meetで参加(顔を合わせて・・は禁止)
  • ファイル(データ)はDropboxやGoogleドライブに保管・共有
  • プロジェクトのタスク管理はTrello

あくまでも例に過ぎませんが、ここに挙げたものは無料で利用できます。

日頃から新しいツールを使うことで、新しいシステムを導入するときにも適用しやすくなります。操作を間違えたところで大した問題は起こりませんので、気軽に始めてみましょう。(重要なデータを入れるのは、操作に慣れてから)

本当に苦手という方は、まずはスマートフォンでスケジュール管理をすることをお勧めしたいです。

ITに強くなるためにオススメしたいはじめの一歩(スマホでGoogleカレンダーを使う)「ITが苦手」というビジネスパーソンに最初にお勧めしたいのは、スマートフォンでスケジュール管理をすることです。紙の手帳を使うよりもメリットが多々あります。そのやり方と、ちょっとだけ注意点をご紹介します。スマホで電話とメール以外を使ってみましょう。...

中小企業がITを利活用できない理由トップ3と、その対策をご紹介しました。
「自社も当てはまる」と感じるところは、ぜひ改善してみて下さい。

こちらは関連記事です。どうしてもITが苦手という経営者は、何をスタッフに任せて、何を自分で取り組むべきかを整理しました。

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ITはじめて活用IT(システム)の導入・活用に関連するサービスです。 まだITの活用に慣れていなく、どこから始めれば良いか?を悩まれている企業向けのサ...
まとめ
  • IT導入・活用コストは10年前の10分の1
  • 導入前に目的を明確にして、評価指標を決めておく
  • 日頃から無償のツール・アプリを使ってスキルを上げる

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【編集後記】
妻と息子が、明日行われる静岡マラソンに向かって出かけていきました。
私は怪我が長引き、トレーニングすら復帰できてないのでお留守番。
そろそろランナーであることを忘れてしまいそうです。。
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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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