IT・システム全般

ITが苦手な経営者が担当者に任せること・自分でやるべきこと

ITが苦手な経営者にとって、学ぶことは大変です。自分でスマホやパソコンを触るのも大変なのに、現場のIT化を推し進める気には、なかなかなれないでしょう。

この記事は、そのような経営者に向けて、スタッフに任せるべきこと、自分でやるべきことを整理してみました。

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担当者に任せるべきこと

経営者がやるべきことは経営です。3年後・5年後のあるべき姿に向けて、会社の舵を切らなければいけません。

ITが苦手な経営者にとって面倒くさいと感じるのは、スマホやパソコンの操作でしょう。経営者としては、戦略を描き、必要なデータをもとに意思決定ができれば良いのです。スマホやパソコンの操作やツールの導入・活用などの実務は担当者に任せた方が良いでしょう。

中小企業の経営者には、現場で行われていることにもできる限り首を突っ込んで欲しいものではありますが、現実問題として、苦手なものには手が出せないでしょう。

そのため、ITの実務に関しては、それを得意とするスタッフに任せるのも良いでしょう。ただし、そのスタッフは、あくまでも個人として触れるだけでしょうから、業務として依頼するためには教育の機会などを提供することが重要です。

IT投資で最も注力すべきは、人材への教育中小企業におけるIT導入・利用における問題は、スキルのある人材不足によるところがほとんどです。しかし、ますますIT人材の不足が深刻化しつつあり、採用することは困難です。このような状況を受けて、最も注力すべきIT投資は「人材への教育」です。ITで経営を変革したい経営者は、この点を認識しておくべきです。...

そして業務として任せる以上は、他の業務との兼ね合いを考えるなど、環境を整えたり、フォローしなければなりません。

経営者が自分でやるべきこと

社会の構造的理解と会社のデジタル化についての発想

一方、ITが苦手といいつつも、経営者として、世の中がデジタルの方向に向かっていることに対して、構造的な理解は欠かせません。自分の業界のみならず、他の業界、他の国で行われていることに対してアンテナを立て、それを構造的に理解しなければなりません。

もはやデジタル化の流れは不可避であり、関係のない業界などないからです。経営者には、一般的な経済やマーケティングの知識が必要ですが、ITもそれと同じです。

例えば、盛んにキャッシュレスが話題になっています。これを単に、現金を置き換えるものとして考えることは視野が狭すぎます。国としては、消費税増税や軽減税率への対応に絡めてキャッシュレスを推進していますが、それはあくまでも手段でしかありません。

キャッシュレス決済の肝は、消費者の行動がデータを通じて把握できることです。そのデータをどうやって活かしていくのか、データという新しい経営資源をどう活かしていくのか、そういう発想をすることは経営者の仕事です。

デジタル化についての理解をするための行動

そのような発想をするためには、キャッシュレスを自分で使ってみる経験が必要です。人間は経験したことしか理解できません。そういう意味では、会社のスマートフォン・パソコンの操作や企画・導入・運用などはスタッフに任せつつも、自分自身がスマホ等を使って、キャッシュレスなどのデジタルツールを利用することは避けられません

操作が分からない場合には、スタッフに聞くと良いでしょう。経営者がパソコンやスマホを触るフォローをするのも、スタッフの仕事として予めお願いをしておくと邪魔くさく思われずに済みます。

単に趣味として触っているのではなく、経営者として経験を積むために必要であると理解をしてもらうことが大事です。前もって説明をしておきましょう。雑務をお願いしているのではなく、重要な仕事なのだ、と。

なお、自分で経験した場合において、それを表面的な理解で済まさないように気をつけましょう。上述の通り、単に現金をデジタル化したものがキャッシュレスなのではなく、消費者の購買履歴を取得するための手段であると構造的に理解する必要があります。実際、先進的な事例を見るとすでにそのような活用がされています。

別の例を挙げますと、スマートPOSレジ(タブレット型のレジ)は、単なるレジの置き換えではありません。飲食店の場合、時間帯別の売上を分析することで、そのお店の稼働率が分かります。仕入れの提案をしたり、予約サイトを提案したり、お店のオペレーション全体に対して提案をするための入り口としてスマートPOSレジがあります。

スマートPOSレジのメーカーを見ても、リクルートなどは、そのような戦略を持っていることがわかります。Airレジだけでなく、その周辺領域も確実に攻めていますので。

このように、単に自分の経験を表面的に理解するのではなく、 先進的な事例などから学ぶことを交えて、 全体として構造的に理解をする必要があります。それを自社の戦略に活かすのです。

ただ、このような構造的な理解はなかなか難しいので、専門家の話を聴きに行くと良いでしょう。

IT企画には自分の意見を伝える

そのような構造的な理解を元に、自社のIT導入・活用に対する意見を伝えるべきです。スタッフに任せっきりになると、どうしても現場が楽になるような視点での企画になってしまいがちです。

経営者としては、現場の生産性を向上させることも大切ですが、それと同時に、戦略としてITを活用していく必要があります。そのような視点は、経営者ではないスタッフには、持ちにくいので、経営者としての意見が必要なのです。

中小企業のシステム企画には、経営者が積極的に関与すべし中小企業のシステム企画においては、経営者の積極な関与が必要です。もはやITが関わらない業務などないのですから。また中小企業の情報システム担当者は、周囲に理解者が少なく、孤独になりがちです。組織を動かし、担当者をフォローするためにも、経営者が意思決定にしっかりと関わっていく必要があります。...

現場で手を動かすようなことはスタッフに任せつつ、経営者としてのITスキルを上げていくことが求められるのです。

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まとめ
  • ITが苦手な経営者は、現場で手を動かす仕事はスタッフに任せるべき
  • IT担当スタッフが働きやすくなる環境づくりは大切に
  • 経営者としてITを戦略に組み込めるような、知識の仕入れは必要

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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