中小企業がどのようにソフトウェアを選ぶべきか?を連載しています。
この記事では、中小企業にプログラミングは必要か?を検討します。
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プログラミングの効用と弱点
一般の中小企業にプログラミングは必要か?
子どものプログラミング教育も始まり、最近よく話題になる問いです。
私の結論は、以下の通りです。
優先度は高くない。
個人的に興味があるのなら、学んでも良いのでは。
それよりも、市場に出回っているツールを使いこなす方が、圧倒的に優先度が高い。
プログラミングには効用(メリット)と、中小企業は特に意識しておきたい弱点(デメリット)があります。
プログラミングの効用
- 自分達が本当に欲しいものが得られる
- 欲しい機能を実装するのにお金が掛からない
- ITリテラシーが上がる
自分達でコードを書いてしまえば、欲しい機能をつくることができます。
しかも、自分達で書けばお金が掛かりません。
さらにプログラミングを学ぶことによって、ITリテラシーが上がります。
単にパソコンを操作できるというレベルではなくて、より内部の動きを論理的に把握できるようになっていきます。
プログラミングの弱点
一方でデメリットがあります。
1つ目は、教育にお金と時間がかかることです。
今は安く学べる環境も充実してきているのですが、一般中小企業にとっては「誰に」学ばせるのか?が大きな課題になりがちです。
IT担当者を割り当てるだけでも四苦八苦している企業なら、そのような人を割り当てることは不可能でしょう。
理想的には全社員がプログラミングを身につけて、自分自身の業務を現場から改善していくことです。しかし、だからと言って全員にプログラミングを学ばせるほど、小規模な会社に余裕があるか?というと、なかなかそうはいかないでしょう・・と私は実感しています。
2つ目、こちらの方が深刻なのですが、コード運用体制が必要なことです。
プログラミングはコードを書いて、思った通りに動くことまでは、非常に楽しい取り組みです。しかし、業務としてコードを書いている以上、何かあったら対応しなければなりません。
- 急に動かなくなった
- 現場からの要求が変わったり、法律が変わったために、コードを書き替える必要が出た
- プログラミングの仕組み(バージョンなど)が変わった
- 今までプログラミングしていた人が辞めた
ちょっと乱暴な言い方ですが、専門のIT企業が担っている役割を、一般の中小企業が担わなければならないのです。
このような問題に対応できる体制を整えるのは、非現実的なのではないでしょうか。
というわけで、私の結論は上述の通りで、プログラミングに対する優先度は、決して高くありません。
何らかの理由で業務で必要な場合以外は、つくる(プログラミング)よりも、使うスキルを優先しましょう。
既存ツールに付随するプログラミング
もう一度、ソフトウェア分類を見てみます。
以前の記事でお伝えしたように、ゼロからソフトウェアを開発することは、一般の中小企業にはお勧めできません。
その一方で、今使っているツールをより活用するためのプログラミングであれば、検討の余地があります。
既存ツール+開発
- エクセルやワードなど、オフィス製品に付随するVBAを使った効率化
- G Suiteに付随するGAS(Google Apps Script)
エクセルで何回もコピー&ペーストが発生しているような作業を行っている会社であれば、暫定的な対応としてプログラミングで乗り切るのは有効な手段です。
例えば、1人1ファイルのエクセル勤怠データがあって、それを集計して給与計算する仕組みをVBAで開発したり・・というような場合です。
ただ、そもそもコピペが大量発生している時点で業務プロセスの設計が間違っています。
その無駄を省くようにすることが根本解決です。
上記の例で言えば、専用の勤怠ツールを導入して、給与計算まで自動化するのが正解です。
エクセルで勤怠データをまとめている時点で、無理があるのです。
クラウドの活用
クラウドを活用していると、「痒い所に手が届かない」と感じることがあります。
「え~、その機能ないの!?」という感じで。
それが繰り返し作業の場合は、プログラミングで問題解決することができます。
例えば、クラウド会計ソフトfreee の請求書をまとめてデータ活用するような場合です。
(本当になぜ基本機能として提供していないのかが不思議)
このときは G Suiteで使える GAS というプログラミング言語を使って、自動化しました。
またクラウド間を連携させるときにも、プログラミングが有効なときがあります。
freee と kintone を連携する方法も3つあり、そのうち1つがプログラミングです。
プログラミング人材への対応
繰り返しになりますが、プログラミングを業務で活用するためには、教育コストや体制が必要になります。
そのためこの記事では、一般の中小企業がいきなりプログラミングに着手するのは、お勧めしない論調でした。
しかし、既存ツールを十分使いこなしているならば、次のステップとしてプログラミングの習得には大きな意味があります。
要するに順番の問題なのです。
ツールを使いこなすことが先で、プログラミングはその後。
算数が終わっていないのに、いきなり数学から始めないのと同じです。
万が一、独学でVBAやGASなどのプログラミングを学んでいる社員を発見したら、その努力・向上心を讃えましょう。
「勝手にワケの分からないことをやって・・」という態度は、ご本人の努力を根底から否定することになるので厳禁です。
せっかく個人でできる効率化に取り組んでいるのですが、どういう問題意識で学んでいるのか?をじっくり聴いてみるようにしましょう。
自分で時間とお金を使って学ぶような人材なのですが、大切にしたいですね。
- 一般中小企業ではプログラミングの前にツールを使うことが大事
- プログラミングすると、それを組織で活用し続けるための体制が必要になる
- もしプログラミングに興味のある人材がいたら、大切にしましょう
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【編集後記】
暑いとエアコンに頼りたくなるのですが、ずっとエアコン使っていると、身体が怠くなります。
午前中は窓を開けていますが、既に汗だくです。
(そのたびにシャワーを浴びるのが、良いのか悪いのか・・)
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