ここ2回ほど、社長と社員のコミュニケーションについて触れてきました。
この2つのパターンは、社長が自分自身に自信を持てないときに、良く見るケースです。自信のなさを、自分ではなく会社に押し付けたり(1つ目)、あるいは自信がないので、職位で無理やり人の上に立とうとする(2つ目)のです。
こんなことばかり書いていると嫌われるので(汗)、あと1つくらいで止めておこうと思います。今回は逆に自分には自信があって、自らグイグイ進む優秀な社長に良く見るパターンです。
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社員を「実行の駒」としか扱えない
優秀な社長は、自らのビジョンを描き、その達成に向かって次々と手を打ちます。
営業力も高いので、どんどん売ってくることもできます。
しかし、個の力(時間)にはやはり限界があります。
まずは社長自らがやらなくても良い雑務から、社員を雇って任せるようになります。最初は良いのですが、次に営業を雇い、開発者を雇い、デザイナーを雇い、と人が増えても、「任せ方が変わらない」のが、このタイプの社長の特徴です。
社員に考えてもらうというよりも、社長が考えたことを「実行する駒」の役割なのです。自分自身が優秀なので、常に手綱を握っておきたいのでしょう。しかしながら、このような仕事の任せ方で、社員のモチベーションが上がるわけがありません。
自分が考えたことを提案しても否定され、とにかく「私(社長)が言った通りにやれ」と。もちろん、社長が考えたことが常に上手くいくわけではありませんが、そこは優秀な社長ですから、引き際も早く、打ち手を頻繁に変更します。そうすると、「言われた通りにやれ」の内容がコロコロと変わることになります。
これは社員にとってはストレスです。自ら考えることを否定され、社長の指示に従うも、その内容が頻繁に変わるのですから。今日・明日の仕事の予定が立てられない、というのは多くの一般人にとっては働きにくい環境なのではないでしょうか。何よりも「信頼されていない」と感じるのが、強烈なストレスになってしまいます。
考える社員を育てるのは社長の仕事
このような会社にも、「自分で考えてアイデアを出し、事業に貢献したい」と考えている社員はいます。以前、そのような方を発見し、もっと自分のアイデアを社長にぶつけたみたら?と提案したことがあります。しかし、キッパリと断られてしまいました。
「社長は自分でビジョンとか、やることを全部決めちゃってますから」
だから自分の意見など、役に立たないというのです。
この社員のお話を聴いて、非常に残念に感じました。
自分は社長の駒でしかない、と感じている社員が希望を持って働けるでしょうか。
本当に社長のアイデアだけで突き進むことが、組織にとっての最善なのでしょうか。
マーケットは多様化しています。1人でも多くの視点を取り入れた方が、組織は成長するように感じます。その社員の立場でしか気づけないこともあります。もちろん、人が多くなると検討コストが増すので、そのバランスは大事ですが。
私は、自ら考え、アイデアを出す社員は、社長が育てるものだと思っています。何もアイデア発想法などのトレーニングをしろ、という話ではないのです。社長と社員、お互いが本当に忌憚なく意見を言える関係作り・信頼構築が大事だと伝えたいのです。
そのためには社長が社員の意見を聴き、受け入れること。その意見を採用するかどうかは別の問題ですが、まずはしっかりと受け入れて感謝することが、社員の成長、そして組織の成長につながるのでは、と感じています。
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共通しているのは社員との関係が「縦の関係」になっていること
3つほど事例を見てきましたが、全てに共通しているのは、社長と社員との関係が「縦の関係」になってしまっていることです。
上下関係のあるところには、良いコミュニケーションは生まれません。下から上に本音を言うことは出来ないでしょうし、意外なことに、上から下にも本音をさらけ出すことが出来ないのです。(上に立つ者として、格好いいことしか言えなくなるからです。)
私が思う最善は、「横の関係」を築くことです。
どちらが上でも下でもない。
新入社員も下ではない。
あくまでも、役割の違いである。
相手の果たしている役割に感謝し、信頼・尊敬する。
こんなことを書くと綺麗事だと言われるかもしれませんが、社長がこの姿勢を取らずして、社員からはこの姿勢を取れません。まずは社長が率先して、社員に感謝し、信頼を寄せることから、本当のコミュニケーションが始まるのだと思います。
- 社員を実行の駒としか考えないと、やる気をなくす
- 社員の成長を支えるのは、社長の仕事である
- 縦の関係が諸悪の根源。社長自ら縦の関係を破壊すべし
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