ツール活用

神エクセル(ネ申エクセル)の弊害とその解決法

神(ネ申)エクセル問題に注目が集まっています。Twitter界隈で問題提起された後、河野太郎衆議院議員が動いたことで盛り上がったからでしょうか。

本記事では神エクセル問題の弊害と、その解決法について解説します。

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神(ネ申)エクセルとは?

どこかで見たことがあるかもしれませんが、エクセルを本来の表計算ソフトとしてではなく、Wordのような文書作成ソフトとして利用することです。見栄えばかりを考えて作られており、データ活用のことなど、全く考えられていません。「神」は「紙」にかけられているそうです。

具体的には、こんなものです。

1文字1セルですから、入力してもらったデータが全く活用できないことになります。何のための表計算ソフトなのでしょうか?

私が推測するに、この神エクセルは、以下のような流れで利用されるでしょう。

  1. 印刷されたものに、ペンで書いてもらって提出される(場合によってはハンコが押されるかも)
  2. 受領印が押される
  3. 業務委託先やパートさんに紙の束が送付される
  4. 業務委託先で手入力される
  5. 業務委託先で表計算ソフトで扱えるデータ形式になる
  6. エクセルやCSVファイルとして提出される
  7. 必要に応じてデータ分析に利用する

業務改善は紙の発想をなくすところからはじめる

上記の1~7の流れを見て、すぐに感じることがあると思います。そう、「無駄だらけ」なんです。

紙という形式で提出するためには、郵送したり、その場所に渡しに行く手間が発生します。そして本来のデータという形にするために、業務委託やパートなど、別の人の手を介する必要が出てくるのです。

その際に個人情報が書かれた紙の束が輸送されるかもしれません。送料の無駄ですし、別の人の手を介する費用が圧倒的に無駄です。そして、物理的な輸送が行なわれるということは、情報漏洩しやすい環境にさらされるということです。

こういう神エクセルの問題は、自治体周りに実に多く見られます。エクセルに限らず、ワードでも同じような問題が見受けられます。例えば中小企業診断士の登録・更新などに使う申請書。中小企業庁が配布している文書です。

こんな無駄な空白だらけのワード、入力しにくいこと、この上なしです。これも紙で印刷することを前提に作られているからです。データを活用するためには、上記の神エクセルと同じような1~7の流れが必要になるでしょう。問題の根本原因は同じです。

こういう文書を作成する全ての人に知って欲しいことは1つだけです。
「紙で仕事をするのを止めなさい」

神エクセル・神ワードを無くすためには、どうすれば良いのか?

批判だけして、改善策を示さないのは問題ですので、1つだけ示そうと思います。追加費用も掛かりません。Googleフォームなどで入力してもらうことです。

こういう入力フォームが一瞬で作成できます。図は英語ですが、もちろん日本語も対応しています。神エクセル、神ワードをつくる時間の半分どころか、10分の1でつくれます。入力してもらったデータは、CSVファイルとして出力できますから、データ分析するにも、データ再利用するにも困りません。

なお、必ずしもGoogleフォームである必要はありません。Web入力フォームなら何でも良いのです。紙に印刷する必要も、メールで送付する必要もなくなります。

データ再入力のための外注は不要です。
紙の無駄遣いもなくなります。
紙の輸送もなくなります。

「ハンコが押せなくなるじゃないか!」

そんな意見が出てきそうですが、どうしても承認したことの履歴を残したいのであれば、ちゃんとしたワークフローのシステムに乗せて下さい。それ以前に、なぜ承認履歴を残すことが必要なのか?を明示すべきです。

今どき、ハンコが押せないと仕事にならないとか言ってるから、世界に置いていかれるのです。1つ1つの仕事全てにおいて、その存在意義や生み出している価値を問うべきでしょう。

なお、ここまで書いても、実は問題解決にならないことを私は認識しています。こういう神エクセル・神ワードを作ることを指示する人たちは、実はパソコンが触れないんです。官公庁、自治体などの偉い人達は、全部の仕事を外注(丸投げ)しているから、こういう変な仕事が生まれるのです。

  • 仕事を指示する側は、パソコンのことが全く分かっていない
  • 仕事を請ける側は、面倒くさいから改善提案をせず、言われた通りにしかつくらない

エクセル・ワードの基礎くらい、本屋さんにでも行って勉強しなさい、と。細かなことはできなくてもいい。指示している仕事が正しいものかどうなのか、判別するためのスキルくらいは身につけるべきです。

国や企業など、重要なポストで意思決定する人達のITリテラシーが低すぎる。世の中にはお金と労力・時間を無駄にしまくっているシステムがごまんとありますが、その根本原因は、この点にあると感じています。

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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