IT・システム全般

IT担当を1人に押し付けない。「ぶどうパン型組織」でITを活用する

スモールビジネスにおいて、ITを活用するための体制とは?
最近、いくつかの企業に取材を進めていますが、IT活用できている会社の体制に共通点が見えてきました。

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全体を推進する「IT企画人材(経営者)」がいる

1つ目の強調したい特徴は、ITを活用できている組織では、経営者自身がIT企画人材となっていることです。

「IT企画人材」とは、自社のIT環境を企画し、推進していく人です。
さらに言えば、ビジネスそのものにITを組み込ませ、ビジネスをデジタル化する役割も担っています。

IT活用が進まない会社の現状

IT企画人材が経営者ではなく、現場の担当者の場合は、意思決定が滞りがちです。
理由は以下のような流れで仕事が進んでいるからです。

  1. 現場のIT担当者がITツールを調査・企画し、書類にまとめる
  2. 上司や経営者に提案するが、これらの人はIT知識がなくて、何のことか良く分からない
  3. コストしか判断材料がなく、適切な意思決定ができない
  4. IT担当者が最適と考えていた提案は採用されず、モチベーションが落ちる

IT活用は経営課題であるにも関わらず、それを現場の担当者に丸投げしてしまう。
さらに丸投げしているのに予算権限は与えない、という矛盾が、組織を混乱させています。

このために意思決定は遅くなり、しかもあまり機能しない状態に陥っています。
どんなに現場で能力のあるIT担当者が居たとしても、その能力は活かされません。

経営者自身がITを学んでいる

IT活用が進んでいる組織は、経営者自身がIT企画人材として動いています。
企画者と予算権限が一致しているため、意思決定が圧倒的に素早いです。

IT企画人材は、やりたいことを実現するために、ITツールを調査します。
その際、経営者自身がITを学んでいます。
何か特別なことをしているわけではなく、

  • 日頃からネットで検索している
  • セミナーなどに参加している
  • 本を読んでいる

というような方法が共通していました。
IT関連の情報はネットで網羅されているので、まずは検索スキルを上げた方が良いと多くの経営者が仰っていました。

逆に特定のITベンダーさんとお付き合いして、提案してもらうという方は、今まで取材してきた企業にはありませんでした

  • 企業規模が30人未満だと、特定のITベンダーさんと付き合う必要がないのか?
  • それともITスキルが高いため依存していないだけなのか?

この辺りはもう少し取材・調査を進めたいと考えています。

各部署にIT担当者がいる

2つ目の特徴は各部署にIT担当者がいることです。
後述しますが、誰か1人をIT担当者にして依存するのではなく、組織全体でIT活用を推進していこうとする意図が感じられます。

これはスモールビジネスでは特に理にかなったやり方だと感じています。
専門のIT人材や情報システム部門などを抱える余裕のない規模ですから、全員で関わっていくのです。

本業を追求するほど、ITは必要になります
営業チームは、顧客情報・商談情報を管理するためのITツールが必要です。
製造チームは、生産管理のためのITツールが必要です。

自分が使うものは、自分達で選び、組織に浸透させていく
そういう考え方がスモールビジネスには特に必要に思います。

今の仕事・役割にITを絡ませて、組織全体でITを活用していく本来の役割を追求するほど、ITは取り組むテーマになります。営業が販売管理をより良くするには、業務プロセス・データ・ITツールと向き合うことに他ならないからです。このように本来業務を追求しながら、組織全体でIT活用を進めていくのが、中小企業の理想的な体制です。...

もちろん、会社全体としてデータを共有したりする必要がありますから、全体構想はIT企画人材である経営者が担います。

特定のひとりにIT業務を押し付けない

3つ目の特徴は2つ目の特徴とも共通します。
誰かひとりにIT業務を押し付けていないことです。

誰かひとりが中心となって、企画から導入・活用・保守まで全部行うケースがあります。
俗に言う「ひとり情シス」です。
真ん中にITスキルのある人がいて、周りの人に影響を与えている。
どこかで読みましたが「梅おにぎり」みたいな組織構造です。

一方、2点目でお伝えした各部署にIT担当者がいる組織は「ぶどうパン型」です。

かつては「おにぎり型」のひとり情シスを良く見かけました。
と言うよりも、今も良く見かけます。

しかし、「ITは本業じゃないから」と誰かひとりに押し付けているようではだめなのです。

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実際、今取材している組織は、経営者が中心となって推進しつつも、各部門に理解者がいます。

各部門で働く人にとっても、同じ部門内にITが分かる人がいた方が、質問・意見しやすいのではないでしょうか。
ITを活用していく上で、お互いをフォローしあう文化は必要ですから、その点から見ても「ぶどうパン型」組織の方が、有効なことが分かります。

まとめ
  • IT活用できている組織には、IT企画人材である経営者がいる
  • 各部門にIT担当者が居て、質問やフォローをしやすい環境が整っている
  • 誰かひとりにIT業務を押し付けていない

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【編集後記】
新しく買ったiPad ProとApple Pencilが届きました。
Zoomでホワイトボードを使ったり、紙のノートで行っていることをデジタル化したりする予定です。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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