IT・システム全般

DXで選挙を根本的に変えよう!

政治のデジタル化が遅れているのは言うまでもありません。
ただ、そこを根本から変えていくのは長い道のりになりそうなので、「選挙」をDXして根本から変えていくにはどうすれば良いのか?考えてみました。

今度の国政選挙には間に合いそうにありませんが、政治家の皆様には、ぜひ検討いただきたいです。

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DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは何か?

選挙のDXについて語る前に、そもそもDXは何か?を確認しておきます。
(興味ない人は次の項目まで飛ばして下さい)

最初にこの言葉が使われたのは2004年。
エリック・ストルターマン教授の論文でした。

デジタル技術(IT)の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること。

(原文)
The digital transformation can be understood as the changes that the digital technology causes or influences in all aspects of human life.

その後、マイケル・ウェイド教授がビジネスにおけるDXとして、以下のような解釈を加えています。

デジタル技術とデジタル・ビジネス・モデルを用いて、組織を変化させ、業績を改善すること

  • 企業業績を改善
  • デジタルを土台にした変革
  • プロセスや人、戦略など、組織の変化を伴う

「DXには、テクノロジーよりもはるかに多くのものが関与する」という重要なメッセージを示しています。
DXを技術寄りの人間だけに丸投げしてはいけないことを示唆していますね。

私なりにもう少し解説を加えます。
DXとは、デジタル時代を前提としたビジネス(業務プロセス・組織・文化)に再設計することだと考えています。

産業革命で蒸気機関が生まれた後、動力が人手から蒸気機関に変わりました。
その後、電気やエンジンが生まれて、さらにビジネスは根底から変わりました。
さらにコンピューターやインターネットが生まれて、GAFAのような企業が生まれています。

同じように、デジタル技術を前提としたビジネスに変わること。
したがって、単なるITツールの活用はDXではありません。
ITツールの活用は大事なのですが、それを「DX」ということは間違いなんです。

有権者にとってメリットのない改革では意味がない

つまり選挙DXと言ったときに、有権者にメリットがなければ意味がありません
ビジネスモデルを変えるとき、主役となるのは顧客です。
顧客体験を向上し、自社のミッション・ビジョンを果たすために大きく仕組みや組織を変えていきます。

同様に、選挙制度を変えるときにスタート地点になるのは、有権者にどのような価値をもたらすか?です。
政治は、政治家にとっては自己実現の場ですし、仕事です。
ですから政治家に何らかのメリットが欲しいのは分かりますが、それ以上に「誰のための変革(トランスフォーメーション)か?」と言えば、間違いなく有権者です。
この点は間違えないようにしたいところ。

選挙のDX案

さて、前置きはこのくらいにして、デジタル技術を使って選挙を変えるアイデアをいくつか挙げてみます。

政策を一緒に考える(アンバサダーマーケティング・ファンコミュニティ)

昨今、メーカーが消費者を巻き込んで商品企画から関わってもらう手法が増えています。
自社の商品に対して、熱心に声をあげてくれる人をアンバサダーに採用し、商品企画から関わってもらうような形です。
ファンが集うコミュニティを運営するのも、同じような目的。

これを政治・選挙に置き換えてみると、政策を一緒に考えることになるのではないでしょうか。

1人の政治家が、どんなに優秀だったとしても、考えられることには限界があります。
私がどんなに頭を悩ませたところで、行ったこともない国の貧困問題を解決するアイデアは出せません。
その人の、これまでの経験が良くも悪くも、思考の方向性に制限を加えてしまいます。

だから、政治家を志さなくとも、政治に強い興味を持っている人たちを巻き込みながら、一緒に政策を考えていくような仕組みが必要なのではないでしょうか。
何よりも、そのように参画した人たちは、その政治家を応援するようになるでしょう。

今までも政治家が運営する塾などがありました。
これをデジタル技術でもっとオープンに、門戸を幅広くするようなイメージ。
単なる政治家批判ではなく、自分なりの意見を出す人が参加するような仕組みです。

個人的には政治家が中心となるコミュニティというよりは、個々の政策テーマに対して、人が集まる方が良いかなと考えています。

例えば選択式夫婦別姓について、メリット・デメリットは?
専門家から、当事者(政治の素人)まで集まってディスカッションすることにより、より良い方向性が見つかるかもしれません。

政治家はこういうところに積極的に参加して、政策案を磨いていきます。
政党として画一的に政策を決めてしまうより、よほど建設的なのではないでしょうか。
(個人的には、政党という仕組みが既に破綻しているような気がしてなりません)

政治家の活動をブログ・SNS・YouTubeなどで発信する

以前にも書いたことがありますが、政治家は自分の活動を発信する義務を負っていただきたいです。
一部の発信者を除いて、政治家が何をしているのか?サッパリ見えてこないんですよね。
国会議員だけでなく、地方についても。

週に1回程度の活動報告もできないようなら、事実上、価値ある行動ができていないということ。
税金を使って活動しているのですから、このくらいの報告はして欲しいもの。

例えば上述の政策検討コミュニティで「こんな議論をしました。結果、私は現時点でこう考えています」というだけで、非常に有益なのではないでしょうか。

政治家版タレントマネジメントシステムの活用

こちらも前に書いたことがあります。
企業で利用されているタレントマネジメントシステムのようなものを政治家(候補者)に活用します。

  • 経歴
  • これまでの活動
  • 日頃の発信(上述のブログ・SNS・YouTubeなど)
  • 政策方針
  • 所属政党・その中での役割

有権者は、これらの情報を元に、候補者を絞り込んでいくことができます。
なお、経歴を登録するときに卒業証書をアップロードするようにしておけば、今までより経歴の詐称なども出にくくなるのではないでしょうか。

現時点での選挙は、投票日数日前になって、新聞で候補者一覧が配布されるくらいです。
自分が支持したい政策を考えているのは誰なのか?など、条件抽出が非常にやりにくい。

有権者にとっては以下のようなプロセスをスムーズに実現できることが必要なのではないでしょうか。

  • 政策テーマ・トピックを探す(そもそも、どんなトピックが自分に関係あるのか?を知るため)
  • そのテーマ・トピックでの各候補者の意見を知り、絞り込める
  • 気になる候補者の詳細を知る
  • 何人かの候補者を比較・検討する
  • 投票する

その土台となるのが、候補者・政治家のデータベース(ここでいうタレントマネジメントシステム)です。

上記の流れをオンライン(ネットやスマホ)・オフライン含めて、自由に選べることが、有権者にとってのDXだと考えています。

私たちにとって、選挙は、希望を持てる社会を実現するための手段です。
そこに1人の国民・市民として参加している意義を感じられるかどうか?
この点が価値として最も重要だと考えています。

そのままオンラインで投票

ですから、システム(アプリ)上で候補者を絞り込むことができたら、そのままの流れでオンライン投票できることが望ましいです。
マイナンバーカード(これはこれで問題が根深いですが)をかざすだけでオンライン投票が完了すると良いですね。

今や物理的な場所に行って投票するというのは、無駄しかありません。
各投票所に人が動く関係で、国政選挙1回当たり、500億円以上かかっているのです。

なぜ未だにインターネット選挙は実現しないのか?選挙が終わりましたね。 結果そのものについて、ここで意見を述べるつもりはありませんが、今回、大雨&台風の選挙だったこともあり、改めて選...

「オンライン投票で十分だ!」と主張すると、「インターネットやスマホが使えない人はどうするんだ!」という反対意見を聞くことがあります。
では逆に、病気や障がい、育児や介護などで投票所まで足を運べない方は、どうすれば良いのでしょうね?

できる限り多くの国民・市民に門戸を開く意味では、オンライン投票の方が良いのではないでしょうか。
間違いなく、物理的に投票所まで行く方が、越えなければならないハードルが高いので。

個人的には、現代においてネットやスマホすら使えないような人は「知らんがな」です。(ぶっちゃけ)
自分の不勉強を他者に押し付けないで欲しい。

ただ、不勉強ではなく何らかの原因で使えない人がいるかもしれません。
そのような人たちには、郵送や自治体への訪問などで投票できる仕組みを残しても良いのかもしれません。

デジタル時代に地域で区分けした選挙区は不要

現代はデジタル時代です。
物理的な地域に区分けした選挙区は不要ではないでしょうか。
少なくとも国政選挙においては、どの地域で活動する方であっても、支持できるようにしたいものです。

私だったら、ITで選挙をこう変える前回はネット選挙を早く実現して欲しいと書きました。 https://100athlon.com/why_not_internet_...

自分の選挙区では、残念ながら支持したい候補者が全くいなかった経験をしたことが幾度となくあります。
むしろ年齢における差別をなくすには世代別投票ができた方が、よほどメリットがあるように感じます。

ここまで色々書いてきましたが、現在、投票率が低いのは、選挙に関わることがジブンゴトになっていないからだと感じます。
上述の政策提案のように、少しでも自分が関わる機会が増えたり、投票しやすくなることで、投票率を上げることができるのでは?と思います。

最後に、選挙だけでなく、政治・行政全般に対してのDX(デジタル庁に期待すること)は、こちらに書いています。

私がデジタル庁に期待したいことデジタル庁への期待を挙げてみました。コンセプトは行政のスピード1,000倍、コスト3分の1、品質向上。肝となるのは国民IDの普及。行政の業務標準化・システム化から、教育・医療・税金など、次々と改革して頂きたい。私たち国民が声をあげ続けることが重要です。...

今回のコロナ禍で分かったように、日本はデジタル後進国です。
もっとあらゆるシーンでデジタルを活用していかなければ、国として貧しくなるばかり。
政治を変えるためには、その選考プロセスである選挙から手をつけるのが良いのではないでしょうか。

まとめ
  • 選挙DXとは、有権者の投票に関わるプロセスでの価値を最大化すること
  • 政治家の活動を見える化し、政治家データベースをつくって欲しい
  • 国民・市民がジブンゴトとして関わらない限り、投票率は上がらない



【編集後記】
ここに書いたことくらい、サクッと実現できなければ、政府が掲げる電子政府(e-gov)なんて全く不可能だと思うんですよね。
なので厳しめの論調で書いてみました。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとIT、そしてデータを使った「売れ続ける仕組みづくり」「業務改善」が得意。コンサルティングや研修・セミナーで中小企業の経営支援をしています。元IT企業でエンジニア→マーケティング。中小企業診断士。
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