IT・システム全般

なぜ未だにインターネット選挙は実現しないのか?

選挙が終わりましたね。
結果そのものについて、ここで意見を述べるつもりはありませんが、今回、大雨&台風の選挙だったこともあり、改めて選挙制度そのものを変えるべきなのでは?と考えました。

「私だったら選挙をこのように変える」をまとめました。

基本ネット投票。無駄な労力をかけるのは、もう止めよう

1つ目は投票はネット限定にすること。

雨・風の中、投票所まで行くのは大変です。ご老人、身体障害者、小さな子供連れの方などは、さらに大変です。

昨日は凄まじい雨・風の中、必死に歩いている方々を見かけました。半分以上の人がレインコート着用。私も山登りに使えるガチのGORE-TEXで全身を包んで出掛けました・・それでも靴はびしょ濡れでしたが。。

しかも、この週末のような天気になると、投票所には行列ができてしまいます。そんな中、待ち続けるのも楽ではありません。どうせ待つのだったら、もっと楽しみな何かに時間を使いたいものです。

無駄な労力を強いる選挙は、もういい加減お終いにしましょう。入院などで外出できない方も、あるいは忙しくて選挙に行けなかった人も。ネット選挙なら、数分あれば投票できるようになります。

なお、何らかの事情でネット投票ができない人が居たとしたら、都道府県などで個別にフォローすれば良いでしょう。

今は目の見えない方にも使えるWebページをつくれるので、「ネット投票できない人」が居るのか?も分かりませんが。字が読めない・書けない人にとっても、投票所で名前を書くよりは、ネットで選ぶだけ方が簡単でしょうし。少なくとも投票所に足を運ぶ方が、ハードルは何倍も高いです。

1回の選挙に使われている税金は500億円以上!

「投票システムをつくるほど予算がない」という意見が出そうですので、最初に反論しておきます。全国の各地区町村で物理的な投票所を運営するコストの方が、よほど大きな問題です。

たまたま見つけた和歌山県の「投票管理者、開票管理者、投票立会人及び開票立会人の報酬及び費用弁償の額の基準を定める条例」に寄れば、選挙に関わる仕事の報酬は以下のようになっています。

(1) 投票所の投票管理者 1日につき 1万2,600円
(2) 共通投票所の投票管理者 1日につき 1万2,600円
(3) 期日前投票所の投票管理者 1日につき 1万1,100円
(4) 開票管理者 選挙執行1回につき 1万600円
(5) 投票所の投票立会人 1日につき 1万700円
(6) 共通投票所の投票立会人 1日につき 1万700円
(7) 期日前投票所の投票立会人 1日につき 9,500円
(8) 開票立会人 選挙執行1回につき 8,800円

全国の地区町村で、これらのコストが掛かっているのです。1~8まで1人ずつしか居なかったとしても86,600円。実際にはもっと人数がいるのですから、1箇所辺り数10万円は掛かりそうです。

投票所の数は全国で、合併や人口減で投票所の数が減っているとは言え、それでも4~5万箇所はあります。数10万円×4~5万箇所も費用が掛かるのです。実際、2012年12月の衆議院総選挙では588億円!!が使われたそうです。(Huff Postより)

1回選挙するだけで、500億円の税金が消えているんですよ。

これだけの予算をかければ、投票システムなんて簡単につくれます。つくるだけでなく、運用する費用を入れたとしても、500億円を使い切るシステムなんて、なかなか存在しません。

さらに、この500億円は、たった国政選挙1回切りの金額です。システムを1度つくってしまえば、都道府県選挙にも、市区町村の選挙にも利用できます。知事選だろうが、議会選挙だろうが使えます。数100億円以上のコスト削減策になるのは、間違いありません。

ネットを使おうとしない層に肩入れする政治家がいる?

なお、ネット投票に関する議論は、すでにあちらこちらで行なわれていることです。

そもそも日本は平成13年には「e-japan戦略」を策定し、平成25年には「世界最先端IT国家創造宣言」をしているのです。さらにこの議論の中で「デジタル・ガバメント推進方針」にも触れています。

にも関わらず、政治家にとって最も身近な選挙がIT化・ネット化されない。確かに公職選挙法の改正を伴う動きは、そう簡単にできることではないでしょう。しかし、2001年(平成13年)から上記のような動きがあったにも関わらず、16年経った今なお実現していないということは・・

多くの政治家にとって、ネット選挙が実現すると都合が悪いということなのでしょう。ネット利用者の割合は若者ほど多く、高齢者ほど少なくなります。逆に投票率は若者ほど低く、年齢が上がるほど高くなります。

つまりネット選挙を実現するということは、若者の支持を集めるということ。今、高齢者を支持基盤にしている政治家にとっては、どうでもいいことなのです。穿った見方をすれば、ネットを使えない・使おうとしない情弱層を集めておいた方が都合が良いのでしょう。

1つ目のネット投票だけで長くなってしまいました。次回に続けます。

私だったら、ITで選挙をこう変える前回はネット選挙を早く実現して欲しいと書きました。 https://100athlon.com/why_not_internet_...

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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