経営

社会問題に向き合う企業が、業界の壁を破壊していく

これから業界の壁を壊すようなイノベーションは、中堅以下の企業から生まれてくると考えています。そのことをこちらの記事で紹介しました。

業界の壁を壊せるのは、いつだって中小企業だ業界の壁を壊してきたのは、いつだって中小企業でした。特にこの20年間はインターネットネイティブ企業が強かった。これからは、どのような企業が業界の壁を破壊していくのでしょうか?特徴を挙げてみました。...

そして、この記事ではイノベーションを起こす企業の特徴を3つ挙げました。

  • 業界のことを良く知りつつも、ビジネスとAIを結び付けられる企業
  • 1社単独ではなく、地域・産学などのチームをまたいで活動できる企業・団体
  • 社会課題を解決する企業

この記事では3点目の社会課題解決について触れます。

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単なる利益追求が限界に来ている

インターネットの登場以来、市場が国から地球全体に広がりました。現在の各業界トップ企業は日本以外の国でもビジネスを展開しています。

しかし、(金銭的な)利益だけを追求するビジネスには、限界が見えてきています。今なお強い影響力を誇るGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)ですら、成長率には陰りが見えてきました。EUではこれらの企業に対する規制を強めていますし、アメリカと中国の貿易規制合戦も、この延長線上にあるように感じます。

資本主義に対する懸念もこの数年で良く見られるようになってきました。例えば、カヤックの柳澤さんは鎌倉資本主義(地域資本主義)を掲げられて、実際に様々な活動をされています。

単にお金という利益を追求するのではなく、価値とは何か?を考えたり、人とのつながりを求めたり、地域社会のことを大切にしたり。そういう流れが確実に生まれてきているように感じます。

テクノロジーの進化が哲学・倫理の問題にぶつかっている

さらに、テクノロジーがそれ単体で考えられないレベルまで発展してきました。特にこの連載で書いてきたAIに関して言えば、哲学や倫理の問題は避けて通れません

その一例が、AIの軍事利用です。
AIは、囲碁や将棋などのゲームで相手(人間)を倒すだけでなく、その後も進化し続けてきました。それと同様に、手持ちの駒(資源)を有効に活用して、いかに相手国を殲滅しうるかを徹底することは、AIが活用されやすい場面です。

これまでも軍事面においてはコンピュータは利用され続けてきました。そもそもインターネットの起源であるARPANET(アーパネット)はアメリカ国防総省が資金を提供しことから始まったプロジェクトです。

でも、これから先もテクノロジーを軍事に利用するのか?一国でも壁を無視して突き進めば、他国も追随せざるを得なくなります。その先にあるのは、映画に出てくるような破滅的な世界になるのではないでしょうか。

その他にも、遺伝子はどこまで書き換えてよいのか?プライバシーはどう守るのか?など、テクノロジーが進化したことによって生まれている問題は、後を絶ちません。私たちはテクノロジーを活用するだけでなく、同時に哲学・倫理を求められるようになっています

商売の本質が求められている

このような世界的な状況において、私は今こそ商売の本質が求められている時代はないと考えています。SDGsとかダイバシティーとか、次々と新たな言葉が生まれていますが、私は難しく考えることはないと思います。

かつてより日本人が大切にしてきた「商売の本質」に立ち返ることが重要ではないか、と。

例えば、近江商人の三方よし
売り手よし、買い手よし、世間よし、です。

ここでの「世間」とは?

人間だけではなく、鳥や魚、昆虫や樹木のように、あらゆる生きとし生けるもの。
さらには、生き物を取り巻く山や川、海や空。
あるいは人間社会を支える橋や道路。
そういう全ての環境を包含して「世間」と表現されています。

売り手の利益だけではなく、買い手(お客様)の利益を追求すること。
そして(広い意味での)世間の利益も追求すること。

今、日本には少子高齢化を始め、様々な社会問題が溢れています。ここまで述べてきたように利益追求型ビジネスの限界や、テクノロジー単体での進化も問題になってきています。

だからこそ、これらの社会問題に正面から立ち向かう組織が必要なのではないか?と思うのです。社会問題に立ち向かうこと自体が世間の利益追求ですから。

私自身、まだまだ言語化できない部分があるのですが、少しでも危機感が伝わってくれたら嬉しいです。既存の業界の壁、既得権益や常識をぶち壊し、新しい社会づくりに向かう企業・組織が出てくることを応援したいと思います。

まとめ
  • 金銭的な利益だけを追求するビジネスは限界に来ている
  • テクノロジー単体で進化を追求することもリスクが増えてきている
  • 溢れる社会問題に立ち向かう組織が求められている
  1. 業界の壁を壊せるのは、いつだって中小企業だ
  2. AI(人工知能)活用は業界全体のPDCA自動化を目的に
  3. 1社単独で戦うよりも、地域・産学チームをつくれる組織が伸びる
  4. 社会問題に向き合う企業が、業界の壁を破壊していく(←この記事)

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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