経営

1社単独で戦うよりも、地域・産学チームをつくれる組織が伸びる

これから業界の壁を壊すようなイノベーションは、中堅以下の企業から生まれてくると考えています。そのことをこちらの記事で紹介しました。

業界の壁を壊せるのは、いつだって中小企業だ業界の壁を壊してきたのは、いつだって中小企業でした。特にこの20年間はインターネットネイティブ企業が強かった。これからは、どのような企業が業界の壁を破壊していくのでしょうか?特徴を挙げてみました。...

そして、この記事ではイノベーションを起こす企業の特徴を3つ挙げました。

  • 業界のことを良く知りつつも、ビジネスとAIを結び付けられる企業
  • 1社単独ではなく、地域・産学などのチームをまたいで活動できる企業・団体
  • 社会課題を解決する企業

1点目をこちらの記事で解説しました。

AI(人工知能)活用は業界全体のPDCA自動化を目的に既存業界の壁を壊すイノベーションを起こすには、業界のサプライチェーン全体に対してPDCAを高速に回す必要があります。ここにAIを使うことでイノベーションが起こります。この記事ではCADソフトウェアメーカのautodeskが建設業界に取り組む事例を挙げつつ、その考え方をお伝えします。...

この記事では2点目を解説します。

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1社では必要な体制を組むことができない

前回の記事では、業界のサプライチェーン全体に対してPDCA自動化を起こすことのインパクトについてご紹介しました。事例としてCADソフトのautodesk(オートデスク)が建設業界の壁をぶち壊しに向かっていることを挙げました。

そして、このような取り組みをするためには、以下の3者が手を組む必要があるとご紹介しました。

  • 経営者(事業としての継続性)
  • その業界の現場の困りごとが分かる人
  • AIを扱える人

でも、こんな3者が1つの会社に集まっていることなんて、極めて稀です。何億円も出資を受けるようなスタートアップですら、なかなかこんな体制は組めません。そこで今回のテーマです。

1社単独ではなく、地域・産学などのチームをまたいで活動できる企業・団体

が必要になってくるのです。

1社に3者を揃えようとするのではなく、地域や産学連携するなどして、3者が協力しあえるチームを主導できると強いのではないかと思います。

前回記事のautodesk(オートデスク)の事例でも、大和ハウスと協力しています。業界に詳しく課題を感じている人と組んでいるのです。他にもautodeskの事例を調べると、日本以外でも建設企業と組んでいます。

つまり経営者とAIエンジニアは自社で用意し、業界に詳しい人とは組むという方針なのでしょう。

顧客と組むことができたら最高

別の事例で、顧客と組んでいる会社があります。7年前にあるセミナーで出会った知人が運営するinaho株式会社。アスパラガスなど野菜の収穫ロボットをつくっています。

顧客である農家に困りごとを聴き、それを元に自社の商品・サービスに実装していくのです。CEO菱木さんの動きを見ていると、実に多くの農家を訪問し、じっくり話を聴いていることが分かります。一緒にお酒も飲んで、あっとう言う間に仲良くなってしまうのは天性のキャラでしょうか。

自分が意見を出したことが、商品・サービスに実装されたら嬉しいですよね。似たようなサービスがあったとしても、意見を出した方を利用するでしょう。データを集めることによって進化していくAIを扱う上でも、ビジネスとしても、顧客と組めると強いでしょう。

余談ですが、この事業には産業用ロボットのトップ(例えばファナック)はなかなか入り込めないと思います。ご家庭で運営されている農家には、ファナックの機械を買うような予算がないからです。さらに、そんな高性能を求めていないことも考えられます。

イノベーションを起こせるのはトップ企業ではない、ということが、ここにも現れているます。

業界の壁を壊せるのは、いつだって中小企業だ業界の壁を壊してきたのは、いつだって中小企業でした。特にこの20年間はインターネットネイティブ企業が強かった。これからは、どのような企業が業界の壁を破壊していくのでしょうか?特徴を挙げてみました。...

AIエンジニアと組むという手もある

ここまで読んで、「そんなこと言われても、ウチはAIとかさっぱり分からないし」と感じられた方もいらっしゃるでしょう。

別の事例もあります。経営者・業界に詳しい人を自社が担って、AIに関する部分は外の会社と組むというパターンです。最初からAIに強い会社は、そうそうありません。色んな事例を見ていると、自社の事業でAIを活用しているうちに、少しずつ強くなっていくというケースが大半です。

ただ「AI企業と会話が成り立たない」という声も良く聴きます。AI企業は数学を中心とするエンジニア集団です。「どういうアルゴリズムを組むか」に興味が偏りがちなので、まぁ、仕方ないのですが。あと一歩だけでも事業に興味を持って欲しいですね。

私自身、あるAI企業の経営者と会話してて日本語で話していること以外、何を話しているのかさっぱり分からなかったことがあります(笑)余談ですが、事業者とAI企業の間に立つ「翻訳家」が市場からは求められているように感じます。

最近は、AIを活用する上で大学の先生や研究室生と連携している事例も見聞きします。大学は応用例やデータが欲しいですし、会社はAIが分かる人が欲しい。上手く噛み合うケースが増えてきているのでしょう。

このように自社で足りない人的資源を外部に求めるケースが増えているように感じています。その際、自社の利益だけを追求するのではなく、それぞれの気持ち・立場・利益を理解した上でチームの活動を推進できる組織が生き残っていくでしょう。

まとめ
  • 経営者、業界関係者、AIエンジニアを自社で揃えるのは困難
  • 足らない人的資源を外部に求めるケースが増えている
  • チームとしての活動を推進できる組織が強い
  1. 業界の壁を壊せるのは、いつだって中小企業だ
  2. AI(人工知能)活用は業界全体のPDCA自動化を目的に
  3. 1社単独で戦うよりも、地域・産学チームをつくれる組織が伸びる(←この記事)
  4. 社会問題に向き合う企業が、業界の壁を破壊していく

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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