日々の気づき

これからの政治家に望むこと(横浜市長選挙に向けて)

私の地元、横浜市では市長選挙が迫っています。
1票を持つ有権者として、最近は政治家のブログやYouTube、あるいは書籍などの発信を追いかけ続けています。

政治に関して、私は(多くの人と同様に)素人です。
そんな私が、これからの政治家に何を望むのか?記してみました。

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キレイごとだけでなく、厳しいことも明確に

まずは政策面など個々の話ではなく、政治家としての姿勢についてです。
結論から言えば、「キレイごと」はもうたくさん。
国民・市民に厳しい現実を示すこと、変わるために苦労を強いることを明言すべきでしょう。

選挙が近づくほど、政治家はキレイごとしか言いません。

「国民のために働く」
「一億総活躍社会」

などなど。既にこういう言葉に対してしらけているのは、私だけでしょうか。
「どうせ言ってるだけでしょ。自分のことしか考えてないクセに。」と。

なぜそのように感じてしまうのか?
キレイごとだけで社会が良くなるなんて、もう誰も思ってないからです。

人口は減っていくフェーズに入りました。
日本全体で見れば、毎年、山梨県甲府市(19万人)・沖縄県那覇市(32万人)に相当する人口が減り続けています。(ここ数年は、毎年20数万人の人口が減っています)
「中核市」と言われる規模が丸々消えるほどの勢いで、毎年日本は人口が減っています。

そして少子高齢化。
これらを踏まえれば、いつまでも経済成長できるわけないのは明らか。
それにこれ以上、無理な経済成長を目指すほど、地球環境への悪影響が続いてしまいます。

地球環境の悪化を食い止めるには、強烈な炭素税が必要になるかもしれません。
今、自動車業界を中心に日本の産業は動いています。
それをぶち壊す必要が出てくるかもしれません。

人口低減時代、経済低調時代には、何らかの形で、増税や痛みを伴う改革が必要です。
やらなければ、子孫に持続可能なまともな社会を残せないから。

そういう目をつぶりたくなるような現実を明確に示すことこそ、政治家として真摯な姿ではないでしょうか。
ウケのいい政策ばかりを掲げて、「だから自分に投票してね」というようなやり方は、既に破綻しているように思うのです。

国民・市民との継続的な対話を

1点目に関連しますが、選挙のときだけ大声を上げる政治家は、もう勘弁です。

なぜ投票率が低いのか?
政治に関する教育が少ないこともありますが、もっと問題は根深いのでは?と思います。

投票という数年に一度のイベントのときだけ、政治を考えるというのは無理なことです。
しかし現実は、いきなり現れたどこの馬の骨だか知れない人に投票しなければなりません。

そんなムリゲーなやり方ではなく、有権者と継続的な対話を行うべきでしょう。
そうすることで、有権者が政治に参加する意義や、政治と日常生活・仕事との関係性を見出していくはずです。

なにより、社会問題は複雑化しています。
あらゆる現場からの、様々な専門性を持った人たちの集合知を使わない手はありません。
政治家ひとり(あるいは政党内)だけで考えるには、今の社会は複雑すぎです。

対話を通じて政策を練り上げていく。
そういう活動を通じて、有権者は政治に興味を持つ。
相手を信頼して、投票できる。
こういう正のスパイラルが動くようになるでしょう。

なお、ブログやSNS・動画などを通じて有権者とコミュニケーションしていない方は、現代の政治家としては失格ではないでしょうか。
(対面やメディアを通じた発信だけでは、コミュニケーションの頻度がどうしても下がってしまいます)

アーキテクチャで政治を考える

ここまでは姿勢が中心でしたが、今度はもう少しスキル的なことを。
これだけ複雑化した社会において、1つ1つの政策をバラバラに考えることは現実的ではありません。
「体系」として社会や政治を捉えない限り、将来像は描けないのではないでしょうか。

その体系として参考にしたいのは、建築やITの世界では日常的に使われている「アーキテクチャ」の概念です。

アーキテクチャとは・・ある目的を達成するために諸々の要素を(レイヤー)構造的に組み合わせてシステムとして機能させる全体像のことです。

ソフトウェアの知識が必須

例えば、マイナンバーを単体の政策として考えるのではなく、全体構造のなかにおける1機能として捉えます。

既にそれを実現しているのが、インドです。
インドでは、「インディア・スタック」と呼ばれるソフトウェア・スタック(群)によって、様々な政治機能をソフトウェアで実現しています。
いわば、政治のDX(デジタル・トランスフォーメーション)です。

インド成人の99%は、アダール(Aadhaar)という身分証明プログラムに加入しています。
これによってコロナ禍における給付金の受給者に、政府が接触しやすくなったそうです。

日本のマイナンバーに相当する機能ですが、単一の政策としてではなく、ソフトウェア・スタックの一部(もちろん重要な一部)として実装している点が素晴らしい点です。
各自治体によって、必要な機能をピックアップして、組み合わせることができるようになります。

政治に限った話ではありませんが、ソフトウェアの知識を抜きにして、これからの政治(やビジネス)を構想することはできません。
政治家や官僚は、いわゆる文系が多いですが、これからはIT、特にソフトウェアに関するスキルは必須です。

ちなみに、法律とソフトウェア(アルゴリズム・コード)の関係も、今後はますます密接になっていきます。

プログラミング・コードやアルゴリズムが法律になる社会2人の哲人、ハラリとタンの対談を受けて。個人情報をどこまで守るか?活用するか?は国の戦略そのもの。今後、コードやアルゴリズムが私たちの生活を規定する法律になる。国や行政のシステムはオープンソースにすべきでブラックボックスにしてはならないと考えます。...

スマートシティ

最後に横浜市に関連して、スマートシティについて述べておきます。

アーキテクチャやレイヤー構造で考える必要がある典型例がスマートシティです。
エネルギー、交通、医療、教育など、様々な機能・サービスを網羅的に設計する必要があるからです。

横浜市でもスマートシティに関する動きがあったそうです。

こちらのページより)

なんと平成22年から活動しているとのことですが、、市民として、全く知りませんでした。
これこそ「市民との対話」が足りてない証拠です。
(私の不勉強は申し訳ないとしか言えませんが・・)

ただ、この活動への参加企業を見ると、ちょっと残念です。
従来型の企業(エネルギーとか、建設とか)しか入っていないからです。
もっとソフトウェアが分かっているプレイヤーを投入すべきでしょう。

  • 具体的な目的は何か?
  • アーキテクチャとしてどうするのか?

を決めておかないと、収拾がつかなくなるように思います。

少なくとも市長になる方には、こういうところをしっかりメッセージとして打ち出して欲しいものです。
今、私が調べている限り、候補者からは、そういう都市全体としてのメッセージは出ていません。
あくまでも「脱炭素」などの部分だけ出しているように見えます。

横浜市への期待

横浜市は、人口 370~380万人の政令指定都市です。
人口 330万人のドバイや、300万人弱のカナダ・トロントで行われている活動は参考になるでしょう。
また、北欧諸国(人口 500~1,000万人)が行っている先進的な取り組みも、市政の参考になるのではないでしょうか。

私が横浜市長選挙に注目しているのは、もちろん地元だからですが・・
それ以上に、人口などの規模感を見たときに、日本を変える試金石になると感じているからです。

400万人弱の市民に意見を通すのは、並大抵のことではないでしょう。
痛みを伴う改革なら、なおさらです。
だからこそ、「この人の言うことであれば信じられる・着いていける」と感じるような、公明正大さや真摯さ、リーダーシップが求められるのではないでしょうか。

市長の任期は4年です。
さらに「次」を考えていたら、より日本は地盤沈下しているでしょう。手を打つには遅すぎます。
今回選ばれる市長を中心に、少しでも政治を良くしていくことを期待しています。

まとめ
  • これからの政治家には、悪いニュースを隠さずに伝える公明正大さ・真摯さが必要
  • 国民・市民と継続的な対話を通じた信頼関係の構築が必要
  • アーキテクチャ・ソフトウェアのスキルが求められる

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【編集後記】
最近のデルタ株の広がりを見て、自分なりに外出自粛を強めています。
先週あたりから、カフェに行くのを禁止して、最初の緊急事態宣言中のような生活に。
個人的にはデータで見る限り、最初のときより、今の方がリスク高いと感じています。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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