多くのビジネスパーソンが苦労している1つが「読書」。
私自身、社会人になるまで読書習慣がなかったこともあり、読むのが遅い・難しい書籍が読めないなどの悩みがあります。
この記事では、六中観(りくちゅうかん)が示す読書のあり方と、私の考えをご紹介します。
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六中観(りくちゅうかん)と安岡正篤
六中観は、安岡正篤の座右の銘です。
安岡正篤は、人間学を学ぶと必ず出てくる、日本の哲学者・思想家です。
政界・財界・皇室が安岡を頼りにしていたことから「昭和最大の黒幕」と評されました。
ご本人は「自分はただの教育者にすぎない」と考え、「黒幕」と言われるのを嫌がったそうですが。
安岡は著作で六中観について、
私は平生ひそかにこの観をなして、いかなる場合も決して絶望したり、 仕事に負けたり、屈託したり、精神的空虚に陥らないように心がけている。
と述べています。
さて、六中観を見てみましょう。
解説は安岡正篤の著作によります。
- 忙中閑あり
ただの閑は退屈でしかない。ただの忙は文字通り心を亡ぼすばかりである。真の閑は忙中にある。忙中に閑あって始めて生きる - 苦中楽あり
いかなる苦にも楽がある。貧といえども苦しいばかりではない。貧は貧なりに楽もある - 死中活あり
死地に入って活路が開け、全身全霊をうちこんでこそ何ものかを永遠に残すのである。のらくらと五十年七十年を送って何の生ぞや - 壷中天あり
世俗生活の中にある独自の別天地をいう - 意中人あり
常に心の中に人物を持つ。或いは私淑する偉人を、また要路に推薦し得る人材をここというように、あらゆる場合の人材の用意 - 腹中書あり
目にとめたとか、頭の中のかすような知識ではなく、 腹の中に納まっておる哲学のことである
「六中観」にある「中」の字は、「中庸」の教えである 偏かたよらない、過不足のないことを示すそうです。
また「易経」では、「中る(あたる)」と読み、陰陽が相和して活発な創造に進み、寸分違わず的に中り的を射ることを示すそうです。
安岡先生は、六中観に「中」の字を入れることで、「調和・融合・一体化」の意味を込めているようです。
腹中書あり
六中観、1つ1つが深いので、ここではコメントを差し控えます。
この記事のテーマである6つ目、「腹中書あり」を考えましょう。
目にとめたとか、頭の中のかすような知識ではなく、腹の中に納まっておる哲学のことである
私は先日、『論語と算盤』を読みました。
数年前にちくま新書版の『論語と算盤』を読んでいたはずですが、初めて読んだ感覚でした。
つまり、以前に読んだことを、何も覚えていなかったのです。。
安岡先生の仰る「目にとめた、頭の中のかす」、あるいはそれ以下だったのかもしれません。
世の中は多読や速読が求められる風潮があります。
しかし私は決して、それだけではいけないと感じています。
その本を読む目的を明確にする
読書の大前提は、その本を読む目的を明確にすることです。
- 仕事で使う知識を仕入れる(〇〇ができるようになる)
- 資格試験に合格する(〇〇を解けるようになる)
- 楽しむ(私がマンガを読むときは、これです)
- 自らを躾ける(人間学・哲学書の多くはこれ)
- 膨大な体系を時間をかけてインストールする(ドラッカーなどはこれです)
前半3つは、多読・速読が活きるのかもしれません。
(私はそれでも、最近は数冊の本を繰り返すことにしています)
しかし、人間学・哲学や、ドラッカー・7つの習慣など骨太な本を身につけるには、何度も読み返す必要があると感じています。
最初、ハードルが高いと感じる場合は、簡単な解説書から目を通しています。
「腹の中に納まっておる哲学」を確立するには、時間をかけながら、刷り込んでいく以外ない。と今のところ感じています。
安岡先生は、知識・見識・胆識という言葉を仰いました。
単に読んだだけでなく、「知識」を経験・学問を積み「見識」にし、更には実行力の伴う「胆識」とすることを推奨されていたのです。
単に楽しむ以外の読書には、何らかの目的があります。
その目的を達成するには、読んで終わりではなく、自分自身で行動につなげることが求められます。
今は知識社会と言われますが、表面的な知識ではなく、見識・胆識を身につけていきたいものです。
なお、私が運営している「継続コミュニティ」では、ドラッカー読書会を隔週で行っています。
難解な本は自分ひとりだと、なかなか読めませんので。。
読書会を運営することで、強制的に読む機会を設けています。
また、個々人が感じたことをシェアすることで、学びを深めることができています。
今は名著『エッセンシャル版 マネジメント』の後半をやっています。
- 六中観とは、安岡正篤先生の座右の銘
- 生きることに必要なエッセンスが詰まっている
- 腹中書あり。哲学になるような読書をしたいもの
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【編集後記】
GW後半にトライアスロン合宿に行ってきました。
未だにカラダが重く怠いです。
ただ、今日は企業研修の収録です。
スタジオで(せめてその瞬間だけは)元気に振る舞ってきます。
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ビジネスを楽しみたい。
変化・成長したいというビジネスパーソンにお読みいただいています。