このところ、スモールビジネスにおけるIT活用の相談が増えています。手前味噌になってしまうのですが、「やっと話の通じる人に会えた」と仰っていただけることが多いです。
商品・サービスを提供するIT企業や、ITに関するサービスを提供している専門家は、山ほどいるのが実態です。にも関わらず、上記のような言葉を頂いてしまうのです。
中小企業におけるITコンサルティングに必要なこととは何でしょうか?私なりの意見をお伝えします。
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「自社の売り物」から入らない
私が大切にしていることは、「売り物から入らない」ことです。
システム開発をする会社は、なぜか最初からシステム開発をすることを前提にヒアリングします。パッケージソフトを提供している会社も、最初からパッケージでどう対応できるか?と話をしがちです。ITエンジニアを派遣する会社は、要件に合ったエンジニアを派遣することを前提に話をしています。
どれも入り口を間違えていると言わざるを得ません。これらは全て手段に過ぎません。お客様にとっては、
- 売上が上がる
- プロジェクトごとの原価が明確になる
- 情報共有がスムーズになる
- 生産計画を精緻にできる
- データを元に意思決定できるようになる
というようなことが重要なのです。これらの目標を達成するためには、ITを使おうが、そうでなかろうが、大した問題ではありません。目標に近づくこと・成果を上げることが大切なのです。
手段は手段に過ぎません。その前提を間違ってはいけないと思います。ただ、何を実現したいのか?理想像が描けないケースも多いものです。その場合は事例をお伝えするなどして、理想像を一緒に描く必要があります。
専門用語を使わない
大企業であれば専門の情報システム部がありますが、スモールビジネスにはIT担当者すらいないケースがほとんどです。
ITに関わらず、専門家はついつい専門用語を使いがちです。専門家同士であれば、専門用語を使って確実かつ迅速なコミュニケーションが求められるでしょう。しかし、ITの専門家でないお客様と会話をするときには、できる限り専門用語を避けるようにしています。専門用語を覚えることがお客様の仕事ではないからです。
ただ、基本的な用語は理解してもらった方が、話が早いのは確か。
ですので私の場合は、最初にその用語を使ときに解説を加えています。例えば私は
「インターネットの向こう側で動いている、『クラウド』というシステムがあります。クラウドは…」
というように、最初に専門用語を使うときに、解説を加えます。それで反応を見つつ、相手が理解できているようでしたら、その用語をそのまま使います。分からなそうなときは、解説を何度も加えたり、別の言い方に切り替えたりします。
質問を頂いたときには、比喩を使いながら説明します。
「今は発電機を自社で保有する会社は減りましたよね。持っていたとしても非常時用の電源程度。コンセントをつなげば必要な電気は使える時代になりました。クラウドはコンピュータ版の発電所のようなものです。ネットにつなげばクラウドは使えます。対して、自社でコンピュータ設備を準備するのは、発電機を買ってくるようなものです。」などと説明しています。
技術的に正しい理解を促すよりも、お客様にとってイメージできることを優先しています。
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経営、業務、システムの3点で課題を確認する
1点目にも関係するのですが、いきなりツール・システムのことは聴きません。それよりも、より上位にある経営・業務の視点の方が大切だからです。
私は、経営、業務、システムの3つの層に分けて、それぞれに課題をヒアリングしています。お客様組織のなかで「誰の」課題なのかを明確に分けたいからです。
一般のITベンダーは、いきなりシステムから入ってしまいがち。そうでなくとも業務から入ることが多いです。しかし、意思決定者である経営者にとっては経営視点こそが最も重要です。にも関わらず、経営視点でシステムを活用すると何が変わるのか?を語るベンダーは少ないと感じています。
さらに現場を改善するためには業務プロセスの視点が欠かせません。そしてシステム運用の視点。この3点を網羅的に押さえておかないと、ツール・システムの導入・活用は上手く進みません。
私はITコンサルタントである前に、経営コンサルタントであることを自らに課しています。ですから必ず、経営視点からヒアリングするように心掛けています。
- スモールビジネスにおけるITコンサルティングは、まずはフラットに聴く
- 専門用語を避け、比喩を使いながらイメージできるようにする
- 経営、業務、システムの3層に分けて課題を整理する
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