IT・システム全般

スマートフォンが引き起こした市場へのインパクト

最初のiPhoneが登場したのが2007年1月。それから既に干支が1回まわりました。登場から12年経過したスマートフォンですが、改めて市場に与えたインパクトを振り返ってみましょう。

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真のパーソナルコンピューターの登場

スティーブジョブズが最初にiPhoneを発表したとき、

  • アップルのデジタルオーディオプレーヤーであるiPod
  • 携帯電話
  • インターネットや電子メールの送受信

等が行える携帯情報端末、これら3つの機能を併せ持った機器として登場しました。そのために「スマートフォン」と名付けられたわけですが・・

今になって振り返ってみると、これこそが本当のパソコン(パーソナルコンピューター)でした。一般のパソコンは今でも1台を家族やオフィスで共有することもありますが、スマホは1人1台です。

ポケットやカバンに入り、常に傍らにあることで、「パーソナル(個人的)」なコンピューターを実現したのです。パソコンという身体から少し離れた存在から、常に身体の傍にあるスマホへ。この流れは、ウェアラブルデバイスや、身体に埋め込むタイプのコンピューターにつながっていくキッカケとなりました。

コンピュータを個人レベルに普及させたという意味では、スマホの功績は非常に大きいでしょう。そして文字通り、いつでも・どこでもインターネットにつながる時代を創り出したのです。

従来型の電話市場の破壊

スマートフォンの登場により、2つの電話市場が破壊されました。ここでは日本国内の統計データを元にお伝えします。

従来型の携帯電話市場の破壊

1つは、従来型携帯電話(ガラケー、フィーチャーフォン)の市場です。1980年代後半から一世を風靡したポケベル・PHSは、90年代に入ると、携帯電話に市場を奪われていきました。

今度はその携帯電話(ガラケー・フィーチャーフォン)の市場が、スマートフォンに破壊されました。2000年にカメラ付き携帯電話、2004年におサイフケータイが発売されて伸びまくっていた市場でした。

しかし2008年にiPhone3Gが発売されると、少しずつスマートフォンにシフトする利用者が増えていきます。最新の情報通信白書によると、2018年のスマホ保有率は、個人で64.7%です。
(追記:2020年時点で、スマートフォン世帯保有率は8割を大幅に超えています。総務省「令和2年通信利用動向調査より)

もはや従来型携帯電話は、シニアなどの特定ユーザー・用途にしか使われません。現時点で、仕事においてはスマホ一択です。ガラケーでは生産性は上がりません。

ガラケーをスマホに変えない限り、生産性は向上しない昔ながらの携帯電話(ガラケー・フィーチャーフォン)を使っていると生産性は上がりません。スマホに変えると何ができるようになるのか?をお伝えします。これを機会にスマホに変えましょう。...

ガラケーを生産していたメーカーは、ことごとくスマホメーカーに破られていきました。ガラケー時代は元気だった国産メーカーや、世界的にはNOKIAなどは、スマホの波についていけずに飲まれました。(NOKIAはスマホを出しているようですが、店頭でほとんど見ないような)

固定電話市場の破壊

もう1つが固定電話市場です。情報通信白書によると1996年の加入者数6,153万件をピークに、固定電話の契約数は下がり始めます。

2000年には加入電話と携帯電話(スマホ含む)の契約数が逆転。そのまま減り続けていき2018年には1,782万件まで減っています。一方の携帯電話(スマホ含む)の契約数は17,315万件です。

既に10倍の差がついているのです。固定電話市場はスマホを含む携帯電話市場に破壊されたと言って良いでしょう。

余談ですが、我が家も一応、固定電話はありますが、いつまで持つことやら。子どもの小学校の連絡網を見ると携帯電話番号やIP電話(050番号)で登録している家庭が増えています。既に固定電話を契約していない家庭も増えているのでしょう。(一斉通知が簡単な時代に連絡網があること自体の問題は別として・・)

その他の市場の破壊

スマホは他にも、既存市場を次々と破壊していきました。

コンパクトデジカメ市場の破壊

その代表例がデジタルカメラ、特にコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)の市場です。


カメラ映像機器工業会のサイトより)

スマホの売上(黄色の点線)が伸びるほどに、コンパクトカメラ(水色の線)が下がってきているのが分かります。実際、コンデジを持っているシーンを見かけることは減りました。ちょっとした写真や動画を撮るにはスマホで十分という人が増えたのでしょう。

一方で、一眼レフなどの専門性が高いカメラを持っている人は見かけるようになったように思います。

フィルムからデジタルへ、そして一部はスマホへ。
この変化に対応できなかったメーカーは、退場を迫られました。

業界の壁を壊せるのは、いつだって中小企業だ業界の壁を壊してきたのは、いつだって中小企業でした。特にこの20年間はインターネットネイティブ企業が強かった。これからは、どのような企業が業界の壁を破壊していくのでしょうか?特徴を挙げてみました。...

ポータブル音楽プレイヤー

ポータブル音楽プレイヤーも減りました。コンデジ同様、スマホで十分でしょ?という人が増えたのでしょう。

専用のプレイヤーは、それ単体で新しい楽曲を入手することができません。しかし通信機能や決済機能を持ったスマホであれば、気になる楽曲をその場で購入できます。さらに通信機能があるおかげで、手元にダウンロードしてから聴くのではなく、聴きたい曲をそのときにネット経由で聴くことも可能になりました。ディスク・メモリ容量を節約できます。

こうして利用者の目線から見ても、専用プレイヤーよりもスマホの方が使いやすかったのですね。

このようにスマホは、様々な市場を破壊してきたのですが、その一方で新しい市場をつくってきました。が、長くなってきたので、次回に続けます。

スマートフォンがつくり出す新たな市場スマートフォンが生み出した新たな市場のことをご存知でしょうか。スマホが浸透したことにより、SNS、IoT、ウェアラブルデバイス、ドローン、自動運転車など、次々と新しい市場が生まれています。大きなトレンドを把握したい方は要チェックです。...
まとめ
  • スマートフォンは、真の意味でのパーソナルコンピューター
  • 固定電話市場、携帯電話(ガラケー)市場を破壊した
  • コンデジや音楽プレイヤーなど、他の市場も破壊してきた

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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