売上・利益を目標の1つに掲げている会社は多いと思います。
しかし、目標ではなく、その先の目的になってしまっている会社もあります。
売上や利益が目的化してしまっている会社は、幸せになれないと考えています。
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売上・利益ばかり報道される価値観に違和感
最近、企業の業績向上を讃えるような記事をいくつか読んで、強烈に違和感を感じました。
規模を多く!時価総額を高く!みたいなのは、すごく前時代的に感じるようになってきました。なんか拝金主義的すぎて。
もちろん、社会的に必要なのであれば、そのアプローチもあるのでしょうが、組織・事業のあり方って、それだけじゃないですよね。— 渋屋 隆一💡中小企業のデータ・IT活用 (@giraffe_duck) July 6, 2020
- 売上・利益が伸びる
- 時価総額が上がる
- 規模が大きく
これらは本来、事業を営んだ結果であるはずです。
最初から目的にするようなものではないと思います。
(規模については、経営者が戦略として選んでいくものでもありますが)
数字とか人数とかが増えることだけで喜んでしまうのは、子供の価値を偏差値だけで評価しているようなものだと感じるのです。
偏差値を伸ばすことが目的化されてしまい、子供自身の人としての成長や幸せを考えていない。そんな教育は既に過去のものになりつつありますが、企業を数字だけで評価する風潮は、未だ無くならないどころか中心であることを感じました。
ちなみに「社員の幸せ」で知られる伊那食品工業の塚越会長(当時)は『年輪経営』のなかで、このように書かれています。
弊社に興味を持って頂けるのはとてもありがたいのですが、その取り上げられ方に、どこか違和感を持ったことも事実です。
増収増益は、そんなに大切なことでしょうか?
大切なのは、社員を始め弊社に関わっている人たちの「幸せ」です。
(略)
私は弊社の「48年間、連続増収増益」よりも、「20年間、会社が嫌で退社した人間はゼロ」ということに、誇りを感じます。
この塚越会長の言葉に、経営者として、人としての深い人徳を感じるのは私だけでしょうか。
こういう話を聴いた後に、経費を使って遊びにいくとか、むやみな節税だとかに躍起になる社長を見ると、心から残念な気持ちになります。
そこで働く社員の方々が気の毒で仕方ないからです。
マネーゲームに振り回されないために
売上や利益に関して、ただ数字を追い求めるだけのマネーゲームに振り回されないようにしましょう。利益など、極論すれば理屈でつくられた虚構に過ぎません。
事業の目標として利益を強調することは、事業の存続を危うくするところまでマネジメントを誤らせる。今日の利益のために明日を犠牲にする。
(ドラッカー『現代の経営』)
余談ですが、目先の数字に惑わされないよう、会計の本質を身に着けるには、この本は非常に分かりやすいです。レストラン経営に悩む社長が主人公のストーリーになっています。
見た目(決算書)の利益を確保したいのは、経営者自身の見栄だったり、銀行・証券会社の担当者だったりします。あるいは税金が欲しい役所です。(もちろん、税金は国や地域を運営する上で、必要不可欠なもので不要なものではありません)
しかし、それで本当に事業は良くなるのでしょうか?
働く社員や関係する人たちは幸せになるのでしょうか。
学校が偏差値に偏り過ぎた教育を見直しているように、経営者も目先の売上・利益を目的とするような経営からは、足を洗うときが来ていると感じます。
売上・利益は事業を行うための1つの指標
売上・利益は事業を継続させるための必要条件です。
将来に向けた投資のためにも、リスクに対する備えのためにも、利益は必要です。
しかしながら、経営全体から見たら、あくまでも達成すべき指標の1つに過ぎません。
さらに言えば「利益を上げる」というのは戦略でも何でもありません。
利益を伸ばすには、売上を伸ばすか、経費を下げるかがあります。
売上を伸ばすには、顧客数を増やすか、価格を上げるか、購買頻度を上げるか。
現場がどうすれば良いのか?を理解できる形で示すのが戦略です。
「利益を上げろ」は何も考えていないに等しいのです。
売上・利益という数字以外にも、経営する上で大事にしたい指標は数多くあります。
その取捨選択こそが、経営者の仕事であり、戦略そのものです。
社員数(=企業規模)は、その1つかもしれません。
リモートワーク活用度も。
ペーパーレス浸透度も。
お金以外で、ビジョンに近づき、ミッションを果たしていることを表す指標は何でしょうか?
その指標を満たすことによって、社員の幸せは実現されるでしょうか?
このような指標の発見・取捨選択が経営者の仕事です。
- 売上・利益を目的にしている企業は、幸せになれない
- マネーゲームに振り回されないようにしよう
- 他の指標を発見し取捨選択するのが経営者の仕事
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【編集後記】
今週土曜日、あるイベントの一部でドラッカーについてパネルディスカッションに参加することになりました。自ら求めることで、少しずつ本質的な学びの場に参加できるようになってきました。
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