IT・システム全般

新型コロナでデジタル変革は本当に進んだのか?

最近、新型コロナウイルスによって、デジタル変革(IT活用)が進んでいるという話を良く聞きます。本当にデジタル変革は進んでいるのでしょうか?

私は「油断ならない状況」だと感じています。

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新型コロナウイルスによって変化せざるを得なかった人

確かにデジタル変革は進んでいる

マイクロソフトのCEOサティア・ナデラ氏は、「2年分に相当するデジタル変革が2カ月で起こるのを見た」と仰っています。実際に商品が売れ、Web会議ツール(Teams)を使う利用者が激増しているからです。

https://news.mynavi.jp/article/20200430-1026535/

他にもZoom(Web会議)の利用者数などの市場データ、あるいは業界のオピニオンリーダーの意見を聴く限り、確かにデジタル変革は進んでいるように見えます。

私が先日参加したあるイベントでは「向こう10年かかると思っていた変化が、既に起きてしまった」と言われていました。

デジタル変革せざるを得なかった人は誰か?

では、デジタル変革が進んでいるのは、どういう人・組織なのでしょうか?
今までITを活用しようとしなかった人たちです。
イノベーター理論でいう「レイトマジョリティ」や「ラガード」です。

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簡単に言えば、世の中の大半に広がるまでは手を出さない・新しいものには対応したくない保守派です。これだけITツールが便利に簡単に安くなっている世の中なのに、それから目を背けてきた人たちとも言えます。

新型コロナで在宅勤務せざるを得なくなり、嫌々・懐疑的ながらもWeb会議などを使うことになった人たちです。有名どころですと、日本電産の永守さんです。テレワークなどに懐疑的な立場でしたが、「変わらなければいけない」とインタビューでも仰っています。

逆に言うと、「イノベーター」や「アーリーアダプター」の人達は、何も変わっていません。新型コロナ前からリモートワークしていますし、ツール類も使いこなしていたからです。

つまり今進んでいるデジタル変革とは、先進者がより進んだのではなく、最後尾集団を無理やり押し上げた形です。

リバウンドに注意

ただ私は、いわゆるリバウンドに注意すべきだと感じています。
緊急事態宣言の終了と共に、元の働き方・業務プロセスに戻ってしまうことを懸念しているからです。

実際、レイトマジョリティやラガードの組織では、生産性が元に戻っていません
慣れないリモートワークをしているので、元々遅かった業務スピードが、より遅くなってしまっているのです。
どうしても出社しなければ出来ない業務も数多く残されています。

実際、私のお客様でも、そのような企業はかなり苦労されています。
まだ十分にIT活用できているとは、とても言い難い状態です。
ご本人たちが誰よりもそれを自覚しています。

現状、そのような状況ですので、緊急事態宣言が終了するとともに、元の木阿弥・・というシナリオが容易に想像できます
滞った業務をまわすために、一時的には仕方のないことでしょう。

しかし、中長期で見たときに、普通にリモートワークできる組織に変えていかなければ、市場から取り残されていくことは間違いありません。

今こそマネジメントの本質に立ち戻るべき

ではなぜリモートワーク出来ないのか?IT活用が進まないのか?
理由は実にシンプルで、マネジメントができていないからです。

「離れていたら、働いている姿が見えない」
「本当に働いているのか?サボっているのでは」

このような意見をいう経営者や管理職は、マネジメントとは何か?をゼロから学んだ方が良いでしょう。なぜ自分が採用したスタッフを信頼することができないのか?まずはご自身の「あり方」を見つめ直すときではないでしょうか。

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マネージャーに必要な4つのスキル

ドラッカーは、マネージャーに必要な4つのスキルとして「意思決定」「コミュニケーション」「管理」「経営科学」の4つを挙げています。

3つ目の「管理」について、少しだけ補足をしておきます。
管理というと、就業時間や残業時間など、表面的なものばかりを見る人が多い印象です。

しかしそんなものは、仕事の成果とは直接的には何の関係ありません。
働く時間が10時間でも成果を上げていなければ意味がありませんし、10分でも成果を上げていれば良いのです。

ドラッカーの言う「管理」とは、仕事の成果を測定し、目標としていた内容をどの程度クリアしたかを検証し、問題点があれば修正するというフィードバック活動のことです。

つまり仕事の成果とは何か?が定義できていなければ、管理はできません

ドラッカーは「成果に関係のないことをを測定するのはやめなければならない。重要なのはいかに管理するかではなく、何を管理するかである。」と言っています。何10年も前にドラッカーに言われたことについて、私たちは未だに理解・実践できていないのです。

多くの従業員は、仕事を通じて社会に貢献したいと考えています。
人は社会とのつながりによって、生かされていることを知っています。

今、マネージャーに必要なのは、強圧的な管理をすることではなく、何が成果なのか?を示すことではないでしょうか

今こそマネジメントの本質を大切にして、組織を変えていくときだと考えています。
マネジメントを追求するほどに、自然と組織はデジタル変革していくはずです。

リバウンドする組織と、着実に変革していく組織。
コロナ後は、大きく組織が2つに分かれていくと感じています。

まとめ
  • 新型コロナでデジタル変革させられているのはレイトマジョリティやラガード
  • 緊急事態宣言の解除と共に、リバウンド(元の木阿弥)する可能性が高い
  • 今こそ、マネジメントに立ち戻り、組織を変革していくとき

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【編集後記】
今日は独立・起業の実践塾「礎」の第3回です。
1~3回目で事業の土台づくりが終わります。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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