組織

私が中小企業をメインのお客様としている理由

昨日は、私が事業にかける想いを、ビジョンの言葉を元に掘り下げてみました。

事業と自らの価値観を掘り下げてみる(コア・バリュー経営への第一歩)事業を行う上で、自らの価値観を整理することが、ますます重要性を増しているように感じています。そこで私自身、もっと掘り下げてみることにしま...

なぜ中小企業をメイン顧客にするのか?その辺を改めて、考えてみました。

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社会に変化・変革を促すなら中小企業からの方が早いから

私は大企業に14年間、在籍していました。そして大企業や自治体などの大組織とのお付き合いは、もう20年になろうとしています。長年、大組織を見てきて感じることは、「大きくなるほど変化・変革させるのは難しい」という当たり前の事実です。どんな組織でも変化しようとするのは、少人数です。しかし大組織になるほど、その変化を食い止めようとする反発が多方面から生まれます。

大企業の変革は難しい

ちょっと昔話を。

私が初めて管理職になった年。現場から変えたいことが多々あり、課長10名以上が集まって、様々なプロジェクトを動かしました。ただでさえ、初めて管理職になり、不慣れな業務に振り回されていました。まだ自分が担当していたお客様の引き継ぎも、完全には終わっていなかったので、プレイヤー・管理職・改善プロジェクトと3つの仕事を同時並行させて、本当に頑張った1年間でした。

嬉しいことに本部長・部長も協力してくれて、約1年後、色んなことが良い方向に変わろうとしていました。しかし、その矢先に悲劇が起きました。革新を進めようとする本部長が、取締役とウマが合わなかったらしく、部長に降格された上に、子会社に飛ばされてしまったのです。「巨大戦艦の向かう方向を変えるのは、本当に大変だ」と痛感した出来事でした。

プロジェクトで頑張っていた私達が、一気にやる気を失ったことは、言うまでもありません。この件以降、私は「会社全体」を改善する提案は一切しなくなりました。せいぜい、部門レベルの改善ができれば十分だと考えるようになってしまったのです。

自社以外にも、もっと大きな何万人・何10万人規模のお客様の組織も大変でした。稟議を通すためだけに担当者が四苦八苦したり、承認されていたはずのことが「役員が変わった」という理由だけでちゃぶ台返しを食らう。そして、当時の私のように提案する気力も失せる。そんな人が大量生産されているのが、大組織の現実でした。

もちろん、大組織にも良いところはたくさんあります。大きな仕事ができる。海外を含めた広いフィールドで活躍できる。そういうことに楽しみを覚える人にとっては素晴らしい環境です。ただ私には、余計なしがらみのない中小企業のスピード感の方が面白いと感じるようになりました。

大企業は制度疲労してきている

実際、変わることのできない大企業は、ずいぶん疲れ果ててきているように感じます。大資本や大人数を抱えることと競争力が直結しなくなってきた今、重荷の部分の方が目立つようになってきました。

中小企業経営者に話を聴いていても、かつては様々な取引があった大企業が、どんどん引き上げている傾向が見えてきます。例えば大手システムインテグレーターは、これまで下請け・孫請けに開発案件を放り投げていました。今は原点回帰の動きがあったり、派遣法などが厳しくなったり。大手家電などの製造業は言うまでもありません。

私は社会をより良くするのであれば、中小企業が中心になると信じています。価値観を明確にした経営をする元気な中小企業が、この世の中に光を当てていく

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全体を見渡すことができるから

中小企業のメリットは、ズバリ全体が見渡せることです。人数が少ないので、専門性よりも様々な仕事をこなすことが求められます。

私自身、新卒で入社した会社は中小(中堅企業)でした。エンジニアとして非常に幅広い仕事を求められました。システムをつくることも、利用後のトラブル対応も、なんでもやりました。その後、高い専門性を求めて2社目(前職)に転職したのですが、私が活躍できた理由は、視点やスキルの幅広さでした。

それから10年以上、専門性を高めようとしつつ、幅広さや全体最適が常に私の強みとなり、今の仕事につながりました。

私に限らず、中小企業で働くことは、全体視点を身に着けやすいのです。大企業だと専門性の高い人が多いので、つい議論が微に入り細に入ってしまうもの。しかし大局的に「結局、会社全体としてどうすれば良いのか?」という議論ができます。これが面白いのです。

人間味が溢れているから

もう1つ。中小企業は人間味に溢れているからです。

中小企業の経営者にとって、会社と人生は直結しています。というより、一体のものです。お金の面でも、生きがいの面でも。会社を「自分の子どものよう」と表現する創業社長は多いですが、正に人生そのものであることが感じられます。

そんな経営者たちと話をすることが、楽しいのです。もちろん、辛いこと・悲しいことはあります。第三者の立場で聴いているはずなのに、泣いてしまいそうになることもあります。でも、それと同じくらい嬉しいこともあります。

どうせ仕事をするなら、心を無にして機械のように働くのではなく、人と人のつながりを感じながら仕事をしたい。ロジックが優先されがちな大企業よりも、感情で動きやすい中小企業の方が、私には合っていたのかもしれません。

最後に、大企業も価値観を大切に変革が進むことを心から祈っています。私のミッション・ビジョンからは外れますが、そこに力を発揮する人も、世の中にはいるはずです。

まとめ
  • 多くの大企業は制度疲労してきている
  • 変革するなら、全体を見渡せる中小企業の方が面白い
  • 中小企業は人間味に溢れている

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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