業務プロセス(ビジネスプロセス)を見える化して、生産性の改善!というような言葉を良く聞きます。では、業務プロセスとは何なのでしょうか?
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業務プロセスは目的を達成するための手順の集まりです。そして業務プロセスには、忘れてはならない、いくつもの特徴があります。それらを見ていきましょう。
インプット・アウトプットがある
1つ目の条件はインプットとアウトプットがあることです。
インプットは材料、アウトプットは成果物と言っても良いでしょう。この図ではタマゴがインプットで、オムレツがアウトプットです。この場合は、タマゴを加熱して加工することが業務プロセスになります。
ちなみにインプットとアウトプットが不明確なものは、業務プロセスではありません。
営業部長:「鈴木くん、来週の部長会で使う営業レポートを作っておいてくれ」
鈴木課長:「分かりました」
(数日後)
鈴木課長:「部長、レポートはこのような形ではいかがでしょう?」
営業部長:「あ、ダメだよ。営業のリアルな数字を見せちゃ。経営企画と調整して社長を刺激しない数字にしないと。」
鈴木課長:「はぁ・・(だったら先に言えよ・・怒)」
実に良く見る、残念な光景です。。
これはレポートを作成するために必要なインプット・アウトプットが、事前に共有されなかったために起きた悲劇です。
目的がある
2つ目の特徴は目的があることです。
オムレツをつくるのは、それ自体が目的ではありません。
- (家庭)朝食をしっかり食べて、今日も1日家族に元気に過ごしてもらう
- (レストラン)休日の朝、お客様に最高のフワフワなオムレツを楽しんでいただく
のように、オムレツの先にある目的があります。先のレポートについても同様です。営業部長が、部長会で社長に怒られないという目的がありました。(その目的自体がどうよ・・というのはさておき)
目的が変われば、必要なインプット・アウトプットが変わります。
家庭の目的を達成するためには、必ずしもオムレツにこだわる必要はありません。アウトプットが卵焼きになっても良いですし、タマゴがなければ、冷蔵庫にあるもので、朝食をつくれれば良いのです。
しかし、オムライスを楽しみにレストランに来た顧客に対して、「タマゴがなくなりまして・・」では、呆れられてしまいます。質の良いタマゴや、実力のあるシェフが重要なインプットになります。
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関係者(ステークホルダー)がいる
業務プロセスで大切なことは、関係者がいることです。
そもそも仕事とは、顧客に対して価値を提供するものです。顧客を全く意識しない業務プロセスがあったとすれば、それ自体が大きな問題です。(先の怒られないためのレポート作成などは最たる例でしょう)
その他にも、業務プロセスには様々な関係者が現れます。レストランのオムレツで言えば、
- タマゴを提供してくれる企業
- タマゴを仕入れる購買担当者
- オムレツを調理するシェフ
- オムレツを客席に運ぶスタッフ
- オムレツを食べるお客様
など、様々な人が、この業務プロセスに関わるのです。
- インプットに関係する人
- アウトプットに関係する人
- 業務プロセスを遂行するために必要な人
などがいます。業務プロセスがしっかりと回るようにするためには、関わる人が何を望んでいるのかを明確にしたり、無理が発生しないようにする必要があります。
一般的に顧客に接する部分の業務プロセスよりも、社内の業務プロセスの方が軽視される傾向があります。「お客様から見えないところだから、社員が頑張れば良いんでしょ」と適当な扱いを受けてしまうからです。このような無理を社員に押し付けていると、その方の気持ちは長続きしないでしょう。
できる人は無意識にやっている
業務プロセスの特徴として、できる人は無意識にやっていることも挙げられます。
例えば、車の運転です。運転に慣れた人は、キーを差し込んで回してエンジンをかけて、ギアを変えて・・などと考えていないでしょう。鼻歌を歌ったり、コーヒーを飲みながら、無意識に運転しています。しかし、初めてやる方にとって、その流れは非常に重要なのです。
売れる営業はその典型例です。本人は無意識でやっているので、やり方を人に伝えることができません。また日本企業の多くは、営業にはマニュアルが不要だと考えています。できる人が、たまたま言語化能力を持っていたとしても、それを人に伝えることが良しとされないのです。理由は売上の数字だけで評価されるから。
本題から外れるので、割愛しますが、営業の業務プロセスを整備することは、人材の限られた中小企業では必須と言えるでしょう。
計測対象である
最後に業務プロセスは計測できなければなりません。
冒頭のレストランのオムレツの例で言えば、顧客が1時間に100人やってくるのであれば、オムレツも100個つくれなければなりません。どんなに芸術的に美しいオムレツであっても、1時間に3つしかつくれなければ、目的は達成できないのです。
1時間に100個つくるという目標(アウトプット)があれば
- タマゴや、他の材料の供給(インプット)
- 1時間に100個つくれるシェフの体制
を整える必要があります。
そして実際に計測して、目標が実現できているのか?を確認します。実現できていない場合には、どこに問題があるのかを特定し、改善しなければなりません。例えば、1人のシェフが1時間つくれる個数が30個だったら、最低でも4人はシェフが必要になります。
業務プロセスの見える化とか生産性向上とか、色々と言われています。AIだRPAだと騒がれている現実もありますが、まずは自社の業務プロセスに正面から向き合うことが、本当のスタートです。
- 業務プロセスには目的があり、インプット・アウトプットがある
- 関係者の気持ちを汲み取り、無理のない設計が必要
- できる人ほど、業務プロセスを意識しなくなっている
- 業務プロセスは、計測して改善していく
この連載の目次です。
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