IT・システム全般

EDIが取引先を選ぶ基準になる(経営するなら覚えておきたいIT用語)

EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)
BtoB(対法人)ビジネスを営んでいる経営者なら、知っておきたい単語です。
ネットワークを通じて受発注を行う仕組みですが、スモールビジネスでも活用しやすくなってきました。

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EDIとは何か?

Electronic Data Interchangeの略で、「電子データ交換」のことです。
それだけだと「何のこっちゃ?」ですよね。。

企業間の受発注を、ネットワークを通じて行う仕組みのことです。
注文すると、その記録データ(注文書など)が取引先に送られます。

従来の電話のように「言った・言ってない」問題になりませんし、
郵送やFAXなどに比べて、正確かつ迅速に取引を行うことができます。

ECサイトとの違いは、ECは売り手側だけがシステム化されていることです。
Amazonで買い物しても、買った側は自動的に発注記録が残ったり、会計システムに取り込まれることはありません。

EDIは発注者・受注者双方が、データを共有して、業務を効率化することができます。
逆に言うと、EDIを利用するためには、双方の合意が必要になります。
つまり日頃から取引の頻度や、商品の取扱点数が多い企業間で、EDIは利用されます

EDI活用のメリット

受発注をネットワークを通じて行うことにより、以下のようなメリットがあります。

  1. 自動化・効率化
  2. 業務スピードの向上
  3. 人的ミスの削減
  4. データ信頼性の向上
  5. データ活用(付加価値の向上)

3点目までは業務の効率化に関する項目です。

製造業など部品点数の多い場合や、取引頻度が多い場合には、毎回、FAXや紙の受注伝票を郵送していたら、非常に手間が掛かってしまいます。

発注側は伝票を作成する手間が、受注側はデータを入力する手間が掛かります。
それによって業務スピードが落ち、しかも人的ミスが起きてしまうという悪循環です。

さらに発注側が「そんな発注していない」と言い切ってしまえば、踏み倒せる部分もあります。実際、コロナ禍で資金的余裕がなくなった会社で、そのようなことが行われているそうです・・

そこに対して、4番目のデータ信頼性が出てきます。
発注側・受注側双方に記録が残りますから、後からウソをつくことはできません。
より健全な取引ができるようになります。

5番目は、このような取引データが蓄積されることで、新たな価値が生まれつつあります。
例えば、取引データ(売掛)を担保に融資を受けられるサービスなどが登場しています(Tranzax PO)。過去の決算書よりも、現在の受注状況やキャッシュフローを元にした方が、貸し出しリスクも下げられます。

今後、さらなる活用が求められる分野です。

EDIが使いにくかった理由

そんな便利なEDIですが、中小企業においては、使いにくい代物でした。
理由は以下の通りです。

  • 取引先ごとに通信形式や識別コードが異なっていた
  • 端末費用が掛かった
  • 固定回線(固定電話回線網)を活用したEDIがほとんど

標準化がされていなかったため、取引先ごとにシステムが必要になっていました。
しかも専用端末やISDNなどの固定回線費用が必要に。

そんな状態でしたので、コストや手間をかけてまでEDIを導入・活用しようとする中小企業は稀でした。大企業からの指定で嫌々、活用しているところが大半でした。

  • 業界特化していた

通信形式や識別コードは業界ごとに特化していました。
例えば流通業では流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)と呼ばれるEDIが利用されていました。

例えば花王は、以前から一般消費者向け(BtoC)商品については、流通BMS(EDI)を活用していました。スーパーなど、大手小売店で花王製品が売れるとPOSレジを通じて、花王にデータが届くようになっていました。

しかし、業務用製品(BtoB)は全く別です。
顧客は病院など、流通業に属していない取引先なので流通BMSが使えません。花王はBtoB取引の業務負荷を下げ、同時に顧客企業にもメリットを打ち出すために、共通EDI(後述)を利用し、FAX撲滅を宣言しています。

このように業界ごとの壁があったため、EDIが活用しにくかったのです。

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スモールビジネスでもEDIを活用しやすい環境が整った

このような状況がEDIの導入・活用を阻んでいたのですが、現在は環境が良くなってきました。

標準化が進んでいる

  • 中小企業共通EDI:出荷・請求情報(2018年~)
  • 全銀EDI(ZEDI):送金指図+取引データ(2018年~)

業界ごと、あるいは大企業ごとに仕様が異なっていたEDIですが、標準化が進んでいます。
2018年に各標準が公開されました。
標準に応じた業務システム、会計システムも対応を進んでいくでしょう。

花王はこの共通EDIの実証事業を活用して、流通業以外の取引先に対して、EDIの活用を進めています。共通EDIプロバイダーであるインフォマートを利用したことがニュースリリースされています。

専用端末や固定回線は不要に

専用端末は不要で、パソコンやスマートフォンでEDIを利用できるようになりました。
現場(店舗や工場内)から発注したい企業などには便利ですね。

そして固定回線も不要です。インターネットにつながれば大丈夫です。
2024年にISDNがサービス終了しますので、それまでには従来型のEDIも、かなり減っていくのではないでしょうか。

このようにスモールビジネスでもEDIを活用しやすい環境が整ってきました。
大企業との取引を含めて、EDIが浸透していくことは間違いないでしょう。

BtoB取引を行っている経営者は、EDIの動向に着目しておくことをお勧めします。
経理や購買などのバックオフィス業務を劇的に改善するだけでなく、データ活用による付加価値向上も見込めます

まとめ
  • EDIはB to B取引における業務を効率化する
  • 業務スピードを上げ、ミスを削減
  • スモールビジネスでもEDIを活用しやすい環境が整ってきた

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【編集後記】
昨日は2週間ぶりにトレーニングをせず、カラダを休めました。
おかげで疲労が抜けたかも。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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