ツール活用

ツールの機能を知らない悲劇とその対策

日頃使っているツールの機能、結構知らないものもありますよね。
どんなツールでも頻繁に使う機能は限られていますので。

ただ全く知らないままだと悲劇を生むことがあります
昨日、そんなやりとりがありました。

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標準機能を知らないリスク

昨日、所属するプログラミングコミュニティのSlackで「差し込み印刷」を知らなかったというやりとりがありました。

差し込み印刷を使うと、エクセルで会社名・名前・住所などの一覧をつくっておくと、ワード文書の中身にそれらのデータを差し込むことができます。宛名や案内文を大量印刷するときに重宝する機能です。

この標準装備されている機能を知らないことで、「VBA(エクセルやワードで使えるプログラミング言語)でつくってやる!」となりそうでした。
「いやいや、ちょい待て・・」と。

これこそが基本機能(標準機能)を知らないことのリスクです。
既に存在する機能をわざわざ開発してしまうことになります。

昨日の例だけでなく、私はこのようなシーンを何度も見てきました。
このままプログラミングを使って開発してしまうと、かなり厄介です。

  • 開発するために要件定義が必要
    (しかし、その要件は後から変わるかもしれない)
  • 開発費・開発時間が掛かる
  • 開発したコードの運用(維持・管理)が発生する
  • 機会損失が発生する
    (機能を使いたいのは今すぐであって、半年後ではないことも多い)

最も典型的なのは「コードを書いた人が辞めてしまって、どうにもならなくなった」です。

このようなリスクがありますので、私は中小企業に対しては「できる限り開発はしない。コードは書かないのがベスト」と言い続けています。

「コードを書かないプログラマー」を目指します突然ですが、プログラミングに挑戦しようかと思います。 私が最初にプログラミングに苦手意識を持ったのは、大学1年生のとき。半角と全角...

※もちろん、コードを書ける組織を育てていくことも今の時代は必要です。
ただ、話が発散するので、そのことは本記事では割愛します。

ツールの標準機能を最優先する

逆に言えば、できる限りツールの標準機能を利用することを推奨しています。標準機能を増やすために月額の課金が多少増えたところで、コードの維持管理コストが増えるより相当マシです。

それくらいの意識でないと、次から次へと維持・管理しなければならないコードが増え続けてしまいます。プログラミングを学んでいる方には厳しいことかもしれませんが、「知っておいて使わない」のがベストなのです。

私はITベンダーに仕事を依頼するときにも、開発したがるベンダーよりも、既存ツールを使いこなす提案をするベンダーをお勧めしています。

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少し話がわき道にそれますが・・

ITベンダーに仕事を依頼するとき、知っておくべきことがあります。
彼らは、世の中の既存ツール全てに詳しいわけではありません。
むしろ一般ユーザーが使うエクセルすら苦手なことも多いです。

「依頼があれば作ってしまう」のがエンジニアの良いところでもあり、悪いところでもあるのです。
既存ツールにその機能があるかないか?は、彼らにはあまり関係ないのです。
だからこそ、発注者が気をつけて、開発しないベンダーを選びたいのです。

さて、ここからはツールを使う一般企業の立場で、ツールの標準機能を知るためにやっておくべきことをご紹介します。

「設定」を隅々まで確認する

どんなツールにも設定をする項目があります。
エクセルですと、このリボンです。

ホームから始まり、挿入・ページレイアウト・数式・データ・校閲・表示・ヘルプと、様々な設定があります。また「ファイル」→「オプション」と進むと普段はあまり意識しない設定ができます。

これらの設定項目を、最低1回は目を通しておきましょう。
「こんなことが出来そう」という感覚を掴んでおくのが重要です。

ただ、エクセルやワードなどは、かなり設定項目が多いです。
オフィスソフトは総じて高機能だからです。
なかなか全ては覚えられないので、次の「検索する」も併用しましょう。

検索する

「こんなことできないかな?」と思ったら、グーグル検索してみること。

例えば冒頭の「差し込み印刷」も、この単語自体を知らなくとも

  • 案内文 印刷 Word
  • 年賀状 宛名 Word

などで検索すると、該当する記事が出てきます。
次にご紹介するベンダーが提供する正式なヘルプと組み合わせると良いでしょう。

ヘルプの目次を読む

続いてヘルプの目次を読むことです。

ヘルプは製品によって分かりやすいもの、分かりにくいものがあります。
上図はエクセルで「ヘルプ」→「ヘルプ」を選んだ場合の表示です。

Zoho CRMのヘルプは下図のようにWebにあります。(図は日本語版です。英語版だとより新しい情報が加わっています)

Zoho CRMのマニュアルは設定画面と同じ並びになっているので、目的のものにたどり着きやすい印象です。

トレーニングを受ける

セミナーや研修など、トレーニングを受けると良いでしょう。
日頃から良く使うツールほど、良い投資になります。

私自身、先日、パワーポイントの研修を受けました。
今週もエクセルの研修を受ける予定です。

一度でも「こんなことができる」を知っておけば、操作方法は忘れてしまっても探すことができます

なお、教科書的なことを教える講師よりも、現場で実際に使う経験が豊かな講師から受講されることをお勧めします。

資格を取る

また資格を取るのも良いでしょう。
以下のツイートは、昨晩、kintone Caféに参加したときのものです。

良い資格であれば、学んだことが現場で活かせます。
ただ個人的には、エクセルやワード・パワーポイントでMOUS試験を受けるのは、ちょっと無駄が多いかなと思っています。

資格取得は最後のオマケだと考えて、まずは設定項目を見るところから、始めてみましょう。

まとめ
  • 標準機能を知らないと無駄な開発をしてしまう
  • 標準機能を優先し、コードはできる限り書かないのが原則
  • 標準機能を知っておくためにいくつかの対策がある

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【編集後記】
横浜市でも今日から小学校が休みになりました。
日頃からテレワークに慣れているとは言え、平日朝から子供がウロウロしていると、違和感がありますね。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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