新商品・サービスを企画する際に、最も悩みがちなのが価格です。
稲盛和夫さんが「値決めは経営」と仰られたように、経営の行く末を左右するほど大事な要素です。
しかし、製造業やIT企業など、多くの企業が間違った方法で価格を設定しています。
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価格を決めるための3つの要素
価格を決めるためには、3つの要素を考える必要があります。
自社(コスト)
1つ目は自社で掛かるコストです。
直接的に掛かるコスト、間接的に掛かるコストがあります。
また自社から他者へ発注することも。
言うまでもなく、コストよりも安い価格を設定してしまうと、売るほどに赤字になってしまいます。
ここで大切なことは、コスト構造を明確にしておくことです。
特に間接費については、不透明な会社が多いように感じています。
顧客の望む価格
2つ目は顧客の視点です。
お客様自身の予算感やお財布事情があります。
また何よりも大切なのは、お客様が感じる価値です。
- 今日は暑いから、子どものお風呂上りにアイスをあげよう
- 大変なプロジェクトをやり切ったから、自分へのご褒美にアイスを買って帰ろう
日常の子ども向けか?非日常の大人向けか?
これだけでも、価値は大きく変わるはずです。
前者なら100円以下でしょう。
比較対象となるのはジュースなどでしょうか。
後者なら500円出すかもしれません。
比較対象となるのはケーキなどになりそうです。
お客様が感じる価値によって、予算感やお財布事情も変わってくることがポイントです。
競合の価格
3つ目は競合の価格です。
上述の例(アイス)ですと、単に同カテゴリーのアイスだけでなく、同じ価値を提供するジュースやケーキも競合になります。
ここでは競合の見極めが重要です。
売り手の視点に立つと、「そこが競合ですか!?」と驚くこともあるはずです。
最近ですと、鉄道会社の競合がテレワーク(パソコンやネットワークなどのIT)だったことも浮き彫りになってきました。
しかし、新型コロナ前に、それを認識していた鉄道会社があったでしょうか?
価格はコストを元に計算すると失敗する
ここまで価格を決めるための3つの要素をご紹介してきました。
私の経験上、製造業やIT企業の場合、自社(コスト)を元に計算を始めることが非常に多いです。以下のような流れで価格を決めようとするのです。
- 自分達のつくりたいものを先に描き、そのコストを計算する
- 必要な利益幅を加えて、値段を決定する
- 顧客の視点(価値)や競合調査を行って、価格を調整する
しかし残念ながら、このやり方では、ほぼ間違いなく失敗します。
顧客が感じる価値よりも、自社での勝手な設計が優先されているからです。
結果的に顧客にとって受け入れられない価格設定になりがち。
顧客が感じる価値(価格)をもとに商品設計する
理想のやり方は上図の通り、先に顧客が感じる価値・払いたい価格を決定することです。
その価格をもとに、利益が確保できるように商品設計を行うことでコストを決めていきます。
慣れるまで、このやり方は非常に大変です。
コスト+利益幅であれば、価値のことをあまり考えずに、設計通りに算出するだけです。
しかし、価値(価格)を先に決めるためには、顧客のことを考えつくさなければなりません。
それに設定した価格で商品設計を行うのも、制約条件が多くて大変に感じるはずです。
IT企業で言うと、受託開発中心の会社は、コストを先に考える習慣が強いです。
「何人月掛かるから、これだけの発注を下さいね」と見積をつくるからです。
一方、SaaS企業は広く一般にサービスを提供しますから、先に価格を決めざるを得ません。
市場の反応を見ながら、滅多にない価格変更のチャンスをうかがっています。
それまでは顧客の感じる価値にフォーカスしています。
市場で生き残っていくためには、顧客(価値・価格)を先行して考える習慣を身に着けていきましょう。また、価値を伝えるための工夫も続けたいものです。
- 価格を決めるための3つの要素は、自社(コスト)・顧客(価値)・競合
- 自社コストから考えると、顧客に受け入れられない価格になりがち
- 先に顧客が感じる価値からスタートする
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【編集後記】
4連休前半は、トレーニング中心でした。
後半は日頃の土日よりも、仕事を多めに。
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ビジネスを楽しみたい。
変化・成長したいというビジネスパーソンにお読みいただいています。