書籍紹介

オペレーショナル・エクセレンスが中小企業を強くする

経営者にとって、ブルーオーシャン戦略などの美しい戦略は羨望の的ではないでしょうか。
一方、現場のオペレーション(業務プロセス・業務設計)は、地味な改善の繰り返しで、あまり面白くありません。
ただ、オペレーションに強くなれると、実は戦略レベルも含めて強くなれるのです。

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ワークマンを支える強力なオペレーション

オペレーショナル・エクセレンス(オペレーションが素晴らしい会社)として、真っ先に思い浮かぶのが、ワークマンです。2018年9月に東京・立川に新業態「ワークマンプラス」を出店したことから、一気に注目を集めました。

この急成長を土台で支えているのが、オペレーショナル・エクセレンスです。

日常の店舗運営

ワークマンが店舗で扱っている商品点数は、何と6,000点。
一般的なコンビニが3,000点とかですから、多いことが分かります。

これだけの商品数を店舗に在庫しつつ(多くは1点だけ)、在庫状況を見て必要な分を適宜補充するのですから、それだけでも大変です。
店長・スタッフが勘で在庫管理していたら、上手くいくはずがありません。

仕入完全自動化のシステムが、この雑多な店舗運営を支えています。

新規店舗展開

さらに、店舗数が凄まじい勢いで増え続けています。
2018年 820店舗→2019年 858店舗→2020年3月末 863店舗と推移しています。

  1. 良い立地を探す
  2. フランチャイズ加盟者が決める
  3. 店舗オープンする

という流れを、常に並行して何件も進めているのでしょう。
そのために、これらの業務プロセスを標準化していると思われます。

フランチャイズ展開

ワークマンはほとんどの店舗がフランチャイズです。
そのため社員が常に店舗運営に関わっているわけではありません。

  1. 直営店(社員が運営)で社員トレーニングや各種テスト・業務の標準化
  2. 直営店で得られたノウハウを元にフランチャイズ展開

という流れが出来ています。

それだけでなく、フランチャイズの制度そのものや、加盟希望者の採用基準なども間違いなく標準化されているでしょう。
(でなければ、これだけ新店舗をオープンできません)

色々と具体例をご紹介しましたが、まとめると、あらゆる業務が標準化されています。
それによって、新たな変化に柔軟に対応できる体制が整えられているのです。

新業態の「ワークマンプラス」などに目を奪われがちですが、地味なことを徹底してちゃんとやっている会社という印象を受けました。

アイリスオーヤマの戦略を支えるオペレーション

次にご紹介するのは、アイリスオーヤマです。
昔ながらの国内大手電機メーカーが苦戦し続けるなか、順調に業績を伸ばし続けています。

その理由の1つは、生活者目線で不満・不便を解消する商品開発スタンスです。
プロダクトアウトでもマーケットインでもなく、「ユーザーイン」を基本としています。

そのために恐ろしい勢いで、新商品を次々と開発しています。
なんと開発スピードは最短3ヶ月と言います。
他の国内電機メーカーの商品企画の人が聞いたら、開いた口が塞がらないのではないでしょうか。(稟議通す前の周囲への下ネゴだけで3ヶ月は掛かってしまいそう・・)

おそらく、新商品の企画から、試作・開発・リリースという一連の業務プロセスが明確に定義されていて、それを現場が徹底しているのでしょう。
オペレーショナル・エクセレンスな会社でなければ、どう考えても実現できません。

結果的に多品種・小ロットで次々と新商品をリリースしています。
しかし、どんなに優れた製品を開発しても、生産が追いつかなければ意味がありません。
アイリスオーヤマでは「デパートメントファクトリー」という考えで、多品種・小ロットの生産に対応しています。

大手国内メーカーが真似できない戦略を支えているのは、工場におけるオペレーショナル・エクセレンスだったのです。

オペレーションは企業にとっての足腰・基礎体力

ここまでワークマンやアイリスオーヤマなど、大企業の例をご紹介してきました。
これは事例が世の中に出ているのが大企業が多いからというだけです。
実際には、オペレーションに優れた中小企業もたくさんあります。

ここまでの事例で見てきたように、オペレーションが優れていると、戦略を忠実に実行することができます。逆に言えば、どんなに美しい戦略を描いたところで、それを実行できなければ「絵に描いた餅」に過ぎません。

組織のオペレーション能力は、いわば足腰であり、基礎体力です。
仕事が個人に属人化していたり、同じようなミスを繰り返したり、あるいは時間を浪費ばかりしている業務があれば、改善していきましょう。

「カイゼンし続ける文化」が、企業を強くしていきます。

まとめ
  • ワークマンやアイリスオーヤマの成長を支えているのは、オペレーションの優秀さ
  • 土台がしっかりしているので、各社の戦略を即実行に移せる
  • カイゼンし続ける文化を、まずは組織にインストールしよう



【編集後記】
こんな記事を書きつつ、私も例えばセミナーの企画から運営、その後のアフターフォローまで、もっと業務プロセスを改善できるなぁ~と思ってみたり。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとIT、そしてデータを使った「売れ続ける仕組みづくり」「業務改善」が得意。コンサルティングや研修・セミナーで中小企業の経営支援をしています。元IT企業でエンジニア→マーケティング。中小企業診断士。
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