前回、既にデジタル(IT)の世界がリアル世界を飲み込み、融合していることをお伝えしました。
この事実をどれだけ実感しているかは、人それぞれなのが日本における現状です。しかし、間違いなく、この融合は「既に起きたこと」です。
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顧客にとってはリアルもデジタルも関係ない
私たちが顧客の立場として考えてみると、既にリアルもデジタルも関係ないものになっています。例えば、ペットボトルの水を買うとき。
喉が乾いたときには、目の前にあるコンビニで買います。ネットで買っていたら、届くのを待っていられません。一方で自宅での用途では、ネットで買うでしょう。重たいので家まで運ぶのが大変だからです。
ネットでの活動が当たり前になっている顧客にとって、リアル(店舗や営業)とデジタル(ECやアプリ)は手段でしかありません。
つまりリアル・デジタルのどちらか一方しか顧客接点を持っていない企業は、顧客にとって最適な接点を提供できていないことになります。これはB to Cだけでなく、B to Bにおいても同様です。
デジタル化の遅れている日本ですら、2016年時点で「営業に会う前に、購入する商品・サービスは決まっていた(78%)」というデータがあります。営業に会う前にWebなどで調べることによって、何を買うのか?を検討しているのです。
リアル(営業)だけ提供していても負けてしまうことが如実に現れるデータです。得手不得手関係なく、(デジタル)マーケティングに取り組まない会社は、生き残ることができません。
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リアルを基軸にすると失敗する
IT(デジタル)に不慣れな経営者と会話をしていると、「これからはITにも慣れていかないと」と仰っしゃります。それはそれで大切なのですが、残念ながら、そのスピード感ではリアルとデジタルを融合している競合に飲まれてしまうでしょう。
なぜなら、リアルを基軸(主)としてデジタルを「追加するもの(従)」だと誤解しているからです。そうではなく、これからの市場は、デジタルがリアルを飲み込んで融合したものとして顧客体験を設計しなくてはならないのです。
既に私たちは、このような世界に生きているのです。(サイバー世界=デジタル、現実世界=リアル)
繰り返しになりますが、これは未来像ではなく、既に起こっている現実です。
Amazonが実店舗を展開する理由
ここまでは概念的な話が中心でしたので、実例を挙げましょう。既にデジタルとリアルを融合している企業はいくつも現れています。その代表例がAmazonです。
Amazonはネット(EC)から成長してきた企業ですが、実店舗「Amazon Go」を展開しています。「無人コンビニ」とか「キャッシュレス決済」が話題になることが多いのですが、それらは本筋ではありません。
真の目的の1つは、顧客にとって最適なときに最適な手段(デジタル/リアル)を提供することです。「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」を企業理念に掲げるAmazonにとって、実店舗という顧客接点を提供することは、必然の流れと言って良いでしょう。
このように、デジタル・リアルを融合した企業にとっては、実店舗も顧客接点の1つに過ぎません。日本で良く見かける、ネット(デジタル)で集客して、実店舗(リアル)に送客するという一辺倒な考え方とは、根本的に異なる考え方です。
Amazonから見ると、実店舗もECと同じように顧客の行動データを取る場です。そして、顧客の行動データを元に、ECでやってきたように爆速でPDCAを回し、商品や店舗を改善していくことでしょう。
これが実店舗を提供する、もう1つの目的です。デジタル世界だけでなく、リアル世界からもデータを収集し、商品や顧客体験(UX)にフィードバックする。こういう戦略を描けない企業は、アメリカにおける小売業のように、衰退していくことが予想されます。
- 顧客にとってはリアルもデジタルも選択肢に過ぎない
- だからリアル・デジタルに偏らず、融合した顧客接点を提供しなければならない
- リアル・デジタルの双方からデータを収集し、商品や顧客体験にフィードバックする
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