データ分析

経営数字とロジカルシンキング(売上分析の例)

ビジネスパーソンに必須と言われるロジカルシンキング。
ただ、何のことか、良く分からないと思いませんか?

この記事では経営の数字をロジカルシンキングと合わせて考えてみます。
難しい話は出てきませんので、ご安心を!(難しい話は書けませんし。。)

売上だけの数値目標に意味がない理由

多くの営業現場では、受注・売上目標が掲げられています。
ただ実際、それでスムーズに動いている組織が、果たしてどれだけあるでしょうか?

理由は、売上金額を目標にしたところで、現場に何も伝えていないのと同じだからです。

「売上30%アップだ」は経営者の思考停止でしかない前回、利益率は経営者がデザインするものであり、偶然の結果ではないことをご紹介しました。 https://100athlon.com...

ビジネスで「売れ!」というのは、スポーツで「勝て!」と言うのと同じくらい、何も指示していないに等しいです。

ここで必要になるのがロジカルシンキングです。
現場が動けるようになるためには、具体的な指示を出さねばいけません。
売上という結果だけ示すのではなく、それを達成するための具体的な指示が必要です。

売上を分析して具体的な指示を出す

売上を分析すると、以下の3つに分解できることが分かります。

売上=客数(A) × 客単価(B) × 購入頻度(C)

つまり売り上げを伸ばすためには

  • 客数を増やす
  • 客単価を上げる
  • 購入頻度を上げる

の3つしかないことが分かります。さらに以下の式が成り立ちます。

(A)客数=既存客+新規客ー流出客
(B)客単価=単価×商品数
(C)購入頻度

つまり、客数を増やすには

  • 新規顧客を獲得する
  • 顧客の流出を防ぐ

が必要で、客単価を上げるには

  • 単価を上げる
  • 購入点数を上げる

が必要です。

購入頻度と合わせると、売上向上には5つのパターンがあることが分かります。
まとめると、この図のようになります。(ロジックツリーと呼びます)

つまり現場に指示を出すときには、「売上を上げろ!」ではなく、

「顧客の流出を食い止めよう」
「今年は購入頻度を上げるように注力しよう」

と言った具体的な指示が必要です。

これは裏を返せば、「やらないこと」を明確にしています。
既存顧客の流出を食い止めることが最優先ならば、新規顧客獲得は、二の次になってしまっても仕方ないのです。そういう優先度を明確にすることが経営者や営業マネージャの仕事です。

ロジカルシンキングの基本となるブレイクダウン

繰り返しになりますが、ここでは「売上」という概念を、以下の5つに分解しました。

  1. 新規顧客獲得数
  2. 既存顧客流出数
  3. 商品単価
  4. 同時に購入する商品点数
  5. 購入頻度

このような考え方をブレイクダウンと言います。
売上の場合は数式に分解できるので、比較的簡単です。
しかし、世の中全てのことが数式で表されるわけではありません。

ブレイクダウンするときに確認したいのは、以下の3つです。

抜け漏れ・ダブりがないか(MECEであるか)?

実際には、多少のダブりは仕方ありません。
しかし抜け漏れがあると問題が発生しますから、注意しましょう。

レベルが揃っているか

売上の例では、「新規顧客の獲得」と「既存顧客の流出防止」は同じくらいのレベル感です。
同じレベル感のものは上下の位置が揃うようにします。

構成が明快か

左(上位)と右(下位)の関係が明確でしょうか。

  • 全体に対する一部
  • 結果に対する原因

など、左右の関係が明確になっていれば、全体としての構成も明快になります。

なお、構成要素に分解していくブレイクダウンに対して、逆の考え方もあります。
長くなってきましたので、次回に続けます。

まとめ
  • 売上は5つの要素に分解できる
  • 上位概念から下位の要素に分解することをブレイクダウンと言う
  • MECEか、レベルが揃っているか、構成が明快かをチェック

【編集後記】
今日は子どもの卒業式でした。
新型コロナの影響で保護者は参加できず。

朝、校門まで送りつつ、写真撮影。
6年前の入学式と比べると、その変化の速さに驚くばかりです。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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