マーケティング思考

サイボウズ「kintone」から学ぶ、商品企画・マーケティング

グループウェア「サイボウズOffice」や「kintone」で知られる、サイボウズさん。
いわゆるソフトウェアメーカーではありますが、特異なポジションというかブランドを築いています。

私はサイボウズさんの活動を企業研修などでも引用しています。
この記事では、サイボウズさんから商品企画やマーケティングについて学んでみます

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サイボウズさんは「使い方提案」ができる、数少ないIT企業

商品企画・マーケティングは4Pの総合評価

商品企画やマーケティングは、売り物・売り場・売り方・売り値の総合的な評価で決まります。

企画・マーケティングは、「売り物」だけで決まるわけではないのです。
上図の通り、4つの要素すべてが絡み合うからです。

しかし実際には、その「売り物」だけに注力し過ぎてしまうことが、良くあります。
自社の売り物に愛着や自信を持てば持つほど、他の3要素を忘れてしまうのです。

テック系企業にありがちなプロダクトアウト

サイボウズさんが属するIT企業(ソフトウェアメーカー)も例外ではなく、「売り物」そのものに注力している傾向があります。

いわゆるテクノロジー主体の企業(テック系企業)は、IoT・RPA・AI・DX(デジタルトランスフォーメーション)というようなキーワードを振りかざして、技術志向の強いユーザーを獲得していこうとしているように見えます。

売り物のスペック(仕様)ばかり説明されてしまい、うんざりすることも多いのではないでしょうか。一般利用者である私たちにとっては、商品そのものの説明が聞きたいわけではありません。「それを使ったら、どんなメリットがあるのか?」を知りたいのです。

その点、サイボウズさんは「使い方提案」を徹底している稀有な会社と言えます。
この4分類のなかでは、「売り場」「売り方」が非常に洗練されています。
それでは具体的に見ていきましょう。

組織づくりに正面から挑み続けている

サイボウズさんは、「チームワークあふれる社会を創る」を掲げて活動されています。
その通り、本当にチームづくりに正面から挑み続けている会社で、それを対外的にも発信し続けています。

新しい価値を生み出すチームのメディア「サイボウズ式」

ソフトウェアメーカーでありながら、自社製品の宣伝がまったくないWebメディアを運営されています。

https://cybozushiki.cybozu.co.jp/

サイボウズさんのチームづくり・働き方に関する考えが伝わってきます。
と同時に、自社のツールをうまく使っているところも随所に感じられます。

例えばこちらの記事。(タイトルからして衝撃的ですが)

「管理職って別にいらなくない?」マネジャーを廃止した開発本部に、給与評価や異動の仕組みを聞いた

「オンライン上で情報共有をオープンに行っている」というのが kintone の具体的な使い方です。詳細な内容は記事をご覧いただきたいですが、実際に kintone が企業内で使われているシーンが具体的に出てきます。これが「使い方提案」です

ツールのスペック(仕様)などは微塵も出てきません
どういう風に使って、どんな効果が得られているのか?
それこそが、一般企業が知りたいことなのではないでしょうか。

組織・チームに対する書籍

Webメディアであるサイボウズ式だけでなく、書籍も数多く出されています。

単にツールを売りつけようとするのではありません。
と言うよりも、ツールの話は出てこなかったりします。

経営者自身が対外的にも情報発信し続けることで、マネジメントに対する考え方・価値観を共有しています。それが後述するように、珍しいコミュニティにもつながっていますし、サイボウズというブランドにもなっています。

利用者からなる稀有なコミュニティ

このように単なるソフトウェアメーカーではなく、それを利用してマネジメントの本質を追求し続けるサイボウズさん。人を大切にする考え方が随所に現れ、その価値観に賛同する人々が集まり、コミュニティを形成しています

このコミュニティには、エンジニアだけでなく本当の利用者が集まっているのが特徴です。
kintone Café」という勉強会コミュニティには、私も参加したことがありますが、サイボウズさんは関与されていません。(余談ですが、私は kintone Café 神奈川の運営メンバーになりました)

サイボウズの社員の方が登壇することはありますが、個人的な kintone愛で参加しているだけです。エンジニアの方が登壇することもあれば、一般の利用者が登壇することもあります。

サイボウズさんの価値観に賛同されている方が集まっているだけあり、優しい人が多い印象です。(技術マウント取ってくる人とか、見たことがありません)

このように自社の価値観を発信し、商品の仕様ではなく「使い方」を提案し続ける。
そういう活動を通じて、自社のファンを増やし続けているのです。
このユーザーコミュニティは、とんでもない資産です。
(自社が関与しないところで、勝手に良さが広まっていくのですから・・)

もちろん、サイボウズさんも自社商品(売り物)は大切にしています。
細かに機能アップし続けたり、マニュアルを分かりやすくしたり。
さらにその上で、商品の仕様・価格の叩き合いなどに巻き込まれない戦い方は、多くの中小企業にとって参考になるのではないでしょうか。

kintone という商品は、マイクロソフト PowerApps やグーグルの AppSheet という商品と競合します。どちらもグローバルレベルの巨人たちです。
しかし、サイボウズさんが「使い方提案」やマネジメントの本質を突く情報発信を続ける限り、市場において一定のシェアは確保し続けると読んでいます。

「弱者の戦い方」という点でも、中小企業の参考になりますね。

まとめ
  • 商品企画には、売り物・売り場・売り方・売り値の4つの要素がある
  • 一般的には売り物に注力し過ぎてしまう
  • サイボウズさんは、使い方提案・情報発信を通じて、売り場・売り方に革新を起こしている



【編集後記】
今日は息子の通う中学校に初めて行って、三者面談でした。
入学式は保護者は入れず、体育祭も中止と、学校生活を観る機会が減っていましたが、少しだけ観察できました。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとIT、そしてデータを使った「売れ続ける仕組みづくり」「業務改善」が得意。コンサルティングや研修・セミナーで中小企業の経営支援をしています。元IT企業でエンジニア→マーケティング。中小企業診断士。
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