IT・システム全般

セミナーを2・3回やった程度で、中小企業のIT活用は進まない

国が中小企業のIT活用を推進し続けているので、各自治体の中小企業支援機関もIT活用を推進しつつあります。しかし、現場で中小企業を見ていると、まだまだIT活用は進んでいません。

公的支援機関には、もっと腰を据えた活動が必要だと感じています。

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ネットで情報収集できない層を変える

私はこのように、日々ブログやメルマガで情報発信しています。それによって中小企業のIT活用などを後押ししていますが、どう考えても限界があります。

ネットで情報発信している以上、ネットで情報収集をしない層には届かないからです。しかし、私のように1人でビジネスを営んでいる者としては、ネットでの情報発信が時間的にもコスト的にも限界です。

そして、IT活用の情報はネットには多く溢れています。ですからネットで情報収集できる層と、そうでない層の差が、確実に開いていっているのが実情です。

このような実態において、各自治体にある公的支援機関には、ネットで情報収集できない層をしっかりとサポートしていくことが求められていると考えています。

セミナーを開催するだけではIT活用は進まない

国がIT活用を推しまくっているので、各自治体も重い腰を上げ始めています。しかし、多くは専門家を呼んでセミナーを開催する程度に留まっているように感じています。

しかし、セミナーを開催しただけでは、残念ながら中小企業のIT活用は進みません。もちろん、呼ばれる講師としては、一歩でも前に進めるように配慮をしています。しかし、一度話を聴いただけで、自分たちで手を動かすことができるのであれば、とっくにやっているのではないでしょうか。

セミナーで提供できるのは、「自社でもできるかもしれない」というキッカケや希望までです。そこから先の具体策は、その会社が置かれている状況によって、全く変わります。

例えば、セミナーで「中小企業はクラウドを活用しましょう」という話に納得したとします。しかし、社員1人1人にメールアドレスがなくて、会社で代表メールアドレスを1つしか持っていないような会社の場合、出だしからつまずいてしまいます。

このような場合は、まずは社員1人1人にメールアドレスを準備する必要が出てしまいます。そうこうしている間に、クラウド活用の話はすっかり忘れてしまうでしょう。

ですから、会社ごとに相談に乗り、一歩一歩ステップアップしていただけるような支援をするメニューが必要だと感じています。

ちなみに、公的支援機関のメニューを見ても「IT活用」が上位にあるケースを、ほとんど見かけません。今や「IT活用」は、人材やお金と同様に、経営者が最初に意識しなければならない筆頭であるにも関わらず。

公的支援機関のIT活用支援のゴールとは?

では、自治体や公的支援機関は、どこまでIT活用の支援をすれば良いのでしょうか?

私が考える現実的なゴールは、「ネットで情報収集できるようになること」です。ネットで情報収集し、意思決定ができるようになれば、そこから先は自走できます。逆に言うと、ネットでの検索が日常になっていない中小企業が多いのです。

ITシステム・ツールを使いこなせない組織の共通点パソコン・スマホ・クラウドなどのITツール・システムを使いこなせない組織には特徴があります。検索しない、最初から完璧を目指す、いきなり開発しようとする、の3つです。それよりも80点を目指して市販のツールを使ってみる。分からないことは、まずググる。それだけで確実に得意になっていきます。...

子供に自転車の乗り方を教えたときのように。補助輪を取って、ヨレヨレしながらも自分で乗れるようになる。そこまでくれば、後は場数を乗り続ければ、子供は勝手に乗れるようになります。

それと同様に、臨界点となるのが「ネットで検索できること」です。ネット検索ができるようになれば、そこから先は自分たちで情報収集して、よりIT活用を進めていくこと(自走)ができるようになります。

ちょっとしたグループウェアの活用程度であれば、検索ができれば前に進むことができます。しかし、業務の中心に来るような重要なシステムであれば、相談先が必要です。ネットでの情報収集だけでは、判断ができないからです。

そこには経営とITの両面が分かる専門家の配置が望まれ、また3回などではなく、最低でも10回程度の支援ができるスキームが必要であると考えています。

以下、関連記事です。

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まとめ
  • 公的機関は、セミナーをやるだけでは、IT活用は進まない
  • 自分でネット検索できるようになるまで、継続支援が必要
  • 基幹システムなど、業務のコアになる部分では相談者が必要

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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