国が中小企業のIT活用を推進し続けているので、各自治体の中小企業支援機関もIT活用を推進しつつあります。しかし、現場で中小企業を見ていると、まだまだIT活用は進んでいません。
公的支援機関には、もっと腰を据えた活動が必要だと感じています。
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ネットで情報収集できない層を変える
私はこのように、日々ブログやメルマガで情報発信しています。それによって中小企業のIT活用などを後押ししていますが、どう考えても限界があります。
ネットで情報発信している以上、ネットで情報収集をしない層には届かないからです。しかし、私のように1人でビジネスを営んでいる者としては、ネットでの情報発信が時間的にもコスト的にも限界です。
そして、IT活用の情報はネットには多く溢れています。ですからネットで情報収集できる層と、そうでない層の差が、確実に開いていっているのが実情です。
このような実態において、各自治体にある公的支援機関には、ネットで情報収集できない層をしっかりとサポートしていくことが求められていると考えています。
セミナーを開催するだけではIT活用は進まない
国がIT活用を推しまくっているので、各自治体も重い腰を上げ始めています。しかし、多くは専門家を呼んでセミナーを開催する程度に留まっているように感じています。
しかし、セミナーを開催しただけでは、残念ながら中小企業のIT活用は進みません。もちろん、呼ばれる講師としては、一歩でも前に進めるように配慮をしています。しかし、一度話を聴いただけで、自分たちで手を動かすことができるのであれば、とっくにやっているのではないでしょうか。
公的機関に一言。
セミナーやったくらいで、中小企業のIT活用は進みません。不慣れな企業ほど、じっくりと腰を据えた支援が必要になります。
国はDXだSociety 5.0だ言ってますが、電話やFAX、紙書類が中心の企業には刺さりません。
支援機関が本気に腰を据えない限り、中小企業のIT化は進みません。
— 渋屋 隆一💡中小企業のIT・データ活用 (@giraffe_duck) November 16, 2019
セミナーで提供できるのは、「自社でもできるかもしれない」というキッカケや希望までです。そこから先の具体策は、その会社が置かれている状況によって、全く変わります。
例えば、セミナーで「中小企業はクラウドを活用しましょう」という話に納得したとします。しかし、社員1人1人にメールアドレスがなくて、会社で代表メールアドレスを1つしか持っていないような会社の場合、出だしからつまずいてしまいます。
このような場合は、まずは社員1人1人にメールアドレスを準備する必要が出てしまいます。そうこうしている間に、クラウド活用の話はすっかり忘れてしまうでしょう。
ですから、会社ごとに相談に乗り、一歩一歩ステップアップしていただけるような支援をするメニューが必要だと感じています。
ちなみに、公的支援機関のメニューを見ても「IT活用」が上位にあるケースを、ほとんど見かけません。今や「IT活用」は、人材やお金と同様に、経営者が最初に意識しなければならない筆頭であるにも関わらず。
公的支援機関のIT活用支援のゴールとは?
では、自治体や公的支援機関は、どこまでIT活用の支援をすれば良いのでしょうか?
私が考える現実的なゴールは、「ネットで情報収集できるようになること」です。ネットで情報収集し、意思決定ができるようになれば、そこから先は自走できます。逆に言うと、ネットでの検索が日常になっていない中小企業が多いのです。
子供に自転車の乗り方を教えたときのように。補助輪を取って、ヨレヨレしながらも自分で乗れるようになる。そこまでくれば、後は場数を乗り続ければ、子供は勝手に乗れるようになります。
それと同様に、臨界点となるのが「ネットで検索できること」です。ネット検索ができるようになれば、そこから先は自分たちで情報収集して、よりIT活用を進めていくこと(自走)ができるようになります。
ちょっとしたグループウェアの活用程度であれば、検索ができれば前に進むことができます。しかし、業務の中心に来るような重要なシステムであれば、相談先が必要です。ネットでの情報収集だけでは、判断ができないからです。
そこには経営とITの両面が分かる専門家の配置が望まれ、また3回などではなく、最低でも10回程度の支援ができるスキームが必要であると考えています。
以下、関連記事です。
- 公的機関は、セミナーをやるだけでは、IT活用は進まない
- 自分でネット検索できるようになるまで、継続支援が必要
- 基幹システムなど、業務のコアになる部分では相談者が必要
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