情報システム(IT)に関して、10~30人程度の中小企業において、具体的にどういう体制を組めば良いのでしょうか?前回の続きです。
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経営者+情シス+現場を組み合わせる
まずは前回のおさらいをしましょう。
情報システム(IT)の仕事は、非常に多岐に渡ります。
- サポート・ヘルプデスク
- ITインフラの企画、構築、運用、保守
- 情報システムの企画、構築、運用、保守
- 業務プロセス改善
- 事業計画、商品・サービス企画
- その他
それぞれについて、全部を情シス(IT)の仕事とするのではなく、主担当者を割り当てながら、「経営者+現場+情シス」を組み合わせた体制をつくっていくことをお伝えしました。
- 「事業計画、商品・サービス企画」については経営者
- 「情報システムの企画、構築、運用、保守」については、その業務担当者
(例えば、顧客・商談管理のシステムなら営業部門、会計システムなら経理部門)
が主担当、というところまでが前回でした。
今回は残りの3つを解説します。
業務プロセス改善
業務プロセスとは、目的を達成するための手順の集まりです。
自分たちがどんな業務プロセスで仕事をしているのか?は、本人たちが一番分かっているはずです。ですから、その業務を担っている部門が主担当になります。
ただ、何事においても自分のことは自分では分かっていない側面があるのも事実です。
日々行っていることが当たり前になり過ぎて、疑問を持たなくなってしまうから。
そのため、第三者として情シス(IT)担当者が、業務プロセス改善に役立つときがあります。
IT担当者は、システム面・データ面から業務プロセスを俯瞰してみることができます。
その業務の主担当者とは、異なる視点で見ることができるのです。
具体例を見てみましょう。営業部が主に扱う、顧客・商談データについてです。
- そのデータが生まれるのはいつか?(例:顧客データが生まれるのは、名刺をもらったとき)
- 生まれたデータはどこに格納されるか?(例:顧客管理システム(CRM))
- そのデータが活用されるのはいつか?(例:今度行うセミナーの案内をするとき)
- どのシステムで活用されるか?(例:メール配信システム)
- そのデータと関連付けされるデータは何か?(例:商談名、商談金額など)
営業部にとっては、アポ取り→ヒアリング→提案→交渉→受注というように、業務の流れで理解するのが、一番しっくりくるでしょう。
IT担当者は、システムやデータ面から見ることで、より業務プロセスを細かく分解して把握しようとします。IT担当者からの質問に答えるうちに、営業部は自分たちの業務プロセスを冷静に見ることができるようになります。
なお繰り返しになりますが、業務プロセス改善の主担当は、あくまでもその業務を担っている部門です。また経営者は部分最適に陥らないように、全体視点で業務プロセスをチェックします。
ITインフラの企画、構築、運用、保守
従業員全体に配布するパソコンやスマートフォン。
インターネット環境やWi-Fi。
あるいはプリンターなど。
このようなITインフラと呼ばれる部分は情シス(IT)担当者のメイン業務です。
逆に言うと、これらをメインで担当できるのは、IT担当者しかいません。
ちなみに個人でパソコンが好きだからという程度で、会社のITインフラを企画~保守するのは困難です。個人で利用する範囲と会社全体のそれを管理するのとでは、求められるものが異なるからです。
例えばITインフラの仕事には情報セキュリティが求められます。従業員が情報漏洩などをしないように、全社的なシステムの「あるべき姿」を企画したり、従業員教育を企画したりします。ですから、安易に「パソコンが得意そうな若手」に丸投げするのは止めましょう。
サポート・ヘルプデスク
最後に各種システム・ITツールに関するサポートです。
- パソコンが壊れた
- パスワード忘れた
- 間違って必要なファイルを消してしまった
- 操作方法が分からない
現場からは常にこのような問い合わせや依頼事項が発生します。
特に新しいシステム・ツールを導入した直後には、数が増える傾向があります。
急にリモートワーク(在宅勤務)へのシフトが求められている昨今では、かなり問い合わせが増えているようです。
リモートワークで初めてZoom触っている方も多いと思うのですが、困ったときには、以下の情報を先に伝えた方が良いですよ。
・パソコン、スマホ、タブレットなどの利用端末(Windows、Mac、iOS、Android)
・アプリか、ブラウザか、どちらからアクセスしているか?— 渋屋 隆一💡中小企業のIT・データ活用 (@giraffe_duck) March 31, 2020
ITインフラ・情報システムの両方とも、問い合わせ窓口はまとめた方が良いでしょう。
顧客管理システムが使えなくなったとき、そのシステムがトラブっているのか?単にWi-Fiがダウンしているだけなのか?詳しくない利用者には、その区別もつかないからです。
そして問い合わせ件数が多い場合には、ぜひ外注の活用を検討しましょう。
「ひとり情シス」がこれらの問い合わせに対応していると、それだけで1日が終わってしまいます。
ここまで書いてきましたように、情シス(IT)の仕事は多岐に渡ります。
問い合わせ対応だけで時間や集中力を奪われてしまうと、会社組織として「IT力」を上げていくことができません。
言うまでもなく、現代は「IT力」が企業の実力に直結します。
より良い企画を考えたり、スタッフ教育を行ったりすること。
便利なシステム・ツールを使いこなして、業務プロセスを改善し続けること。
これらを実現するには、情シス(IT)の時間を問い合わせや障害対応だけで埋め尽くすわけにはいかないのです。ですから外注の活用も有効です。なお、外注先の管理は情シス(IT)が行います。
まとめ
繰り返しになりますが、情シス(IT)担当者へ業務の丸投げは止めましょう。
ここまでご紹介してきた通り、経営者+現場+情シス(IT)が各々、やるべきことがあります。
特に人材が足りていないスモールビジネスにおいては、全員が協力して、ITに関わっていく必要があります。「私はIT、良く分からないので」という経営者が会社をダメにします。
分からなくても学ぶ。会社全体として学んでいく。
そうできるための体制をつくり、推進していく。
別に技術に詳しくなる必要はありません。
経営者として、意思決定をするだけです。
- 業務プロセス改善は現場が主体者。IT担当者が別視点で整理できる
- ITインフラは情シス(IT)が主体者
- サポート・ヘルプデスクは件数が多ければ外注
- 全社的にITに対応できる組織に変えていく
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【編集後記】
3月を振り返ったら、仕事で電車に乗ったのは3日だけでした。
社会全体がリモートワークに向かっているので、確実に移動時間が減っていることを感じます。
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