「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」という言葉を、あちこちで見かけるようになりました。
これに関して、私が中小企業経営者に一貫して伝えていることは、「そんな言葉、知らなくていい」です。
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DXとは何なのか?
そもそも、デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは何なのでしょうか?
2004年にエリック・ストルターマン教授が仰ったことが始まりと言われています。
デジタル・トランスフォーメーションとは、デジタル技術(IT)の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること
The digital transformation can be understood as the changes that the digital technology causes or influences in all aspects of human life.
原論文はこちらです。
私たちの生活は、蒸気機関(第1次産業革命)や電気(第2次産業革命)、半導体(第3次産業革命)などの登場と共に、より良くなってきました。
今度はデジタル技術(IT)がその役割を果たす、と読み解けるのではないでしょうか。
したがって私たちが意識すべきは、以下のことです。
- デジタル技術(IT)は有効な基礎技術である
- ITを使いこなすことが、私たちの生活を良くする
ここまで読んで、「そりゃそうだよね」と思われたら、デジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉そのものは、忘れてしまって良いのです。
今や「DX」という言葉が独り歩きして、間違った使われ方をしたり、単にIT企業の売り文句・煽り文句になっていることの方が多いからです。
実際、「DX銘柄」として表彰されているような企業からお話しをうかがうと、「社内でそんな言葉は使ってない」と仰います。
それよりも、「ビジネスの本質」を追求されているのです。
顧客に提供している価値は何なのか?
では、「ビジネスの本質」とは何でしょうか?
私はドラッカーが晩年に言った、経営者への5つの質問こそが、ビジネスの本質であると考えています。
- われわれのミッションは何か?
- われわれの顧客は誰か?
- 顧客にとっての価値は何か?
- われわれにとっての成果は何か?
- われわれの計画は何か?
価値の例として、有名なのがスターバックスコーヒーです。
スタバが提供する価値は「サードプレイス」。
家でも職場でもない「第3の場所」を提供することでした。
しかし中国では、コーヒーをデリバリーするラッキンコーヒーの登場により、スタバは苦戦を強いられました。
「サードプレイス」という場所にこだわり過ぎたために、デリバリーへの参入が遅れたためです。
その後、スタバは「スタバらしいデリバリー」を展開することで、中国でも復活しています。
「顧客にとっての価値」を再定義した好事例だと感じます。
詳しく知りたい方は、こちらの書籍をご覧下さい。
日本でもレジに並ばずにコーヒーを買えるスマホアプリが登場するなど、スタバは進化しています。
「サードプレイス」という価値の言葉は変えてないものの、その定義や理解を深めたことで、次の手を打ってきている印象です。
デジタル技術(IT)ありきではない
このスタバの例を見てもお分かりのように、最初からスマホアプリをつくろうとしたわけではありません。
「サードプレイス」という顧客に提供する価値を追求した結果、
「レジに長時間並ばせるのは良くないよね」
「どうすれば、並ばずに買えるかな?」
「お店に来る前に注文できたら良いよね」
さらに言えば
「商品を買うとき、店舗で過ごしてもらうだけでなく、スタバを好きになってもらうには、どうすれば良いかな?」
という流れから、スマホアプリが作られたのだと思います。
(私の勝手な推測ですが)
今や、商品を買うときだけの満足では足りません。
顧客にとっては商品を買う・利用するのは一瞬のことであり、その前・その後を含めて生活やビジネスを営んでいるからです。
その全体(顧客体験=UX)をどう良くしていくのか?
それこそがビジネスの本質ですし、付加価値を高めることにもつながっていきます。
繰り返しですが、DXを実現したと言われている会社ほど、「DX」などという言葉に振り回されていません。
むしろ、ビジネスの本質を追求した結果、デジタル技術(IT)を活用しているのです。
- DXという言葉は知らなくてもいい
- 大事なのは、顧客は誰か?価値は何か?というビジネスの本質
- 本質(顧客体験)を追求した結果として、デジタル技術(IT)を使うことになる
以下、余談です。
巷では残念なIT企業がDXという言葉を使って売り込もうとしてきています。
また経済産業省も「DXレポート」「DX推進ガイドライン」などを出して活動しています。
某所で聞いたところでは「DXとついてると予算が付きやすい」のだとか。。
明らかに本質から乖離しています。
私たち現場で働く者は、本質を追求していきましょう。
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【編集後記】
この2日間、天気が崩れたままですね。
洗濯物が乾かないですし、テンションが上がりません。
(明日、数年振りのオープンウォータースイムの大会なのですが・・)
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