マーケティングや営業が利用するツールとして
- MA(マーケティングオートメーション:Marketing Automation)
- SFA(営業活動支援:Sales Force Automation)
- CRM(顧客関係管理:Customer Relationship Management)
などがあります。
しかし、似たような言葉の羅列ばかりで違いが良く分からない!ということありませんか?
この記事では、MAとSFA/CRMの違いをお伝えします。
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BtoBにおける一般的なマーケティング・セールスプロセス
MAとSFA/CRMの違いをお伝えする前に、対法人ビジネス(BtoB)における一般的なマーケティング・セールスプロセスをご紹介します。
どんなビジネスであれ、顧客の視点で見ると以下のような流れで関係が構築されていきます。
- 相手を知る(認知)
- ニーズを感じて興味・関心を持つ(興味)
- 競合他社と比較する(比較)
- 購入する(購入)
- 商品・サービスを利用する(利用)
- ファンになる(ファン)
これを売り手の視点で見ると、以下のようなプロセスになります。
マーケティング部門が中心となって、顧客に知ってもらい・興味を持ってもらうための活動を行います。これを「デマンドジェネレーション」と言います。
デマンドジェネレーションの詳細は、別の記事でご紹介する予定ですが、ゴールは「営業に良質な案件を渡すこと」です。
営業はマーケティングから受け取った案件に対応してクロージング(受注)を目指します。
BtoBの場合はアポイントを取って対面(オンラインを含む)で提案・見積などを行って、受注に至るケースが多いでしょう。
SaaSなど単価の低い商材であれば、ネットで受注まで完結することもあります。
営業部門が担当するプロセスをセールスプロセスとしています(そのまんま・・笑)。
1回売って終わりではなく、商品・サービスを利用する顧客をフォローしたり、追加の提案をすることもあるでしょう。
他の部署がそれを担当することもあります。
SaaSなどのITツールでは、カスタマーサクセス部門が担っていることが多いようです。
MAとSFA/CRMの違い
ここまで踏まえた上で、MAとSFA/CRMを比較してみましょう。
端的に言えば、上記マーケティング部門が担当する「デマンドジェネレーション」を行うためのツールが「MA(マーケティング・オートメーション)」。
営業部門が案件管理や、顧客との関係性を強化するために利用するのが「SFAやCRM」です。
売上への貢献で言えば、下図のようになります。
- 良質な案件数を増やすのがMA
- 決定率を上げるのが SFA/CRM
なお、SFAとCRMは元々、厳密には異なるものです。
しかし、今やツールとしては双方の機能を満たしたものばかりです。
「CRM」と名付けられたツールでも SFAの機能を持っています。逆も然り。
そのため、下図の比較では SFAとCRMを区別せず、同じものとして扱っています。
より詳細を見てみましょう。
目的
マーケティング部門が担当するデマンドジェネレーションのゴール、すなわち「営業に良質な案件を渡すこと」が MAの目的です。
一方、SFA/CRMの目的は大きく2つです。
案件の受注決定率を向上させること。
そして案件を可視化することによって、売上予測を正確に行えるようにすることです。
目的を見失うと、何のためにツールを使っているのか、分からなくなってしまいます。
データの量
MAはいわゆる見込み客のデータを全て取り込みます。
展示会に出展すれば、数100~数1,000枚の名刺を頂くでしょう。
そういったデータを全て取り込み続けますので、数万件を超えるデータが蓄積されます。
「リード」と呼ばれる顧客情報が揃ったデータだけでなく、その前の断片的な情報「リスト」も蓄積するので、データ量は非常に多くなります。
一方、SFA/CRMは、デマンドジェネレーションのプロセスを経て営業部門に引き渡された顧客のみが登録されます。
案件がある・過去に取引があった顧客のみですので、数100~1,000件程度のことが多いです。
このデータ量の違いにより、MAは名寄せが得意です。
名寄せとは、重複データを削除したり、断片的なリストを統合してリードに変えたり、競合他社を排除したり。
要するに「データを使える状態にする」ことです。
一方、SFA/CRMは重複チェック程度の機能しかないものが多いです。
メール機能、ウェブ行動解析
その他、特定多数にメール配信することやウェブでの行動解析など、見込み客の興味・関心を高めたり、その解析をするなど、MAには機能が多いです。
その辺りの機能は SFA/CRM にはあまり期待し過ぎない方が良いでしょう。
このように目的に応じて、機能が MAと SFA/CRMとでは、かなり異なります。
ただ、かつて別々だった SFAと CRM が統合されたように、MAと SFA/CRM も少しずつ統合されていくのではないでしょうか。
実際、重複している機能も散見されるようになってきました。
ツールを使う以前に、考え方を理解することが大事
ツールベンダーは、ツールを売りたいので、どうしてもツールの機能の話ばかりします。
導入コンサルティングまでは提供するものの、その後の利用まではフォローしない場合もあります。
逆に利用者側が、「導入してくれれば後は自分達で何とかします」というケースも多いです。
しかし残念ながら、MAも SFA/CRM も、ツールだけ導入しても大概失敗します。
社内全体でこれらのツールを利用する前提となる「考え方」が共有されていないからです。
考え方を共有するために、デマンドジェネレーションやセールスプロセスを学ぶことは必須ですし、組織内で言葉も統一しなければなりません。
繰り返しになりますが、そういう事前準備を抜きにして、ツールを導入しても失敗してしまいます。
- 単なる営業日報になり果てた CRM
- 単なるメール配信スタンドになった MA
など、導入したのに使われていないシーンを何度も見てきました。
まずは組織内で考え方を学び、自社ではどうするのか?を設計します。
設計を通じて、共通言語を持てるようにすると良いでしょう。
ツール選びは、その後からで十分です。
以下、関連記事です。
- MAは、マーケティングが行うデマンドジェネレーションのツール
- SFA/CRMは、営業が案件を管理し受注決定率を上げるためのツール
- ツール導入の前に考え方を身に着け、組織で共通言語化する必要がある
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【編集後記】
お客様にコンサルティングの後、「最高に楽しかった」と感想を頂きました。
私にとっては一番の誉め言葉です。
ワクワクしなければ、未来に目が向かないし、行動につながらないからです。
コンサルティングやセミナー・研修が「学習エンタメ化」するのが、私の理想なのかも。
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変化・成長したいというビジネスパーソンにお読みいただいています。