マーケティング思考

あなたのお客様とは、誰のこと?顧客を定義する視点

ビジネスをする上で、「お客様を定義すること」は生命線です
適当に顧客を定義して、中長期にうまくいっているビジネスを見たことがありません。

この記事では、顧客を定義する方法についてご紹介します。

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顧客の定義は、全ての事業活動につながる

最初にドラッカーが顧客について述べている一文をご紹介します。

現実の顧客は誰か、潜在的な顧客は誰か、顧客はどこにいるのか、顧客はいかに買うか、顧客はいかに到達するか、を問うことである(『現代の経営』)

たった一文で実に深いことを言う・・さすがドラッカーです。
顧客の定義は、全ての事業活動につながっています
顧客を決めなければ、その顧客が感じる価値も決められません。

商品・サービスは顧客に価値を提供する手段ですから、顧客が決まらなければ、商品企画ができません。顧客がどこにいて、何で情報収集しているのかが分からなければ、顧客に知ってもらうことができません。何よりも、その事業で何を達成するのか?が決められません。

さらに言えば、スモールビジネスにおいては、良いお客様とつながることが、モチベーションの生命線です。儲かる・儲からない以前に、自分と合わないお客様とやりとりすることは、ストレスでしかありません。

大企業なら担当変更で済むかもしれませんが、中小は、そんな人材は余っていません。いかに自社・自分に合った顧客を定義するか?が、毎日の生きがいに直結しているのです。

このように顧客の定義は、超重要です。
ただ、その定義方法は、あまり世の中に広まっていないように感じます。
以下、定性面・定量面の双方から、顧客を定義する方法をご紹介します。

顧客を定義するための定性的なアプローチ

誰を幸せにしたいのか?

何らかの事業を営み、商品・サービスを提供する限り、誰か幸せにしたい人がいるはずです。あるいは、つらくて仕方のない状況から救いたい人かもしれません。

顧客の定義では、仮想的に描かれたペルソナを定義するよりも、まずは具体的な人を決めた方が良いように感じます。その方がリアリティがあるからです。

私自身、目の前のお客様に価値を提供しようと必死です。そして、それぞれのお客様の共通項を抜き出したとき、「結果として」ペルソナになります。

またこれは良くある事例ですが、「数年前の自分」に価値を提供したいというケースを良く見ます。私も例外ではなく、3年前の自分を向上させたい、と考えています。
独立支援のサービスも行っているのは、そのためです。

顧客は1種類ではない

多くの事業で、顧客は1種類ではありません。

例えば、企業研修では、

  • 研修を受ける受講生
  • 研修を企画する経営者や人事

と2種類の顧客がいます。
商品・サービスを受ける人と、お金を出す人が異なるのです。
それぞれに求めることが異なります。

売るためには、予算を出してくれる経営者や人事へのアプローチが必要です。
しかし、真に成果を上げるためには、受講生に何を提供するか?が本質です。

このように、事業に関わる人を全て洗い出し、
それぞれに対して、何が大切なのか?を、社内でしっかりと共有しましょう。

顧客はどこにいるのか?

さて、顧客はどこにいるでしょうか?

先日、面白い話を聞きました。
ある地域には、経営者がやたらと住んでいるそうです。
その地域で営まれる子ども向けイベントには、経営者が子どもを連れてやってくる。

なので子ども向けイベントを主催しつつ、パパ・ママとしてやってきた経営者に、ある提案をするとのことでした。急に親の顔から経営者の顔に変わり、興味を持ってくれることも多いのだとか。

これは正面からのアプローチというよりも、ちょっとイレギュラーなアプローチです。
しかし、顧客はどこにいるのか?を徹底したからこそ、実現した方法だったのでしょう。

顧客がいる場所を徹底して探しましょう。
場合によっては、Twitter上など、リアルではなくネット上の方が接点があるかもしれません。

お客様はわが社、わが社の商品をどうやって見つけるのか?

お客様は、あなたの商品・サービスをどうやって見つけるのでしょうか?

  • インターネットで検索
  • 広告が目に入った
  • 友達から教えてもらった
  • SNSで話題になっていた
  • 案内のメールやDMが届いた

私も初めての商品・サービスを購入するときには、
どこで発見したのか?を確認するようにしています。

価値を提供したいお客様は、果たしてどうやって商品を見つけてくれますか?

顧客の1日を考える

他にも、とにかくお客様がどのような1日を過ごしているのか?確認することも大事です。

  • どこを通って
  • 何を読み
  • 何を食べて
  • どういう服装で
  • 誰に会って

・・というように、1日・1週間を想像できるようになれば、
その顧客が欲しているものが、見えてくるはずです。

「お付き合いしたくない顧客」も定義する

末永くお付き合いしたいお客様像を描くのに限界が来たなら、逆のアプローチも、結構使えます。要は、お付き合いしたくない顧客を定義するのです。

私の例で挙げますと

  • 教えてください!というスタンスの人
  • やらない理由ばかり挙げる人
  • タバコを吸う人
  • 自分さえ良ければいい、と考えている人

これらが良い・悪いではなく、私には合わないのです。

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定量的なアプローチ

次に定量的なアプローチです。
基本的に優良顧客とは、自社に売上・利益をもたらしてくれる顧客のことでしょう。

既にビジネスを営んでいる場合は、お客様との取引履歴があります。
最低でも請求書は残っているでしょうし、それがなくとも銀行明細から把握可能です。
このデータを活かさなければ、実にもったいない。

RFM分析

RFM分析とは、以下3つの頭文字をとったものです。

  • Recency (最新購買日)
  • Frequency (購入頻度)
  • Monetary (累計購買金額)

この3つから優良顧客を導き出します。
最近購入していて、頻繁に購入してくれて、累積金額が多い顧客は、優良顧客です。

多くの企業は、Recency(最近、いつ購入したか?)をちゃんとチェックしていません
気づいたときには「あの会社、もう2年も取引してないね。離脱してしまったか・・」という状態になりかねません。

そういう状態を把握して、ビジネスが途絶えないようにすることと。
あと優良顧客を抽出するために、RFM分析を定常的に行ってみましょう。

ただ、RFM分析は、直近に大きな金額を買ってくれた顧客が良く評価されてしまう傾向があります。中長期にじっくりと買って下さる顧客が軽視されがちなので、その点は気をつけましょう。

デシル分析

RFM分析よりもシンプルです。
顧客を購入金額合計に対し10グループに分けます。

上位2グループで売上の8割を超えてくる、ということも良く見ます。
いわゆる2:8の法則です。
このように、上位〇グループで△%の売上・利益を稼いでいることが分かれば、
その上位をもっと手厚くサポートしよう、という流れになるかもしれませんね。

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まとめ
  • 顧客の定義はビジネスの生命線
  • 顧客は定性面と定量面の双方から定義する
  • 定義だけでなく、分析・評価にも活用する

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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