CRM(顧客・案件管理)

注力すべき顧客を判別するためのデシル分析

限られた人員・時間・予算で、どの顧客に注力すべきか?
特にリソースが限られがちなスモールビジネスでは、その見極めが重要です。
この記事では、顧客分析としては入門に当たるデシル分析をご紹介します。

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デシル分析とは?その目的

デシル分析は、全顧客を購入金額の高い順に並べて10等分することで、売上構成比を分析する手法です。
デシル(Decile)はラテン語で10等分を示します。小学校で習うデシリットルと同じですね。

一般的に売上の大半は少数の顧客から得られています。
8割の売上を2割の顧客から得る、ニハチの法則・パレートの法則は有名です。
必ずしも8割・2割というわけではありませんが、大事な少数の顧客を見極めておく必要があります。

  1. 優良顧客を見極める
  2. 優良顧客や、その候補に対してリソース(人員・時間・予算)を集中投下する
  3. 優良顧客を増やしていく

この流れの最初にあるのが、顧客の見極めです。
全ての顧客に等しくリソースを配分するのではなく、優良顧客に集中するための前提になるからです。

なお、顧客数がそんなに多くない場合は、デシル分析を使う必要もありません。
100社・人を超えないなら、こちらの記事にあるように直接分析してしまいましょう。

なぜ顧客を識別しなければならないのか?顧客を識別するべき理由は何でしょうか?スモールビジネスはリソース(人・お金)が限られています。だからこそ、顧客を識別して、優良顧客の獲得・維持に集中するのがお勧めです。売上向上・経費削減だけでなく、自社に合った顧客と関係構築できるようになります。...

ざっくり100社・人を超えたくらいから、デシル分析を使うと良いでしょう。

エクセル(Excel)を使ったデシル分析の実践

実際にエクセルを使ってデシル分析を行ってみます。
まずは一定期間(例:1年間)における顧客別の売上をまとめます。
注文履歴などから顧客別売上をまとめるには、SUMIF関数などを活用します(割愛)。

  • B列:顧客名(ここでは顧客IDとしています)
  • C列:購入金額

A列に順位を入れますので、ここは空欄にしておきます。

この例では 999社の顧客があります。
10等分しますので、1つのデシルにつき100社。(E列・F列)
最後のデシル10は、99社が入ります。

このように10で割り切れない場合には、最後のデシルで調整します。
売上が少ない集団なので影響が出にくいからです。

1. 売上順に並び変える

上図の通り、C列(購入金額)を選び、降順(大きい順)に並び替えます。
(赤線の四角で囲ったところ)

すると「並び替えの前に」という注意が出てきますので、そのまま「並び替え」をクリックします。

購入金額だけでなく、顧客IDも併せて順番が変わってくれます。

2. 順位を入れる

その後、上図のようにA列に順位をつけます。
1000件近くもある順位をつけるので、間違っても1件1件、手入力をするのは止めましょう(笑)
マウスでオートフィル(連続データの作成)するのも、スクロールが長くなって大変。

  • A2セルに 1 を入力
  • A2セルを選択して、[Shift] + [Ctrl] + ↓ で A列の全データを選択
  • [Alt] →[H] → [F] → [I] (アイ) → [S] → [Enter] で1位から最終順位まで入力

とキーボードで入力する方が簡単です。

3. デシルごとの購入金額を算出する

顧客ごとの順位をつけ終えたら、いよいよデシル(10分割したグループ)ごとの購入金額を計算します。
これも関数でサクッと終わります。

デシル1の購入金額(H2セル)の入力内容は、以下の通りです。

=SUMIFS(C:C,A:A,”>=”&E2,A:A,”<=”&F2)

SUMIFS関数は、複数の条件を指定して数値を合計してくれます。

SUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2, …)

という式です。
この例では、合計したいのはC列の購入金額ですので「C:C」。
条件は以下の2つです。

  • 順位が1(E2セル)以上→ A列の値がE2以上
  • 順位が100(F2セル)以下→A列の値がF2以下

ということで上記のような式になっています。

H2が上手くできたら、デシル10までコピーして同じく購入金額を割り出します。

4. 購入比率を算出

次に全体から見たデシルごとの購入比率を算出します。
(I列・J列はセルの表示形式をパーセンテージにしておきましょう)

まずはデシル1~10までの合計金額を出します。

H12 = SUM(H2:H11)

購入比率は各デシルの売上を、合計金額で割ります。

I2 = $H2/$H$12

後で式をコピーするので、合計金額(H12)のセルを絶対参照にしておきます(F4ショートカット)。
I2の式を同じくI11セルまでコピー。

5. 購入比率累計を算出

最後に、各デシルの購入比率累計を算出します。

J2 は、そのまま I2 と同じですね。
J3以降は、1つ上の数字に自デシルの購入比率を加えたもの。

J3 = J2+I3

J3の式をJ11(デシル10)までコピーします。
デシル10の購入比率累計が100%になっていればOKです。

この例では、上位3割のお客様で50%以上の売上を獲得しています。
実際、どのデシルまでを注力する対象にするかは、リソースによって判断します。

デシル分析の注意点

このようにデシル分析は手軽にできるのですが、注意点があります。
あくまでも、設定した期間(例:1年間)の金額だけに注目した分析手法だからです。
優良顧客とした顧客が、たまたま1回、大きな金額を購入しただけかもしれません。

本来、注力すべきでない顧客も含んでしまう可能性は否めないのです。
より顧客分析の精度を高めるのであれば、

  • 直近の購入日や、購入頻度も合わせたRFM分析を行う
  • 営業やサポートなど、顧客と接している人が定性的な意見を付け加える

など、別の手法を追加・選択する方が良いです。

このような弱点もありつつ、手軽にできる分析です。
まだ顧客分析をやったことがない場合は、まずはここから始めてみると良いでしょう。
何らかの気づきが得られると思います。

まとめ
  • リソース(人員・時間・予算)が限られるので、注力すべき顧客を判別する
  • 判別する手法として、デシル分析は手軽
  • ただし、金額しか見ていない手法なので注意が必要



【編集後記】
天気がスッキリしないですね。
走りに行く予定だったのですが、またしても雨で困っています。。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとIT、そしてデータを使った「売れ続ける仕組みづくり」「業務改善」が得意。コンサルティングや研修・セミナーで中小企業の経営支援をしています。元IT企業でエンジニア→マーケティング。中小企業診断士。
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