商品・サービス企画

受託開発と SaaS を冷静に比較する

今まで受託開発をしていた会社から、SaaS にシフトしたいという相談を受けることがあります。
ただ、その時点では SaaS の良いところしか見ていないことが多いと感じています。
受託開発にも、SaaS にも、良い点・悪い点があります。

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SaaS に夢を委ねすぎる経営者

受託開発がメインの会社から SaaS にシフトしたいというご相談を受けるとき、多くは SaaS に夢を持ちすぎている印象を受けます。

  • 毎月、チャリンチャリンとお金が入ってくる(資金繰りの悩みから解放される)
  • 季節変動や繁閑の差が少ないビジネスになる(人が足らない問題、人余り問題から解放される)
  • 今どきっぽくてカッコイイ

などなど。

しかし、実際に SaaS をビジネスの柱にしようと思ったら、相当な覚悟が必要です。

受託開発と SaaS の比較

あらゆることに言えますが、全てのことにメリット・デメリットがあります。
それは受託開発にも、SaaS にも言えることです。

簡単に表にまとめてみました。

資金回収までは険しい道のり

経営者が夢を描きがちな「毎月チャリンチャリン」ですが、その段階にたどり着くまでは険しい道のりです。

  1. 先行投資をしてシステム開発をする
  2. 毎月のインフラ(クラウド)代金が発生する
  3. それらを取り戻すだけの顧客数を獲得するまでは赤字
  4. 黒字転換してからが、ようやく安定軌道
  5. しかし解約されないように顧客サポートは超重要

ハッキリ言えば、ビジネスモデル的には受託開発より、かなり困難です。
黒字転換まで我慢できずに、諦めてしまった例を、何度も見てきました。

企画の段階から、いくらまでの金額?どれくらいの期間?の赤字を受け入れられるのか、目安を決めておくべきです。
実際に目の前で赤字が発生し続けると、恐怖心が強くなってしまうからです。

顧客獲得はWeb中心

SaaS で顧客を獲得するには、Webマーケティングが中心になります。
お客様先に訪問して・・などとやっていると、安価な SaaS ではコストが高すぎてしまうからです。

逆に言うと、訪問して説明しないと伝わらないようなプロダクトは、SaaS に向いていない可能性があります。(大企業・官公庁向けの SaaS を除く)

  • Webでコンセプトを分かりやすく
  • お客様の役に立つ情報提供を行う
  • 可能なら30日間などのお試し期間を設ける

と言ったように、Webでお申込みまで完結する流れをつくれるようにしましょう。
受託開発中心の企業は、Webマーケティングが苦手なことが多いので、ここはスキルを身に着けるべきポイントです。

まずは検索エンジンで見つけてもらうための SEO や、Google Analyticsの読み方(Web解析)などから、スキルを身に着けると良いのではないでしょうか。

適用技術の違い

その他、今まで書いてないことで言うと適用技術の違いがあります。
受託開発は、その時点で最も良いと思われる技術を使うことができます。
その一方で、SaaS は既に顧客が利用している基盤ですから、そう簡単にアーキテクチャやインフラレベルの変更を行うことができません

受託開発と SaaS を両方やっている企業からお話しを聴くと

  • 最新技術は受託開発で身につけて
  • そこで得た知見を SaaS に反映している

と仰っていました。
そもそも受託開発で最新技術にチャレンジする組織文化が必要なのですが。

その他のポイントについては、こちらの連載記事も参考にしていただけたらと思います。

受託開発からサービス(SaaS)へシフトできない理由IT企業の支援をしていて良く聴く悩みの1つが「ビジネスをサービスモデルにシフトしたいのにできない」こと。今回はこの理由を少し掘り下げたい...
まとめ
  • SaaS でビジネスがまわるまでの道のりは非常に険しい
  • 受託開発と SaaS、両方のメリット・デメリットを知って使い分けるべき
  • 受託開発にも最新技術にチャレンジできるなどメリットがある



【編集後記】
自分の部屋のエアコンを新しくしました。
特に困っていなかったのですが、20年近く使っていたのと、自宅での仕事が増えたので、省エネにしようかと。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとIT、そしてデータを使った「売れ続ける仕組みづくり」「業務改善」が得意。コンサルティングや研修・セミナーで中小企業の経営支援をしています。元IT企業でエンジニア→マーケティング。中小企業診断士。
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