「デジタル化とか言われても、何のことか良く分からない」
そんな経営者の嘆きを良く聴きます。
人間、知らないことはイメージできないので、ある意味では仕方ありません。
一方で、日本は「デジタル化後進国」だと言われています。
他国に比べて、いつまで経っても、デジタル化が進んでいないのです。
この現実を打破するためには、経営者がデジタル化について知る他にありません。
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デジタル化の最初の一歩
最初に取り組みたいのは、今あるものをデジタル化することです。
- 紙の書類を止めて、パソコン上でやり取りする
- ハンコを止めて、電子印鑑にする
- かつてのフィルムカメラを止めて、デジタルカメラにする
今あるものをデジタル化するのは、比較的容易です。
理由は他のものは変えることなく、部分的にアナログからデジタルに変えるだけだからです。
かつてのカメラがデジタルカメラに変わったからと言って、写真の撮り方そのものが変わったわけではありません。それと同様です。
過去の別の例で言えば、洗濯板を止めて洗濯機を導入するようなものです。
洗濯機という便利な道具があるにも関わらず、利用しない人は少ないでしょう。
ただ中小企業の現場では、洗濯板でゴシゴシするような古いやり方が、まだまだ残っています。
それは残念ながら経営者が、洗濯機という便利な道具の存在を情報収集していないからです。世の中でITを活用した新しいビジネスが次々と生まれていますが、それらの情報に敏感になっておきたいものです。
一部を変えると、他にも変わることが出てくる
かつてのフィルムカメラがデジタルカメラに変わった直後、私達のカメラの使い方は、そう大きく変わりませんでした。
しかしデジタルカメラの特性が分かると共に、使い方が変化してきました。
かつてのようにフィルムを無駄にしないので、失敗を気にせず、バシバシ撮るようになりました。明らかに撮影枚数が増えたのです。
フィルムを現像する必要がない代わりに、データを保存する必要が出てきました。
さらに、カメラがデジタル化されたことにより、携帯電話やスマホに実装することができました。カメラはもう、カメラメーカーの独擅場ではなく、携帯やスマホメーカーがつくるものになりました。
そしてInstagramが生まれて写真を共有したり、加工することが一般的になっていく・・
もはや、フィルムカメラの時代からは考えられない変化になっているのです。
このように最初は一部がアナログからデジタルに変化しただけでしたが、
時間と共に、その周辺領域にもデジタル化の影響が出てくることを知っておきましょう。
業務プロセス全体・ビジネスモデルをデジタル化で変えていく
急に話は変わりますが、業務プロセスの一部をデジタル化することを英語ではデジタイズ(degitize)と言います。一方、業務プロセス全体をデジタル化することをデジタライゼーション(degitalization)と言います。
実は「デジタル化」の本質は後者(degitalization)です。
しかし「デジタイズ」に相当する日本語がないために、両者がデジタル化と訳されてしまっています。
経営者が最終的に目指すべきは、本来のデジタル化である、業務プロセス全体のデジタル化です。
結果としてビジネスモデルそのものが変わることになるでしょう。
それくらいの大きな変化を遂げなければ、社会の変化に追随できないからです。
ただ、それはハードルが高いので、まずは業務プロセスの一部からデジタル化(degitize)して始めましょう。
写真がデジカメに変わったことにより、多くの現像ショップは無くなりました。
その一方で私達はいつでもカメラ(=スマホ)を持ち歩く生活に変わりました。
小売店舗がECサイトに変わったことにより、私達の購買行動も大きく変わりました。
実物のある店舗は、あくまでもショールーム。買うのはネットで、という人も増えました。
同じように、業種・業界を問わず、デジタル化は進んでいます。
その流れを経営者は見逃してはならないのです。
本来のデジタル化は不連続な変化
「馬車をどんなに改善しても自動車は生まれなかった」という名言があります。
私達の多くは、馬車を改善するような連続的な変化には対応できます。
イメージしやすいからです。
しかし、本来の(業務プロセス全体の)デジタル化は、不連続な変化です。
内燃機関(エンジン)が生まれたことによって、馬車が消えて、自動車が台頭したように。
従来の携帯電話(ガラケー)を改善し続けても、スマートフォンは生まれませんでした。
従来とは全く異なる発想が必要なのです。
パソコンが生まれ、インターネットが利用されるようになり、日本でも20〜30年が経ちました。今、多くのビジネスは不連続な変化を求められています。
現代において、ビジネスを始めるのに発電機を買ってきて、自家発電する人はいないでしょう。
電気はすぐに使える一般的なものとして認められています。
同様に、ITがあることを前提にビジネスを設計するのです。
つまり経営者は、ITエンジニアではなかったとしても、ITの素養が強く求められる時代になっています。
具体的には、クラウド(SaaS)、スマホ、チャット、Web会議、電子契約、ホームページなどを電気と同じくらい「当たり前のモノ」と感じられるようにならねばなりません。
そうしないと、日本の産業そのものが消えていくからです。
洗濯板でゴシゴシしているような中小企業が、まだまだ多いです。
まずは業務の一部からでも、デジタル化を早急に進めていきましょう。
- まずは業務の一部をデジタル化する(=デジタイズ)
- ゆくゆくは業務全体をデジタル化していく(=デジタライゼーション)
- 経営者が情報収集しない限り、ビジネスは変わっていかない
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