経営

地元の本屋さんが潰れて考えたこと

私の最寄駅にあった本屋さんが潰れてしまいました。大型店舗で本も充実していたので重宝していました。いつも人がそれなりに居たのですが、儲かってなかったのでしょう。

<スポンサードリンク>



デジタル化に対応しないお店は潰れていく

今回、潰れてしまった店舗は、残念ながらデジタル化に追随できていませんでした。店舗内で本を検索するシステムがありませんでしたし、ポイントカードも最近まで紙でした。さらに、未だに潰れてしまった店舗が堂々とホームページに掲載されています。間違ってその店舗を訪れてしまった人は、その本屋さん(会社)に対して、どういう想いを抱くでしょうか。

私はこの店舗の近くに住んでおきながら、書籍の購入金額は圧倒的にAmazonの方が上でした。きっとAmazon100冊、リアル本屋さん3冊くらいの割合だったはずです。理由は便利だから。この本屋さんがもう少し便利だったなら、私はもっとこの本屋さんを活用したでしょう。

私個人に限らず、顧客にとってデジタルかリアルかは、手段に過ぎません

顧客にとってはリアルもデジタルも関係ない顧客にとってはリアルもデジタルも選択肢に過ぎなません。ですから、リアル・デジタルに偏った企業は生き残ることはできません。リアル・デジタル双方を提供し、顧客・行動データを収集し、商品や顧客体験にフィードバックすることが求められています。...

そのときどきに電車とバス、タクシーを選ぶように、手段を選んでいるだけなのです。そして本という壊れにくく・腐りもしないものを買うには、Amazon(デジタル)が便利だったのです。

後述しますが、リアルな本屋さんだからこそ、打てる手もあったのではないかと思います。何れにせよ、デジタル化に遅れすぎた店舗は、これから姿を消していくことが想像できます。

私だったら既存のリアル本屋をこう変える

デジタル購買が広がっている現代において、リアルな本屋さんに求めることは確実に変わっています。買うものが既に決まっている場合は、デジタルの方が便利です。それでも本屋さんに行くのは、本との偶然の出会い(セレンディピティ)を求めるなど、別の理由があるからでしょう。

カフェ一体型の本屋が増えているのは、ゆったりと過ごしたいというニーズを満たした1つの解だと思います。

アプリで購入、デジタル版も販売

リアルな本屋さんと言えども、私はアプリで購入できるようにした方が良いと思います。ポイントカードと異なり、個人を特定することができるからです。購買データを個人ごとに蓄積して、オススメ本を通知したり、購入金額に応じてポイント還元率を変えたりすることができます。

更に言えば、デジタル版(AmazonでいうKindle)も購入できるようにしたいものです。電子書籍の市場規模が増えている以上、それを見逃すのは本屋としてどうなんでしょう?と思います。レコード屋がことごとく消えている事実を、本屋は正面から受け止めるべきです。

立ち読みもアプリで

絵本などは難しいかもしれませんが、文庫本やビジネス書に関しては、立ち読みもアプリで良いのではないでしょうか。購入と区別するには立ち読みできるページや時間に制限を設けると良さそうです。それが実現すれば、以下のような行動データを得ることができます

  • どんな本に興味を持っているか?
  • どこまで立ち読みしたか?
  • 立ち読みした結果、買ったか・買わなかったか?
  • 買った場合は紙・電子版のどちらを買ったか?

個人ごとの購入データと立ち読みデータを統合させると、今までよりも色んな手が打てるようになるはずです。

購入後の受け取りを店舗で

店舗で購入したときは当然として、アプリから(紙書籍を)購入したときも、受け取りを店舗で行えるようにします。自宅配送で勝負する必要はないでしょう。

最寄駅など、近い店舗で受け取れるのであれば、一定の需要はあるように思います。Amazonで送られてきた後のダンボールの処分が面倒くさいと、一定数の人が思っているのではないでしょうか。少なくとも私は面倒くさくて仕方ありません。梱包なしで受け取れるのはメリットです。

その店舗にない本が売れたときには他店舗や倉庫から流通させれば良いだけなので、自宅まで配送するのに比べたら物流のコントロールはややこしくありません。

買うのは昼間(職場近くのA店)だけど、受け取って持ち帰るのは、夜(最寄りのB店)など、アプリで融通が利くようにしておくと良いですね。

マンガは1巻と最新巻しか置かない

リアル店舗では、マンガなど複数冊で成り立つ本については、1巻と最新巻しか置かなくて良いのでは?と思います。初めて読む人には1巻があれば十分です。そのマンガが好きな人は最新巻を追いかけ続けるでしょうから。

上述の通りアプリで購入できるようになれば、途中の巻は抜けていても問題ありません。その分、店舗スペースを広く使えます。より多くの商品を置いた方が上述のセレンディピティは起こりやすくなります。

マニアックな店員を育成する

地域ごとに良く売れるジャンルは異なるでしょう。その良く売れるジャンルに特化して、マニアックな店員を育成するのはいかがでしょう。今の世の中は何を買うか?よりも誰から買うか?の方が重要になっています。

「あの店員が勧めるなら買う」というポジションを築けると良いのではないでしょうか。

読書イベントを開催する

上記のマニアックな店員とも関係しますが、読書イベントをもっと開催して欲しいです。地域のコミュニティ育成にもなりますし、本屋さんとしては読書家がつながるのはメリットが多いのではないでしょうか。

『ワークシフト』『サピエンス全史』など、売れていても理解するのが大変な本は数多くあります。そういう本の読書イベントがあれば、学習意欲の高い人が集まります。あるいは、子ども向けの読書会があれば、参加させたいと考える親が居るように思います。

…と1人の利用者として好き放題に書きましたが。

私は本屋さんの事情は詳しくありません。版元との利権の関係で出来ないことも挙げているでしょう。ただレコード店が街から(ほぼ)消えた現実を見る限り、何の手も打たなければリアル本屋が消えていくのも時間の問題です。

日常的に本を読む立場から、今からでも打てる手を検討していただきたく、記事にしてみました。

まとめ
  • デジタル化に遅れた店舗はつぶれていく
  • デジタルを理解した上でリアルの良さを活かしていく
  • 本屋に限らず、全ての小売店舗に考えて欲しい

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メルマガ『経営は100種競技!』を毎日配信しています。
マーケティングやITを身につけたい。
ビジネスを楽しみたい。
変化・成長したいというビジネスパーソンにお読みいただいています。

渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
\ Follow me /