以前からお付き合いのある研修会社の営業さんから、良い話を聴きました。顧客の「潜在ニーズ」を捉えた提案で、見事にお客様の心を捉えた事例です。
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一歩踏み込んだ提案でお客様の潜在ニーズを捉えた事例
研修・人材開発会社の営業であるSさん。
そのSさんの既存のお客様(A社)にて、数年間に渡る人材開発プロジェクトが発生しました。大型案件であるため、Sさんの会社を含む数社に提案依頼を行いました。いわゆるコンペです。
A社の提案依頼内容を大雑把にまとめると以下の通り。
- 顧客満足度(CS)を向上させるような人材開発プログラムが欲しい
- 研修がコアになるので、講師の実績やプロフィールは重要
競合他社はA社の提案依頼内容を満たす提案をみっちりと行ってきたようです。
しかしSさんは、敢えて提案依頼内容を一部捨ててでも、突っ込んだ提案を行いました。
「今、A社に必要なのは本当にCS向上なのか?」
既にA社とお付き合いのあるSさんは提案依頼内容を疑い、考え抜きました。
その結果、CS以前に従業員満足度(ES)向上を行う必要があるのでは?という結論にたどり着きました。詳細はここには書けませんが、SさんはES向上を中心とした提案を行いました。一方、講師プロフィールなどは、ほとんど削ってしまったそうです。
結果、見事に案件を受注。お客様からは、
「自分たちも気づいていなかったことを気づかせてもらった」
との講評を得たそうです。
顕在化したニーズへの対応だけではハートはつかめない
この事例からは学ぶべきことがあります。
提案依頼という「顕在化したニーズ」を満たすだけでは、お客様からの信頼を得ることはできないのです。システム会社であれば、RFP(提案依頼書)に100点の回答をするだけでは足りません。
その裏に隠されている、顧客自身も気づいていない「潜在ニーズ」にアプローチしなければ、これからのビジネスは難しくなっていくのではないでしょうか。
というのは、顕在化したニーズへの回答は、ますます競争が激化していくからです。
顕在化ニーズへの対応は、ツールでできるようになっていきます。既に文章化されているということは検索できるということです。今まで公になっていなかった高度な専門性を要求される領域においても、次々とツールでQ&A対応できることが増えていくでしょう。
例えば、融資の審査などはツールで対応できるようになりつつあります。同じようなことが、他の領域においてもできるようになっていくでしょう。ということは、他社と差別化するためには、ツールで対応できない「潜在ニーズ」に突っ込んでいくしかないのです。
顧客の潜在ニーズを探すには
お客様自身すら気づいていない潜在ニーズを探すには、どうしても時間が掛かります。お客様を観察して、「ひょっとして〇〇じゃありませんか?」というように探っていく必要があるからです。
時間が掛かるので、プロジェクトが発生するよりも、かなり早い段階からニーズを調査する必要があります。既存のお客様との仕事の方が深くニーズを把握できますし、その結果として提案の質が高くなります。新規顧客よりも既存顧客を大切にするというのは、こういうところにも現れてくるのですね。
- 顕在化されたニーズに応えるだけでは、提案とは言いにくい
- 言語化されていない潜在ニーズを捉えると、信頼がグッと上がる
- 潜在ニーズを捉えるには、プロジェクトよりもずっと前からの関係構築が必要
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