マーケティング思考

「次の小さな一歩」を提案できていますか?(商品が売れない理由)

なかなか商品が売れない
「提案内容は良いはずだが、顧客の反応が悪い」

こんな悩みを持っている人、多いのではないでしょうか。
もっとスムーズに売れるようになりたいですよね。

この記事では、私が売れる仕組みづくりの支援をする中で、最も頻繁に見られる「間違いをご紹介します。

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顧客に断崖絶壁を登らせようとしている

その「間違い」とは、顧客にいきなり断崖絶壁を登らせようとしていることです。

お客様自身、まだ自社の課題が明確でなかったり、やりたいことも不明確だったりします。
まだまだ検討段階というフェーズです。

そんなときに、いきなり受注を前提に会話してくる営業が現れたら・・
仕事柄、IT企業には良く会いますが、こういう態度を取られることが多いです。

要件を決めてくれないと見積ができない」と。
「購入を決めてくれば相談に乗れますが」と言うのも、同じことです。

これはお客様にとっては、断崖絶壁を登るのと同じです。

  • 検討段階でどちらに進めば良いのか?分からない
  • 場合によっては引き返すこともあり得る

という状態であるにも関わらず、強い意思決定(予算確保や発注)を求めているのですから。

ビジネスなので売りたいのは分かります。
しかし売ろうとする前に、もっとやるべきことがあるはずです。

次のステップをできる限り小さく設計する

お客様にそんな無理を強いるのではなく、ステップを小さく刻むことが重要です。

システム開発を例として、以下のようなステップで進めるとしましょう。

  1. ニーズを話してもらう
  2. 提案を聴いてもらう
  3. 競合他社との比較をしてもらう
  4. 見積を見てもらう
  5. 稟議を通してもらう
  6. 発注してもらう

最初は「ニーズを話してもらう」だけです。
何に困っているのか?どんな状態になれば良いのか?

いきなりシステム開発の話をぶつけるのではなく、ただお客様が置かれている状況をヒアリングします。そのときの次のステップは「提案を聴いてもらう」こと。

しっかりとヒアリングして、お客様の状態を深く聴けたのであれば、提案を聴いてもらうこと自体は、お客様にとっても負担にならないでしょう。むしろ、じっくり話を聴いてもらえたという実感が深いほど、提案内容に期待するのではないでしょうか。

このように細かくステップを刻んでいけば、お客様との信頼関係が構築できます
いきなり断崖絶壁を登らせようとするのとは、雲泥の差が生まれます。

小さなステップを設計できない理由

このようにお客様に取ってもらう行動をできる限り小さくするのが、売れる仕組みづくりの王道です。このような小さなステップを設計できない理由は大きく3つです。

お客様のことを考えていないから

1つ目は、お客様の立場で考えていないから。
これはビジネスパーソンとして、そもそもな問題です。

お客様の気持ちを考えれば、「どう見ても断崖絶壁だよね」という状態が放置されているのは、売り手の都合でしか物事を考えていないからです。

どんな商品・サービスであれ、お客様の立場で、各ステップを踏んでいく検証は必須です。

業務プロセスに無駄が多いから

2つ目の理由は、業務プロセスに無駄が多いからです。
小さなステップを実現しようとすると、お客様とのやり取りが増えます。
そこに時間を割くことができずに、諦めてしまうのです。

今までのやり方のまま、ステップを小さくしようとすると、負担が増えてしまいます。
スモールビジネスには人手の余裕がありませんから、無駄を省かなければなりません。

  • ホームページから顧客情報を入力してもらい、資料をダウンロードしてもらう
  • その顧客に対して「どうでしたか?」とメールする
  • メールに対して反応した顧客を識別する

例えば、このような仕組みをつくった場合、全てツールで自動化できます。
お客様にとっては、小さなステップを進んでいるのですが、裏側の業務は人手をかけずに済みます。
このように業務効率化を進めなければ、小さなステップを実現することはできません

後工程が楽になることを知らないから

私が小さなステップを提案したときに、もっと言われることがあります。

「営業フェーズにそんなに時間をかけられない」
「受注も決まっていないものに手間かけたくない」

ごもっともではあるのですが、実は小さなステップを実現すると、受注後が圧倒的に楽になります。上記のシステム開発の6つのステップを再度見てみましょう。

  1. ニーズを話してもらう
  2. 提案を聴いてもらう
  3. 競合他社との比較をしてもらう
  4. 見積を見てもらう
  5. 稟議を通してもらう
  6. 発注してもらう

発注してもらうまでの間に様々な要素が含まれています。

ニーズを整理する過程で、要件定義の入り口くらいは済むでしょう。
競合他社と比較したり、稟議を通す過程で、お客様内での優先順位も分かります。コストよりも納期優先など。
稟議には当然、予算や体制・スケジュールも入っています。

いきなり受注する断崖絶壁型だと、受注後にこれらをヒアリングするところから始めなければなりません。

しかし、小さなステップ型だと、受注前に情報がかなり整理されるのです。しかも受注までの過程でお客様との信頼関係が構築されているので、その後のプロジェクト運営も、非常に楽になるのです。

「小さなステップ型」は、はっきり言って良いことだらけです。
一度顧客の立場で、自社が断崖絶壁を設けていないか?チェックしてみましょう。

まとめ
  • いきなり顧客に重たい意思決定を求めるケースが多い
  • 顧客の意思決定を小さく刻む方が、顧客は進みやすい
  • 小さなステップ型を実現すると、良いことだらけ

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【編集後記】
昨日、札幌でRPAセミナー登壇後、横浜に帰ってきました。
出張の後は、どうしても身体がダルくなります。
ホテルでヨガマット貸し出してくれたら、ちゃんとストレッチができるのですが。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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