IT・システム全般

「紙が安全、データは危ない」は大ウソ

「データにすると危ないから、紙書類でやってます」

こんな話を良く聴きますが「紙なら安全、(デジタル)データにすると危ない」というのは、明らかに間違った認識です。

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紙なら安全は大ウソ

紙のまま情報を取り扱っていれば安心・安全なのか?
実は全く安全ではありません。理由を2つ挙げます。

個人情報漏洩事故の媒体・経路1位は紙

日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)が発表している『情報セキュリティインシデントに関する調査報告書』によると、個人情報漏洩事故の媒体・経路1位は紙媒体です。

これだけ見ても、「紙なら安全・(デジタル)データは危険」がウソだと分かります。
紙媒体も正しく運用できなければ、事故につながるのです。
(デジタルデータも同じことが言えます)

紙は物理的な被害に弱い

もう1つの理由は、紙は物理的な被害に弱いことです。
火災・洪水などの災害が多い日本においては、強く認識しておかなければならないことです。

これだけデジタル技術が進んだ現代において「災害で大切なデータを紛失しました」では、顧客や社会からの信用を失ってしまいます

また業務でデータを活かすことは、現代においては必須になっています。
しかしデータが紙媒体でしか存在しないと、活用の障壁になってしまうことも、併せて理解しておきたいですね。

デジタルデータの特徴

では、デジタルデータは安心・安全なのかと言えば、必ずしもそうとは言えません。
運用する上で、紙以上の知識が必要だからです。
しかし正しく使えれば、紙よりも安心・安全を得ることは可能です。

デジタルデータ最大の特徴は、複製(コピー)が簡単にできることです

データを災害から守る

この特徴を生かして、データを保護できます。

  • 日常的に使うデータはクラウドに置いておく(1つ目のデータ)
  • 重要なデータは手元や別のクラウドにバックアップしておく(2つ目のデータ)

データが離れたところに2つ以上あれば、災害などが一方を失っても、もう一方から復元できます。これがスモールビジネスにおける現実的な、データ保護の方法だと考えています。

【補足】
ちなみに2点目の「別のクラウド」について。
細かなことを言えば、「別のクラウド」を確認するのは大変です。

例えばクラウド会計ソフト「freee」は、AWS(Amazon Web Service)上で動いています。ですから会計データを「freee」と「AWS」に保存すると、AWSに障害が発生したときに、どちらのデータも失う可能性があります。

一見すると全く別の会社なので、別クラウドだと思ってしまうのです。ただ、この辺りは専門家に聞かないと分かりにくいことですので、あくまでもご参考程度に。

事故を防ぐ

デジタルデータは、簡単に複製できてしまうが故に、事故につながりやすいのも確かです。
「メールに添付したら宛先を間違っていた」などは典型例でしょう。

  • メールに添付ファイルを付けない
  • クラウドストレージの共有機能を利用し、権限や利用可能期間を設定する

などの運用ルールが必要になります。

この辺りのルールや権限を設計するのに、スキルが必要です。
それが面倒くさいから、ついつい「紙のままでいいや」になってしまうのでしょう。

しかし、ここで我慢することで、組織のIT力向上、そして生産性向上につながります。
大変だと思いますが、専門家などを活用して、乗り越えて頂きたい壁です。

社内業務はデジタルデータ中心で

ここまで述べてきましたように、デジタルデータを活用するにはスキルが必要です。
ただ本当は、紙媒体を正しく運用するにもスキルは必要です。
それが身についていないから、紙媒体からの個人情報漏洩事故がトップなのです。

デジタルデータも紙媒体も、正しく運用するには、教育が必要です。
そのための投資が必要であることを認識しましょう。

IT投資で最も注力すべきは、人材への教育中小企業におけるIT導入・利用における問題は、スキルのある人材不足によるところがほとんどです。しかし、ますますIT人材の不足が深刻化しつつあり、採用することは困難です。このような状況を受けて、最も注力すべきIT投資は「人材への教育」です。ITで経営を変革したい経営者は、この点を認識しておくべきです。...

そして、社内業務については、基本的にデジタルで回せるようにします。

  • 必要な人が、必要なデータをすぐに活用できるように
  • 社内の情報を基本的にオープンに

社外とのやりとりに紙が残るのは仕方ない部分がありますが、社内はそうではありません。
全てデジタルで回せるようになると、組織のスピード感が全く変わります。
安全にデジタルデータを扱えるようにして、生産性を劇的に変えていきましょう。

まとめ
  • 「紙媒体は安全、デジタルデータは危険」は大ウソ
  • どちらも運用スキルを上げなければ、事故は起きる
  • スキルを身に着けて、社内はデジタルデータで業務をまわす

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【編集後記】
今日は業務プロセス改善についての取材を受けました。
4月頃に雑誌に掲載される予定です。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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