IT・システム全般

紙・書類の多い組織は、間違いなく生産性が低い

見た瞬間に「旧態依然とした職場だ」と感じるのが紙・書類の多さです。ペーパーレスと言われるようになって久しいですが、中小企業の現場を見る限り、まだまだ紙が多過ぎです。

この記事では、まず紙書類が多いことによる悲劇をお伝えします。その後、どうすれば紙をなくせるのかの例をご紹介します。

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紙・書類の多い職場は、生産性が低い

紙・書類で仕事をしていると、様々な悲劇が生まれます

組織変更の悲劇

4月の組織変更のたびに、キャビネット間を大量の書類が行き来する。
大企業や役所で、実に良く見る風景です。
(中小企業は組織変更が少ないので、あまり見ません)

そのために腰を痛める人が出る。
スーツが埃まみれになってクリーニング行き。
埃・ハウスダストにやられて、咳き込む人も・・

さらには、部署が建物をまたいで移動するときに休日出勤・・という話まで聴いたことがあります。微塵も生産性が上がらない苦行ですよね。100歩譲ったとして、社員に休日出勤させるくらいなら、引越し屋さんに依頼すべきでしょう。こんなことを当たり前としている組織に、間違いなく成長はありません。

ミーティングで配布される紙など要らん

ミーティングのたびに、毎度毎度、紙が配布される。事前にデジタルで共有で十分です。
事前に資料が共有できず、準備が直前にまでなってしまうのは、仕事の段取りが悪いことの何よりの証左です。

本当に必要な人だけがプリントすれば良いんじゃないですか?
偉い人の分は印刷が必要?

そうやって甘やかすから、その偉い人が、いつまでも自分のことを自分でできるようにならないのです。お年を召した方のITリテラシーが低いのは、誰かがやってあげてしまうからです。自分でやらせましょう。それが本人のためであり、組織のためです。

さらに。紙が配布されてしまうから、それを紛失したり、情報セキュリティ事故につながってしまいます情報漏洩事故の5割以上は、紙が媒体です(2015年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書~速報版~(2016年6月17日 JNSA))。紙を無駄に多用する人は、情報セキュリティ意識の低さを露呈しているとも言えます。

ペーパーワークのためにオフィスへ

日報を提出するため。
稟議を上げるため。
承認するため。

こんなことのために、外出先からオフィスに戻り、残業だ・・などという話を未だに聴きます。昭和ですか?と本気で聴きたくなります。私だったら、そんな会社、その日に辞めます。仕事の本質を追求する姿勢が感じられない会社だからです。

そんな時間があったら、よりお客様に価値をお届けする仕事をやるべきです。

請求書・契約書、いつまで紙でやりとりするの?

フリーランスとして、これだけは言っておきたいこと。「請求書に捺印して、郵送してください」・・アホですか?と。大企業や役所みたいに、事務専門職はこちらには居ないんです。

印刷して、捺印して、封筒を買ってきて、宛名を書いて、書類を入れて、切手を買って貼って・・最低30分は掛かります。運良く手元に封筒と切手があったとしても、最低5分はかかります。しかも1円にもならない、つまらない作業だから、全くやる気が起きない。

私は、もうそんな輩が現れないようにサービスメニューに
『※紙による請求書発行をご希望の場合には、1回当たり5,000円を請求させていただきます。』と追記しました。(30分かかることを考えると、もっと請求したいところですが)

契約書も一緒です。何の目的に支払うのか分からない、謎の「印紙税」なるものがあるので、収入印紙を買いに行かなければなりません。さらに面倒。クラウド上で契約すれば、印紙税も掛からず、郵送の手間も掛かりません。ハンコの朱肉がうつるのを防ぐ、付箋を貼る必要もありません。

ちなみに信頼する弁護士さんが言うには、重要度の高い契約は、今でも紙で行った方が良いとのこと。その一方で、NDAなど、ある程度雛形のまま運用できるものについては、電子契約で十分でしょう、と聞いています。

いつでも・どこでも働ける環境が整っている時代。オフィスに行くのは、「本当に必要なとき」だけで、十分です。少しだけ例を挙げましたが、紙・書類の多い組織は、間違いなく生産性が低い。さらには成長に対する意欲がない、です。
(口では「働き方改革だ」とか、何とでも言いますが)

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情報共有はデジタルで

大前提として、情報は全てデジタルで扱いましょう。未だに発注をFAXで行なっているところもありますが、文字がつぶれて読めなかったりします。(もっと言うと、口頭発注の現場にも出くわしたことがあります。記録がないので危険この上ありません)

社内的にも・社外的にも、紙と書類を徹底的になくす。まず、そこがはじめの一歩です。物理的な書類がなくなるだけで、オフィスも広くなり、場所に囚われない自由な働き方ができるようになります

いきなりゼロにはできないでしょうから、まずは書類をスキャナーでPDF化しましょう。スモールビジネスでは、スキャンスナップなどの小型スキャナーで十分です。もう少し大きな組織でしたら、プリンタも兼ねた複合機でも良いでしょう。

ファイルはドロップボックスのようなクラウドストレージで共有すれば、パソコンからもスマホからも、ファイルを見ることができます。

その後、申請・承認などはワークフローのソフトを導入します。これでオフィスに戻らなくても、申請や承認などの業務が行なえます。移動中にスマホで終わらせることすらできます。今はクラウドで、1ユーザ300円程度の安いワークフローも提供されています。(休日出勤して腰を痛めることを考えたら、安い買い物です。笑い話的に書いていますが、労災ですから・・)

契約書ならクラウドサインのようなサービスがありますし、請求書はPDFを共有すれば十分でしょう。デジタル化できない組織には、業務フローや、スキルなど、根本的なところに問題があります。今や業務が複雑な大企業ですら、ペーパーレス化が進んでいます。

業務が比較的シンプルなスモールビジネスで、ペーパーレスができない理由はありません。
良く聴くのは、「うちはパソコン苦手なので・・」ですが、経営者がそんなことでは、自ら組織の成長を止めているようなものです。今からでも遅くはありません。学びましょう。

複写式伝票など、すぐに紙をなくせない場合にも、手段はある

ただ、一部は、本当に変えにくいところがあります。例えば、複写式伝票です。
保険くらい大規模な組織やマーケット規模があれば、紙の伝票を止めて、タブレットに変えることができるのですが・・

複写式伝票は、お客様に控えを渡したり、パートナー企業(代理店など)に控えを渡したり、自社だけでなく、外部を含めて業務フローが固められてしまっています。

スモールビジネスで、これら全体をいきなりデジタル化するのは難儀です。このような場合は、紙の伝票を残しつつ、自社が取り扱うデータだけ、デジタル化してしまう手があります。

紙に書かれた手書きの文字をデジタル化するのです。業務フローを一切変えることなく導入できるのが嬉しい点です。これだけでデータの再利用ができるようになりますし、自社内の業務は、紙伝票の物理的な制約から解放されます。

実は今、このような複写式伝票をデジタル化する案件に関わっているのですが、コスト面だけでなく、様々な効果が得られそうで、楽しみな案件です。先進的な企業ではなく、いわゆる普通のスモールビジネスで、成果を出せたら面白いですね。

貴社においても「この紙・伝票・書類、なくせない?」と、一度、自社の業務を確認してみましょう。

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まとめ
  • 紙・伝票が残っている組織は、間違いなく生産性が低い
  • 紙を止める前提で業務フローを組み直すべき
  • パソコンやスマホが苦手なら学びましょう

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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