IT・システム全般

ITを使いこなす組織になるための具体的な施策

前回、30人規模までのスモールビジネスにおけるIT活用ステップをご紹介しました。

スモールビジネスにおけるIT活用ステップ30人規模までの企業におけるIT活用ステップをまとめました。レベル1から3にしたがって、組織としてのIT活用度が上がっていきます。社長・IT担当者・スタッフ/業務・システムの4つの区分でチェックしながら、組織のIT力を上げていきましょう。...

多くの企業は、レベル1からレベル2の間にいます。
この記事では、レベル2に到達するために、やっておきたいことをお伝えします。

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現時点のIT活用度はどの程度か?

前回の記事で、IT活用の3つのステップをご紹介しました。

スモールビジネスにおけるIT活用ステップ30人規模までの企業におけるIT活用ステップをまとめました。レベル1から3にしたがって、組織としてのIT活用度が上がっていきます。社長・IT担当者・スタッフ/業務・システムの4つの区分でチェックしながら、組織のIT力を上げていきましょう。...

多くの中小企業はレベル1から2の間に属していることが多いようです。
(3に至っている企業は、ほぼ見たことがありません)

レベル1の特徴をいくつかピックアップすると以下の通りです。

  • 社長(経営者)がITを理解していない
  • IT担当者がいない
  • 業務は紙が中心のため、リモートワーク(在宅勤務)は不可能

まず、社長自身がITを理解していません
エンジニアのように深い理解をするということではなく、ITを活用するとビジネスにどんな可能性があるか?を理解していないのです。

ITは「怖い」「分からない」「怪しい」と感じているため、色んな理由をつけてITから距離を置いています。そこまで極端ではないとしても、自分ひとりではIT活用を推進できないのに、誰に聞けば良いのか分からない状態の社長も多いようです。

ITに可能性を感じていないため、IT担当者を割り当てることが「コスト」になってしまいます。ITを理解して、可能性を感じることができれば、担当者を割り当てることが「投資」に変わっていきます。

IT担当者を割り当てたら、最初に取り組むべきは「紙をなくす」ことです。
レベル1の企業は、紙とハンコで業務が回っているため、非常に生産性が低く、リモートワーク(在宅勤務)の対応も出来ないからです。

ITを使いこなす組織をつくる社長の行動

ここからは、レベル2(ITを使いこなす組織)になるための、具体的な施策をご紹介します。まずは社長がやるべきことからです。

ITと経営の関係を学ぶ

技術的なことよりも、まずはITを活用することで経営に与えるインパクトを知りましょう。そのためには、身近な事例を多く知ることが、最も有効です。

一般的な中小企業の事例が多いので、IT経営マガジン「COMPASS」は個人的にお勧めです。Webで事例を探しても良いですし、四半期に1回届く冊子を申し込んでも良いでしょう。

自社と同業の事例だけでなく、別業界の動きを知ることで、いいアイデアが得られることもあるでしょう。そういう意味では、大企業や先進企業の事例を見ることも、お勧めしています。

社長自身のIT環境を整える

次は、社長自身がITを使うことです。
そのためにパソコン、スマホを準備します。(ガラケーは止めましょう)

ご自身のスケジュール管理や、ミーティングの調整など、自分で行います。
そして、自分のスケジュールを社内に公開します。

「社長、いつも会社に居ないけど、何やっているのか分からないよね」

という状態をなくします。
(もちろん、明かせない予定があるときには、非公開にすれば良いでしょう)

ITに強くなるためにオススメしたいはじめの一歩(スマホでGoogleカレンダーを使う)「ITが苦手」というビジネスパーソンに最初にお勧めしたいのは、スマートフォンでスケジュール管理をすることです。紙の手帳を使うよりもメリットが多々あります。そのやり方と、ちょっとだけ注意点をご紹介します。スマホで電話とメール以外を使ってみましょう。...

そして、スマホを持ったら、基本的に電話禁止です。
電話は相手の時間を突然奪うので、集中力を妨げるなど、生産性低下の原因です。
(事前に時間調整をした上で、電話するなら良いのですが)
記録が残らないので、曖昧なコミュニケーションになりがちでもあります。

チャットやWeb会議でコミュニケーションできるようにしていきましょう。
リモートワーク(在宅勤務)を推進するにも、必要なことです。

IT担当者を割り当てる

続いて、IT担当者を割り当てましょう。
社長自身がパソコンやスマホの調達から、壊れたときのサポートまでしていたら、あっという間に時間が足りなくなってしまいます。それでは本末転倒です。

最初は業務内容を知るために社長がやることもあるでしょうが、早いうちにIT担当者を割り当てることをお勧めしています。

最初は専任ではなく、今やっている業務に追加する兼任の形からスタートするでしょう。
業務量が増えてきたら、専任担当を割り当てると良いです。

そうすることで、「うちの会社もIT活用を進めていく」という意思を示すことにもなります。

社内から紙と電話をなくす

社長自身がITツールを使い始め、IT担当者をアサインしたら、社内から紙と電話をなくせないか?チャレンジしていきましょう。

始めにお伝えしますが、そう簡単なことではありません
ITツールを使いこなせないという問題だけでなく、「今までのやり方がいい」「変わりたくない」という人間の本能とぶつかるからです。

紙をなくす(ペーパーレス化)

社長の行動でスケジュールの共有をお勧めしたのは、会社全体でスケジュールという「データを共有すること」に慣れて欲しいからです。

個々人が紙の手帳でスケジュールを管理していたら、非常に不便です。
ホワイトボードに行先を書いている例を見かけますが、外出先から予定が確認できないなど、無駄が発生してしまいます。

データを共有することに慣れてくると、様々な業務をデータ化できるようになります。

  • 顧客データ
  • 商品データ
  • 商談データ
  • 会計データ

これらを、担当者ごとに持つのではなく、全社的に共有します。
それによって、業務プロセスが整備され、効率的に業務をまわせるようになっていきます

紙書類が多い会社のペーパーレス(デジタル化)を進めるポイントペーパーレス化を進める場合、過去の文書に囚われてはなりません。まずはこれから使う文書を中心にペーパーレス化に慣れていき、後から過去の文書をデータ化するので十分です。まずはデータの取り扱いに慣れて、紙の運用の不便を肌で感じることが良いでしょう。...

電話をなくす

お客様などからの電話を突然なくすことはできません。
しかし、社内同士の電話は減らしていくことができます。

先述の通り、チャットとWebミーティングを使っていきます。
そんなに難しいことはありません。
例えばLINEは子供からお年寄りまで使えるツールです。

LINEで遊びまくるだけでも、生産性は上げられますITツールを上手く活用できる組織の特徴とは?ご高齢者の多い組織からのご依頼でLINEを触ってツールに慣れていく勉強会の講師をしました。なぜLINEを選んだのか?どのように勉強会を進行させたのか?背景を知ることで、ITツール活用のヒントが得られます。中小企業の経営者・IT担当者は要チェックです。...

チャットもできますし、相手を身ながら行うWebミーティングも行えます。

ただ、Webミーティングは画面を共有するなどができるZoomを使った方が良いでしょう。こちらも難しくありません。
今までITに無縁だった方々も、コロナ禍において一気に使い始めています。

現時点で社内にITツール類が何も無いようでしたら、パソコンとスマホを準備した上で

  • G Suite(グーグルが提供するグループウェア)
  • Zoom(Webミーティング)

の2つを、まずは活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ
  • ITを使いこなす組織になる最初は、社長がIT活用事例を知ること
  • 紙と電話をなくせるように、ITツールを活用していく
  • 反発もあり、そう簡単ではないため、社長のリーダーシップが必要

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【編集後記】
プログラミング(Python)と数学を並行して学び始めました。
以前からやりたかったものの、今まで何となく手を付けてこなかった2つを同時に学べて楽しいです。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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