仕事術

マニュアルをつくる文化が企業を強くする

成長していく組織の特長の1つにマニュアルがあります。
マニュアルをつくり・利用する過程に、人と組織が成長する理由があるからです。

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マニュアルづくりが人を成長させる

1つ目の理由は、マニュアルづくりを通じて、作成者が成長するからです。
私たちは多くの業務を感覚でやってしまいがちです。
しかし、マニュアルづくりを通じて、必要な手順や意思決定基準を整理することができます。

マニュアルをつくれる人は、業務プロセスの考え方を少なからず身に着けていきます

  • その業務の目的は?
  • 業務を開始する条件は?
  • その業務を完遂するまでに必要なモノ(体制・情報・お金など)は?
  • 業務の終了条件は?

これらを言語化しなければ、マニュアルはつくれません。
教える行為は、再度学ぶことですが、それはマニュアルづくりについても言えます。

ちなみに「背中を見て学べ」という姿勢は、職人魂のように捉えられることがあります。
しかし、少なくともホワイトワーカー(知識労働者)の仕事においては、説明責任の放棄に過ぎないと考えています。

見て学べというのは、学習者側に負荷を押し付けることになるからです。
せっかくの仕事を通じて得た経験を見える化して、組織に還元すべきではないでしょうか。

私(渋屋)の経験

余談ですが、私は会社員だった頃、マニュアルを通じて組織に貢献しました。
一部上場企業にも関わらず、仕事が個人商店化していたからです。

頻度の高い仕事から優先的に、まずはTo Doリストを組織に共有。
少しずつマニュアル化していきました。
ITエンジニアだった当時、最も効果が高かったのは、設計書をひな型にして、そこに業務ノウハウを詰め込んだことでした。

それによって、大規模プロジェクトでも全員が同じマニュアルを元に、仕事を進められるようになりました。個人商店から組織への変革です。
チームで成果を上げることが評価されて、当時最年少で管理職に抜擢されました。
(メチャメチャ残業してたので、残業代抑制の対象になっただけという説もありますが・・)

初めて管理職になったときも、マニュアルが皆無でした(笑)
2年ほど経験を積んだ後、「課長マニュアル」をつくりました。
その後の新任課長たちからお礼を言われました。

異動先でもマニュアルをつくり続けました。
自分を成長させることが分かっていたからです。

ただ、私は性格的に細かいマニュアルはつくれないので、幹の部分だけつくったら、後任の人たちに更新作業はお願いすることがほとんどでした。

成長を感じられることで組織への愛着が増す

マニュアルを通じて、作成者だけでなく利用者も成長することができます。
つまり組織も成長します。

  • マニュアルにはない、組織内で最初の仕事に取り組む
  • 経験をマニュアル化して、人に伝える
  • その仕事は属人化せず、組織に知識が定着する
  • 学ぶ人は、マニュアルを通じて、いち早く仕事をこなすことができる
  • マニュアル作成者は、次の仕事へと挑戦していける

知識を活かす現代の仕事は、常に成長することが求められます。
経営者だけでなく、現場で働く人も、それは分かっています。

そのため仕事を通じて成長できると、組織への愛着が増します
そんな会社は離職率も低くなりますし、求人が来やすい傾向があります。

結果として、生産性が上がっていきます。

マニュアルづくりは、外部にお金を支払う必要もありません。
最もコストパフォーマンスが高い教育投資の1つだと考えています。

マニュアル作成・利用が日常的になると、言語化能力が組織全体で高まっていきます
マニュアルを残す前提で仕事をする習慣が身に着くからです。

事業継続性の向上

既に述べたことですが、マニュアルを残すことによって、その仕事・知識が属人化するのを防ぐことができます。組織に知識を蓄積することができるので、事業継続性が向上します

逆に特定の人に仕事が紐づいてしまうと、何かあったときに対応できなくなります。
人間ですから、何があるかは誰にも分かりません。
辞めてしまうかもしれませんし、事故や病気になることもあります。

そんなとき、「Aさんがやってた仕事だから分からない」だと、業務が完全に滞ってしまいます。お客様やパートナー企業に迷惑をかけてしまうかもしれません。

最低でもマニュアルが残っていれば、時間は掛かっても、その仕事を継続することができます。

このようにマニュアルの有無で、組織の成長度合いは大きく変わります。
今、マニュアルが全くない会社は、仕事の進め方・情報共有の仕方・教育のやり方を変えていくべきでしょう。

まとめ
  • マニュアルをつくると、その人は成長する
  • マニュアル使って教育することで、組織に知識を蓄積できる
  • 事業継続性も高まり、組織全体が成長する

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【編集後記】
外出が減っている(というか、ほぼしていない)せいか、どうも食べ物に楽しみを見出そうとしているようです。。


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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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