前回は、新規事業を立ち上げる際に便利なアンゾフマトリクスを元に、アプローチ方法をご紹介しました。
いきなり新規事業に取り組むのではなく、既存の顧客に対して、新商品・サービスを提案することをお勧めしています。
今回は、アンゾフマトリクスの下側に攻めていく、新規顧客を獲得する方法をご紹介します。
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新規顧客を獲得することの難しさ
上図のアンゾフマトリクスを下側に攻めるには、今まで出会ったことのない顧客を獲得する力が必要になります。
目の前の顧客に対して、新規提案をすることから始める右上への攻めに比べて、以下のような特徴があります。
- 難易度が高い
- コストが掛かる
- 時間が掛かる
一般的に既存顧客を守るのに比べて、新規顧客を獲得するには 5倍のコストが掛かると言われています。
そのため私はまず、右上を攻めることをお勧めしているのです。
提案力・企画力をつけながら、水面下で下側を攻める準備を進めていきます。
知ってもらい、関係を構築する
どんな事業であれ、新規顧客を獲得するためには、以下のようなステップを踏みます。
- 認知 : 知らなければ興味を持たない
- 興味 : 興味が無ければ行動しない
- 行動 : 行動しなければ、買おうと思わない
- 比較 : 競合商品と比べて勝っていなければ買わない
- 購買 : 買わなかったら使わない
- 利用 : 使わなかったら愛情を持たない
- 愛情 : ファンにならなければ、リピートしてくれない
(佐藤義典さんの「マインドフロー」より)
ペットボトルをお茶を買うという気軽な購買行動においてすら、良く考えるとこのステップを踏んでいることが分かります。
- ペットボトルのお茶があることを知らなければ、買いに行かない
(自分でお茶を入れるか・・となるかもしれません) - 知ってても、興味を持たなければ買いに行きません
(今日みたいに寒いと、また今度でいいや・・となるかもしれません) - 家から出て、自販機やコンビニに向かわない限り、買うことはありません
- 自販機やコンビニに行くと、他のお茶との比較検討を(無意識にでも)しています
- ここまで来て、ようやく買いますが、買わなければ飲むことはありません
- 飲まなければ、美味いと思うこともありません
- 美味いと思わなければ、再度購入することはありません。
再度ゼロから、他の商品との比較対象になるのみです。
新規顧客を獲得するためには、このようにマインドフローのステップを着実に進める必要があります。
では、どうやって顧客に知ってもらうのか?興味を持ってもらうのか?
それは獲得したい顧客や売りたい商品によって大きく変わります。
- お茶のように誰でも知っている商品を、一般消費者に売りたいのか?
- 特定の製造業でしか使われない、レーザー加工機を売りたいのか?
全く売り方が変わるのは、推測できますよね。
つまり新規顧客を獲得するためには、顧客・商品に対して適切な施策を選び、それらを組み合わせて設計・運用しなければなりません。
特にBtoB商材の場合は、マインドフローの 1~3辺りをマーケティング部門が担当。
その後、営業担当に引き継いで、4~5を行うことが一般的です。
一般的には、この導線設計を行い・運用する一連の流れをデマンドジェネレーションと呼びます。
デマンドジェネレーションの細かなところは、ここでは割愛しましょう。
それよりは言葉も理解しやすいマインドフローで考える習慣を身につけると良いですね。
個別施策の特徴を知り、導線設計を行う
では、どうすれば顧客に知ってもらうことができるでしょうか?
続きを読む前に、どんな手段があるのか?5秒考えてみて下さい。
- テレビ・ラジオCM
- 新聞・雑誌広告
- 展示会
- プレスリリース
- Web広告
- SNS広告(Facebook、Instagram、Twitter)
- Youtube広告
- Webサイト・ブログ
- SNS
などが思い浮かんだのではないでしょうか。
前半が主に昔から存在するアナログ(オフライン)の施策。
後半がWebやSNSを中心とするデジタル(オンライン)の施策です。
- 掛かるコスト
- 到達できる顧客数
- 情報を届ける人の絞り込み
- 顧客の反応をデータ化(効果測定の可否)
など、全く特徴が異なることが分かります。
お茶であれば、テレビCMで全国に配信して、顧客の反応は分からなくても良いでしょう。
店頭での購入変化があれば、間接的に紐づけられるからです。
しかし、レーザー加工機であれば、製造業向けの展示会などに出展した方が良さそうです。
テレビCMで流したところで、99%の人には何かすら分かりませんので。
あるいはWebやSNSで製造業に関わりそうな人に絞り込んで広告を出した方が、効果が高いでしょう。
ちなみにダイレクトメール(DM)は、お客様の会社名・住所・氏名が分からないと送付できません。
何らかの形でお客様がこれらの情報を提供頂いた後でなければ、使えない施策です。
メールマガジンの配信も同様です。
顧客名簿の売買が禁止されている日本では、お客様から頂いたデータを元にしてでなければ、基本的にこれらの活動はできません。
このようにマインドフロー(デマンドジェネレーション)における顧客のステップごとに、以下のようなことを行う必要があります。
- 適切な施策は何か?(メリット・デメリットを知って最適なものを選ぶ)
- 次のステップに移るためのゴールは何か?
- それをどうやって計測・管理するか?
マーケティングというと、これからはLINEだ!動画だ!SNSは?などと手段から入るケースが散見されます。
しかし個別の手段に振り回されるのではなく、まずはこのような全体の設計を行い運用するスキルこそが、マーケティングには必須なのです。
個別手段のスキルは、それぞれ専門家が居ますから、彼らを頼りましょう。
私自身、それぞれの手段には得手不得手があります。
(餅は餅屋ですし)
むしろ、どの手段を選ぶのか?全体設計を行い、それを運用する支援に注力しています。
- 新規顧客を獲得するには、顧客のステップ(マインドフロー)の理解が欠かせない
- 各ステップごとに最適な手段を選び、測定・管理する
- 個別施策に振り回されるのではなく、全体の導線設計・運用が大事
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【編集後記】
昨晩は合気道の稽古でした。
入会されたばかりの方と確認を行いましたが、過去に経験しているはずの技がパッと出てこず。
新しい技を覚えると過去の技を忘れがちに・・
常に基本に立ち戻らないといけませんね。
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