前回は、業務プロセスを抜け漏れなく洗い出すための考え方についてご紹介しました。
今回は、各業務プロセスについて確認しておきたい項目について、前回より掘り下げてお伝えします。
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大きな業務から小さな業務へ確認する
大前提として、より大きな業務から確認します。最初から細かすぎる業務を確認すると、全体像を見失ってしまうからです。
特に私のような社外の人間が確認するときには、その会社の細かなところから確認しても、「木を見て森を見ず」になってしまいます。その結果、途中から聞き直しなんてこともありますので、大きな業務から確認し、次第に細かくしていくようにしましょう。
前回記事の我が家の夕食の例で言えば、「なぜ夕食を食べる必要があるのか?」から確認します。決して、「野菜を切る」から始めてはならないのです。
業務プロセスの確認項目
このように大きな業務プロセスから、小さな業務プロセスへと確認を進めていきます。確認項目は以下の通りです。
その業務が存在する目的
本人たちは当然のことと思われるかもしれませんが、書き出してみると意見が食い違うことが良くあります。夕食だって、家族団らんを第一優先とするか、1日の疲れを癒すことを第一優先にするかによって、その後の判断が変わってくるかもしれません。
改めて確認すると、「確かに、何のためにやっているのだろう?」という業務は数多く出てきます。それこそが改善の対象となるものです。改善をするためにも、その業務の目的を明確にすることは避けてはなりません。
「今までやってきたから」
「これがウチの業界の普通だから」
「上司に言われたから」
という根拠のないものは、理由になりません。
改めてなぜ必要なのか?誰に・どんなアウトプットを出すのか?を整理してみましょう。
ちなみに改善する場合は「ECRSの原則」がスタンダードです。
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その業務の開始条件
業務には開始条件があり、そのパターンは大きく2つあります。
1つは何らかの状態変化が起きたときです。
- 受注が入った
- お客様先に納品した
- 問い合わせがあった
- 加工が終わった
- 入金された
というように何らかの状態変化が発生したときに、次の業務プロセスが始まります。
入金があったら、入金消込のプロセスが始まることでしょう。
もう1つは、定期的に行われるものです。
- 1日の営業を終えたらレジ締めを開始する
- 1ヶ月の営業を終えたら受注・売上の処理を始める
- 毎朝9時から、チームミーティングを行う
というように。
何れにしても、業務プロセスが始まる条件を明確にしておかないと、仕事がスムーズに流れません。
業務プロセスの終了条件・アウトプット
開始条件があれば、終了条件もあります。
どうなったら、その業務プロセスが終了するのでしょうか?
- 野菜を切り終えて、ザルに上がっている状態になったら
- 問い合わせへの対応を終えて、チケットを閉じたら
- 今月の受注・売上の処理が終わったら
というように明確な基準があるはずです。
その際、アウトプットが何かも明確にしておきましょう。
- ヘルプデスクシステムで、問い合わせチケットの状態が「クローズ」になること
- 受注・売上金額が毎月決まったフォーム(エクセル)で出来上がったら
- レジ締めで今日の売上がまとまり、現金差異がゼロになったら
システム・ツールの導入を前提としている場合には、アウトプットの形式まで決めておきましょう。
- 紙帳票なのか?
- システム・ツール画面上の表示なのか?
- 他システムへのデータ渡しが必要なのか?
- データ出力なのか?(CSVやJSON)
制約条件
業務を遂行する上では、何らかの制約条件があることがほとんどです。
時間もお金も人材も、好きなだけ使える業務というのは存在しません。
今月の受注・売上を集計するのに、1ヶ月掛かっていたら大問題でしょう。
ですから、使えるお金(予算)や時間(期限)、あるいはその業務に携わって良い人数・時間などの条件があれば、それを明確にしておきます。
担当者・承認者
その業務の主担当者・主担当部門が誰かを明確にしておきます。
また、承認を必要とする業務の場合には、その承認者(役職)を明確にします。
情報共有・報告のタイミング
システム化を検討する場合には、どのタイミングで関係者と情報共有するのか?
担当者から承認者へ依頼が掛かるタイミングを明確にしておきます。
システム上で通知を出すときのタイミングや中身に関係してくるからです。
少なくとも各業務プロセスにおいて、このくらいの項目を確認するようにしましょう。
簡単な業務であれば、図式化せずとも、この項目が列挙されているだけで内容が把握できます。
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