IT・システム全般

中小企業に必要なIT研修とは、どのようなものか?

以前、中小企業のIT投資で、最も重要なものは人への(教育)投資だとお伝えしました。

IT投資で最も注力すべきは、人材への教育中小企業におけるIT導入・利用における問題は、スキルのある人材不足によるところがほとんどです。しかし、ますますIT人材の不足が深刻化しつつあり、採用することは困難です。このような状況を受けて、最も注力すべきIT投資は「人材への教育」です。ITで経営を変革したい経営者は、この点を認識しておくべきです。...

ただ、色々と探しているのですが、私が理想とする中小企業向けのIT研修が見つかりません。特にIT担当者がいないようなスモールビジネスにおける良質な研修は、皆無と言って良いでしょう。では理想の研修とは、どのようなものなのでしょうか?

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事例を通じて学ぶことができる

1つ目は事例中心であることです。

スモールビジネスにとって、教科書的な話や、抽象度の高すぎる話を大上段からされても、嬉しくありません。先日、ある中小企業向けIT研修のカリキュラムを拝見したところ、教科書過ぎて萎えました。

IT経営とは?企業経営とは?戦略とは?ガバナンスとは?…etc

不要とは言いませんが、このような概念ばかりを伝えても、中小企業には腹落ちしません。
こういう内容は大企業のCIOとか情報システム部向けに行えば良いでしょう。

スモールビジネスにとって参考になるのは、やはり事例です。

  • どういう困りごとがあったのか?
  • それをどういう手段で解決したのか?
  • 解決するまでに苦労したことは?
  • どのくらいの時間とお金が掛かったのか?
  • ITを活用して、どう良くなったのか?

自社と同じような規模の会社の事例を知ることで、急に話に引き込まれます。

IT用語・技術以前の「思考法」を教えてくれる

2つ目は細かい用語や技術よりも、汎用的な思考法を教えてくれることです。知らない人にとって、IT用語はカタカナ・アルファベットだらけで「勘弁してくれ!」だからです。

ITを活用していく上で、最低限のIT用語や技術を理解することは、確かに必要です。ただ、その前に事例を知り、興味を持ってから、基本的な用語や技術を理解すれば、十分だと感じています。

より大事なのは、IT用語や技術以前のIT的な思考法です。

中小企業の経営者向け、テクノロジー以前のシステム的発想法中小企業の経営者は、ITの細かな単語や操作を覚えるよりも、システム的な「発想法」を身に着ける方がメリットがあります。経営とITを関連付けて考えられるようになり、表面的な技術用語に振り回されなくなるからです。この記事では、その根幹であるデータ中心の考え方をご紹介します。...

こちらに書きましたように、データの軸と関連性が分かると、色んなツールを使うのが途端に楽になります。また、データの入力・処理・出力を分けて考えることも重要です。

これらが身に着いていないと、どんな悲劇が生まれしまうのか?
世の中に氾濫する無駄な業務が、なぜ生まれてしまうのかが分かるでしょう。
それを実体験することで、思考法が身に着いていきます。

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企画から導入・活用まで学べる

3つ目は導入だけでなく、それ以前の企画や、導入後の活用まで幅広く学べることです。経営者にとって重要なのは、システムを導入することではなく、それを使って経営上の成果を上げることだからです。

ITベンダーが行うセミナーの多くは、どうしても導入にフォーカスしたものが多くなります。彼らはまずは導入してもらわないとビジネスにならないので、仕方のない面もあるのですが・・

例えば企画時には、ITベンダーの選び方が重要です。長くお付き合いできるITベンダーとは、どのような特徴を持っているのか?を知るだけで、見た目だけうまい話に振り回されずに済みます。

また導入時から関係者を巻き込んでいくことで、導入後に「使えない」となるリスクを軽減させることができます。このような注意すべきポイントを知るだけで、ツールを活用し、成果を上げやすい環境をつくりやすくなります。

ツールを受講者同士で教えあう雰囲気をつくってくれる

最後にツールを体験する場です。
思考法以外にも、実際にツールを触ってみるのも、良い体験です。研修やセミナーであれば、いくら失敗しても痛くありません。

慣れないものは触ってみて体験した方が理解しやすいです。
「習うより慣れよ」ですね。

私も最近、ご高齢の方が集まる場にて、スマホのLINEを触って楽しんでいただきました。

LINEで遊びまくるだけでも、生産性は上げられますITツールを上手く活用できる組織の特徴とは?ご高齢者の多い組織からのご依頼でLINEを触ってツールに慣れていく勉強会の講師をしました。なぜLINEを選んだのか?どのように勉強会を進行させたのか?背景を知ることで、ITツール活用のヒントが得られます。中小企業の経営者・IT担当者は要チェックです。...

この記事でも書きましたが、既に理解した人が教えられるような文化をつくることが、組織としては重要です。スモールビジネスでは、専門のIT担当者や情報システム部をつくれません。社内で教えあう(気軽に聴ける)ことが、ツールを浸透させる上で、重要な要素を占めます。

まとめ
  • スモールビジネスにおける良いIT研修とは、事例中心
  • 細かな用語や技術よりも、考え方そのものを学ぶ
  • ツールの体験を交えつつ、助け合う文化を育む

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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