新商品・サービスを企画するとき、収支計画を立てます。私が行っている新商品・サービス企画の研修・コンサルティングでは、収支計画のシミュレーションを行っています。この記事では収支計画を立てる意味について解説します。
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新商品・サービスを企画するときの流れ
新たに商品・サービスを企画するときには、まずアイデア出しから始めます。
- 顧客は誰か?
- 顧客が真に欲しているもの(価値)は何か?
をもとに、売り物・売り値・売り場・売り方を検討していきます。ある程度、定性的にアイデアを練り込んだら、定量チェックとしてシミュレーションを行います。
- 価格と販売数量(掛け算すれば売上)
- 売上原価(変動費)
- 販管費やその他諸経費(多くは固定費)
を割り出し、最初に必要な投資金額、黒字転換する時期、投資回収の時期を推定します。
もう少し詳しく流れを知りたい方は、こちらの記事をご覧下さい。
以下、収支計画をシミュレーションすることによって、得られることをお伝えします。
意思決定をするための基準になる
まず最初にお伝えすべきことは、収支計画を立てても、実際、その数字通りに進む事業などありません。
大抵は計画よりも悪い数字になりますし、予想外に大当たりして上振れすることも稀にあります。ただ、何れにしても、計画通りにはなりません。ではなぜ収支計画を立てるのか?
それは意思決定の軸をつくるためです。
- 今、計画通りに上手く進んでいるのか?
- それとも何らかの問題が発生しているのか?
- 問題が発生しているとすれば、その原因はどこなのか?
その判断基準をつくるために計画を立てます。
予定よりも売れていないことが分かれば、何が足りていないのか?を分析するキッカケになるのです。予定より売れてないにも関わらず、マーケティング費用が予定通りに消化されているようだと、赤字が計画よりも大きくなります。どうすればマーケティングを効果的に行えるのか?を追求することができます。
何の基準もなければ、意思決定することが困難になってしまいます。
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他者の視点・経営的な視点を身につけられる
収支計画を立ててみると、売上を上げることの重要さに気づきます。売上がなければ利益は得られません。
それまでマーケティングや営業を無下に扱ってきた開発・技術部門の人も、収支計画のシミュレーションをしてみると、「営業に感謝するようになった」と良く聴きます。
またシミュレーションをするときには人件費も計算します。その原資となるのはお客様からの売上なので、お客様に感謝することになります。それと同時に、得られた利益の中からお給料が支払われていることに気づきます。
経営者が悩みながらお給料を支払ってくれていることも見えてきます。
このように収支計画のシミュレーションを行うと、自分だけでなく、様々な立場の視点を疑似的に体験することができます。経営者に数字を学ばせる意義は、この点にあると言えるでしょう。マネジメントゲームなどに注目が集まるのも、納得です。
計画の実現性を上げる
商品・サービスの企画担当者として最も注目すべきは、この点です。
収支計画を書く前の定性的なアイデアは、正に「絵にかいた餅」のような状態です。しかし、シミュレーションをしてみると、自然と色々な調査や議論を行って、計画の実現性が上がるのです。
コストを色々と比較してみたり、月額100円上げたら利益がどう変化するかを見てみたり。競合商品の値段やマネタイズのモデルを調べてみたり。そうこうするうちに、単なる定性的なアイデアだった新商品に実現性が伴ってきます。
シミュレーションを行うことで、現時点での計画に無理があることが分かり、定性面のアイデア修正に立ち戻ることも多いです。数字を把握した上でアイデアを改善するので、より実行可能性の高いアイデアにすることができます。
その一方で、あまりに現実的なつまらないアイデアになってしまうこともあるので、そのさじ加減が難しいところですが・・
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融資や補助金の申請など、他者への説明にも使える
ここまでは自社が得られるメリットでしたが、他者に説明するときにも収支計画があると伝えやすいです。
銀行で融資を受ける際、補助金の申請を行う際、投資家に説明する際など、収支計画は当然のように求められます。収支計画を立てるのは、経営者としては普通に求められることなのです。
ですから、これらの仕事を他人に丸投げしないようにしましょう。融資や補助金の対応を税理士や中小企業診断士に丸投げする経営者を見ることがありますが、私は賛成できません。事業計画を立てる、その中でも重要な収支計画を立てることは、経営者としての重要な役割です。
収支計画を立てることで得られるメリットは、ここまで述べてきた通りです。他者に丸投げすることで、これらのメリットを失ってしまうことになります。現場の仕事をスタッフに任せてでも、経営者は事業計画・収支計画と正面から向き合うべきだと考えています。
- 収支計画を立てることで、様々なメリットが得られる
- 意思決定の基準づくり、経営者視点の獲得、計画の実現性向上など
- 経営者としては事業計画や収支計画を他者に丸投げしてはならない
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