ツール活用

クラウドを活用する上での注意点

前回、クラウドを利用する上では、ID・パスワード管理が大切になることをお伝えしました。

クラウドを利用する上で土台となるID・パスワード管理クラウドを安全に利用するための前提はID・パスワード管理の徹底です。この記事では重要なポイントを3つ解説します。まず、パスワードを別のクラウドで使い回さないこと。次に複数人でIDと使い回さないこと。最後に、2要素認証・2段階認証を設定することです。...

今回は、ID・パスワード以外の注意点をご紹介します。

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データを手元に保存する

クラウドはインターネットの向こう側で動いているシステムです。
インターネットにつながってさえいれば、いつでも・どこでも利用できるのがメリットです。しかし、このメリットがデメリットに変わるときがあります。

例えば、システム障害等によって使えなくなってしまったときです。
もちろん、社内LANで動いているシステムも障害で使えなくなることがあるのですが、その場合は貴重なデータはそこにあります。
一方、クラウドのシステムの場合は、データがインターネットの向こう側にありますから、最悪、データを失ってしまうことも考えられます。

チャットなどの常に流れゆくデータであれば、失ったとしてもダメージは大きくありません。
しかしCRMやSFAには貴重な顧客・商談データが蓄積されています。
またERPには在庫や会計データが入っています。
これらを決して失うわけにはいきません。

そのため、クラウドのデータは定期的にバックアップを行い、手元に保存しておきましょう。
例えば、私が利用しているzoho CRMでは、月に2回、自動的にバックアップを取ってメールで通知するようにしています。

ちなみに社内LANで動かしているシステムもバックアップは必要です。
ハードウェアが壊れたり、操作ミスでデータを消してしまうことなどがあるからです。

さらに重要なデータは火災・地震などの影響を避けるために、バックアップデータを遠隔地に保存した方が良いでしょう。会社と同じ場所にデータがあると、災害によって主データも副データ(バックアップ)も失ってしまうからです。事業継続のためには、主データと副データの場所を離すのが基本です。

クラウドを利用している場合は

  • 主データ:クラウド(インターネットの向こう側)
  • 副データ:手元(会社のオフィス)

となりますので、遠隔保管の手間が省けることになります。

外部との接続設定を確認する

クラウドは他のシステムとの連携が簡単なのが便利なところです。

  • 会計ソフトを銀行のネットバンキングと連携させる
  • CRMと会計ソフトを連携して、商談から見積・請求書作成を一貫させる
  • Webフォームとチャットを連携して、登録があったら自動通知させる

このような連携がスムーズにできて、世の中はますます便利になっています。

しかし、このような外部連携の仕組みが仇となることもあります
意図せず外部との接続設定が行われていると、そこから情報漏えいしてしまう可能性があります。

定期的に外部との接続設定を見直して、現在利用していない外部接続はOFFにするようにしましょう。

見た目や機能が変わり続けることを前提とする

この点は情報漏えいやセキュリティとは無関係ですが・・
クラウドを利用する上では、前提として知っておかねばならないことです。

クラウドで動くシステムの多くは、見た目や機能が変わり続けます。

社内LANで使っているシステムは、数年に1回しか見た目や機能は変わりませんでした。
例えば、マイクロソフトのOfficeはバージョンが2010→2013→2016のように変わってきています。

しかしクラウドは数年単位の大きな変更がない代わりに、日々、細かにバージョンアップし続けています。そのため、見た目や機能が頻繁に変わるのです。ブラウザで利用するWebアプリケーションも、スマホで利用するアプリも同じことが言えます。

そのため「せっかく操作手順マニュアルを作成したのに、1週間で見た目が変わってしまった」という悲劇が起こりえます。詳細な操作手順書はつくらない方が良いでしょう。慣れるしかないのです。

逆に言うと、少しくらい見た目が変わっても受け入れられる程度の慣れやITリテラシーが求められます。

「分からなくなったらヘルプを見ればいいや」
「最初に操作が分かった人に教えてもらおう」
「それでも不安なら、サポートの契約を結んでおこう」

こういう姿勢が必要なのですね。
だからクラウドを使い続けると、組織的にITリテラシーが上がっていくのです。

私自身、いきなり画面が変わって慌てることがあります。
それでも「まぁ、いいか」と思っています。
分からないことがあるのは当然です。恐れずに使っていきましょう。

まとめ
  • クラウドのデータはバックアップして手元に保存しておく
  • 外部との接続設定を定期的に見直す
  • 画面や機能が頻繁に変わるのは慣れればOK

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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