IT・システム企画

システム企画時には、期待効果が算出しにくいツール・システムもある

新たなツールやシステムを導入・活用する企画を立てる際、一般的には期待される効果を算出します。丸1日かかっていた作業が30分で終わるようになれば、削減された時間と時間単価の掛け算が、得られる効果です。

しかし、全てのツール・システムが、このように期待効果を算出できるわけではありません。この記事では、期待効果が算出しにくいツールやシステムの代表例として、コミュニケーションツールをご紹介します。

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コミュニケーション・ツール(Slack)とメールの違い

コミュニケーションツールあるいはコラボレーションツールと呼ばれていますが、今まで利用してきたメールとは、かなり異なります。最近、急激に広がっているSlackを例に取ると、このような画面です。

Slackのページより)

これを従来のメールと比較すると、どうなるでしょうか?

(浅田さんより遠藤さんにメール)
遠藤さん

お疲れ様です。浅田です。

例の新企画の件ですが、進捗は予定通りでしょうか?

以上、よろしくお願いいたします。

(さらに署名がついていたりする)

(遠藤さんより浅田さんのメールに返信)
浅田さん

お疲れ様です。遠藤です。

お問い合わせの件、予定通り進捗しております。
こちらがスケジュールの詳細です。(添付ファイル)

以上、よろしくお願いいたします。

(さらに署名が・・略)

無駄に文章が長いですね・・
書く方も読む方も疲れますし、さらにメールだと以下のような手間が掛かります。

  • 相手のメールアドレスを入力しなければならない(自動入力は事故が起こりやすいのでNG)
  • 関係者が多い場合にはCCを追加したりメーリングリストを活用したりする

Slackを導入することで、このような手間を減らすことができます。その時間・単価から導入効果を無理矢理算出することもできますが、それはSlack活用の本質ではありません。(Slackに限らず、他のコミュニケーションツールも同様です)

比較した通り、メールに比べるとSlackはカジュアルです。スマホからでも気軽に投稿できる長さです。コミュニケーションが必要なときに、サラッとできてしまいます。メールだと「書くの大変だから後で・・」となりがちですが、それを回避しています。

コミュニケーションツールの文化

またSlackは基本的にオープンです。メールのように1対1の概念ではなくて、常に関係者に見えるところでコミュニケーションします(ダイレクトメッセージという1対1の機能もありますが、あまりSlackの本質ではないので、使うのを嫌がる人もいます。)。

要するに、同じプロジェクトを進めている仲間に対して、隠し事をするな!もっとオープンにやろうぜ!というわけです。もちろん、「飯いこーぜ!」とかはプライベートチャンネルやダイレクトメッセージでやりとりするのでしょうが・・

再度、Slackの画面を見てみましょう。

赤線で囲ったところ、重要です。1つの拍手と8つの星がついています(リアクションと言います)。それだけの人が、新企画がスケジュール通りに進んでいることを称賛しているわけです。関係者全員が見ているところでやりとりをするからこそ、それを見た人たちが、直接は関係なくとも、リアクションをすることで、自らの意思を伝えているのです。

この拍手のようなアイコン(絵文字)は、標準で用意されていますが、自分で作成することもできます。私は仕事柄、色んな組織のSlackに入れてもらっていますが、会社やコミュニティによって、「それらしい」アイコンがあるのが面白いです。LINEで絵文字を使う人は、イメージが湧きやすいのではないでしょうか。

思わずクスっと笑ってしまったり、ほわっと和ませてもらったり。絵文字そのものが、組織文化を示しているのです。カスタムの絵文字を全くつくらない、という組織文化もあります。お堅い組織とか・・笑

このように、コミュニケーションツールの導入は、手間を省く云々よりも、組織のコミュニケーション文化そのものを変革しようとする取り組みなのです。

だから期待効果を「算出」するのは難しい

では、コミュニケーションがオープンになったり、今までやり取りしなかった人とのコミュニケーションが増えることの効果は、数値として算出できるでしょうか?

  • 組織が明るくなる
  • お互いの人柄や、仕事内容について詳しくなる
  • お互いの信頼関係が増す

これらは単純な数字で示すことはできないでしょう。だからやってみて、使った人たちから感想を聞くしかないのです。

多くのコミュニケーションツールは無償で使えます。上記のSlackも一部制限はありますが、無償版があります。(私は有償版を使ったことがありませんが、基本的には十分です。)

ですから、無償版から始めてみれば良いのです。お金が掛からないのだから「まずはやってみよう」で良いのです。ただし、経営者や管理職は、放置しないこと。組織文化を変えようとしているのに、経営者や管理職が関わらないなんてことはあり得ませんよね?

むしろ積極的に使って発言をして、組織文化をより良くするための着火剤になっていただきたいです。

まとめ
  • システム企画時に、期待効果を算出しにくいツール・システムがある
  • その代表例がSlackなどのコミュニケーション(コラボレーション)ツール
  • 組織文化を変える取り組みだから、期待効果を簡単に数値化できない
  • だからこそ、まずは使ってみて実感してみるのが重要

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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