ツール活用

メール送信の自動化をエクセル(VBA・GAS)でやってはいけないケース

仕事で多くの時間を締めがちなのがメール。大量のメールを読むのも大変ですが、作成・送信に追われている方も多く見受けられます。そこで考えるのが自動化。ただ、誤った使い方をしていると感じるケースがあります。

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エクセルでメール送信の自動化が危ないケース

大量のメールを送信する場合、エクセルで顧客リストを作成し、VBA(プログラミング言語)で自動化しているケースを見ることがあります。GoogleスプレッドシートとGAS(プログラミング言語)を組み合わせている場合も同様です。

これが有効に機能することもありますが、知らずに法を犯しているケースも見かけることがあります。広告(ビジネス)目的でメールを送信する場合です。

逆に言うと、社内のメール送信を自動化する場合には、エクセル+VBAが有効に機能することが多いようです。(ただ、社内の連絡はSlackなどのチャットの方が便利です。メールを活用するのは記録を残す必要がある場合に留めておきたいものです)

広告宣伝のために送信されるメール(広告宣伝メール)の場合、「個人情報保護法」「特定電子メール法」の2つを理解しておく必要があります。この点については別記事で解説します。

オプトイン・オプトアウトが実装しにくい

エクセルやスプレッドシートを活用する問題の1つ目。特定電子メール法で義務付けられているオプトインが実装しにくいことです。

総務省のページより抜粋

特定電子メール法では、メルマガなどの広告要素を含むメールを送信するには、あらかじめ受信者の同意が必要とされています。

ちなみに名刺をもらってメールアドレスを交換した人に対しては、同法の例外(同意なしに送信することができる場合)に相当しますが、特定商取引法が適用されるため、やはり勝手にメールを送ることはできません。

法律を読み解き始めるとややこしいですが、結論だけ書くと、

同意の無い人に、勝手に広告要素が含まれたメールを送ってはいけない

となります。私(渋屋)のメルマガの場合、登録フォームから登録してもらうようにしています。

お客様自らに登録していただくことで、意思表示をして頂いているのです。また、この法律では、同意を頂いたことを記録・保存しておく義務もありますが、Webフォームから登録いただくことで記録をしっかりと保存しています。

またオプトアウトの仕組みも重要です。こちらは受信者が

メールを送らないで欲しいと思ったときに、簡単に配信停止できる仕組み

です。こちらも私のメルマガを例にします。全ての記事のフッターに、以下のようなオプトアウトの仕組みを入れてあります。

「購読の解除」をクリックすることで、いつでも解除することが可能です。

エクセルやスプレッドシートには、このような仕組みが標準では実装されていません。VBAやGASでコードを書く(プログラミング)することで実現できるかもしれませんが、それには手間が掛かります。

月額数100〜数1,000円で使える便利なツールが世の中には溢れていますので、それを使う方が懸命です。私は、かつてはオートビズを使っていました。今はZohoキャンペーンを利用しています。より見た目がやさしいアイ・メールをお客様に導入したこともあります。

個人情報漏洩を防ぐ仕組みが構築しにくい

メルマガなど、広告目的でメールを送信するときには、個人情報漏洩への対策をしっかりと行うことが求められます

エクセルやスプレッドシートを使うのが厳しい2つ目の理由は、個人情報漏洩を防ぐ仕組みが構築しにくいことです。以下の記事でも書きましたが、エクセルやスプレッドシートは、編集・閲覧権限がファイル単位でしか付与できません。

顧客管理(営業・案件管理)をエクセルでやってはいけない企業にとって大切な顧客・案件データをエクセルで管理してはいけません。エクセルには顧客情報を守る仕組みがありません。SNS/Web/名刺など多様な入り口からデータを取り込む仕組みもないからです。汎用的なエクセルではなく、専用のSFAやCRMが適しています。営業管理者・経営者は必見です。...

顧客情報1件1件に対して、見られる・見られないを設定することができないのです。これは元々エクセルが表計算ソフトであり、データベースではないので、仕方のないことです。

この場合、メルマガ配信担当者は全ての顧客データを見ることができるけれども、営業担当者は見ることができない、という設定をせざるを得ません。全員が見られるようにしてしまうと、個人情報漏洩を防ぐことが困難になるからです。

この後に述べるように「攻め」の機能を実装しようとするとき、営業担当者が顧客情報を見られないのはマーケティング上、かなりつらくなります。

メールマーケティングの仕組みがない

ここまではどちらかというと「守り」の話でした。メルマガなどのメールを活用したマーケティングを行う上で、エクセルやスプレッドシートでは実現しにくい「攻め」の機能がいくつもあります。

その典型例が「特定の条件を満たした顧客にメールを配信する仕組み」です。

  • あるURLをクリックした人にだけ、特定のメールを送信する
  • ある商品を買った人にだけ、特定メールを送信する
  • メール開封・URLクリックなどで得点をつけて(スコアリング)、興味・関心の高い顧客をピックアップする

その他にも、メルマガでA/Bテストを行うなど、メールマーケティングには様々な「攻め」の要素が求められています。このような機能を求めるたびにVBAやGASでコードを書いていたら切りがありません。やはり専用ツールにお任せすべきでしょう。

まとめ
  • メルマガ等、広告要素を含むメール配信をエクセルでやってはいけない
  • 個人情報保護法・特定電子メール法への配慮が必要
  • 攻めのメールマーケティングは、専用ツールでなければ実現困難

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渋屋 隆一
プロフィール
マーケティングとITを駆使した「経営変革」「業務改善」を得意としています。コンサルティングや企業研修を通じて、中小企業の経営支援をしています。中小企業診断士。ドラッカーや人間学も学び中。趣味はトライアスロン・合気道。 詳細はこちらです。
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